パワハラ防止

2020.06.30

パワハラ防止法 過大な要求とは 

 パワハラ防止法における過大な要求とは、遂行不可能な目標を立て、いやがおうでも達成させるように、仕事をさせることなどを表します。

では、厚生労働省が定義するものはどのようなものでしょう。

 (該当すると考えられる例|パワハラ防止法)

(1)   長時間にわたる、肉体的苦痛を伴う過酷な環境下で勤務に直接関係のない作業を

命ずる

(2)   新卒採用者に対し、必要な教育を行わないまま到底対応できないレベルの業績目標

を課し、達成できなかったことに対し厳しく叱責する

(3)   労働者に業務とは関係のない私的な雑用の処理を強制的に行わせる

 今回の事例は、「パワハラ セクハラ マタハラ 相談はこうして話を聴く 著 野原蓉子」から興味深い

事例がありましたので、そこから引用いたします。

(事例1)

 外国籍のHさんは、日本で仕事をすることを望んで日本語を学びました。日本での生活は初めてですから日本の文化や人間関係に慣れるまでは苦労をしました。言葉の問題が一番大変でした。仕事を覚えるにあたってもわからない単語が多く出てきて、理解するのに時間がかかったり、仕事が時間内に終わらないこともありました。上司からは「お前は時間がかかって困る」、「てきぱきやれ」、「速くしろ速く」、「この仕事はあと10分でやれ」、「あの仕事がまだ終わっていないのはどういう理由があるのか」などと叱責されました。昼休みを削って仕事をしていることも、段階を踏んでやっていることも認めてもらえず、なんで終わらないのかと責め続けられたHさんは、この上司の下ではやっていけないと思うようになり、そのころから過食症、吐き気、胃炎、生理不順が起こって病院で薬をもらうようになりました。

Hさんは会社を辞めることを決めました。ただ、「日本で仕事をしたいと考えてがんばってきたのに残念」と涙ながらに社外相談窓口に訴え、「もう有給休暇が残っていません。そのくらい休んで、まわりのみんなに迷惑をかけました。この職場は親切な人が多かったのに上司の問題で辞めることになりました。父は会社を辞めることは反対でしたが、私の状態を見たらすぐに辞めるようにと言いました」と続けました。社外相談窓口は、Hさんの了承を得て、人事にこの話を伝えました。会社は、この上司に注意をすることは上の上司に任せました。上の上司はこの上司のマネジメントのやり方が問題とは思っていませんでしたので、軽い注意をしただけですませました。その後、この職場に別の女性が異動になったときに、当該上司の下で同様の問題が生じてしまい、その女性も体調を崩してしまいました。

(事例1への改善ポイント)

外国籍の人も相談しやすくなる工夫をする外国籍で、日本語で苦労している人が、相談窓口に訴えるのはかなり難しいことです。相談窓口が外国籍の人も相談しやすい場であるよう工夫した取り組みが必要です。近年日本の企業もグローバル化してきております。それゆえ、このような取り組みは早急に行わなくはなりません。

②体調回復を支援する:Hさんは体調を崩しています。初動としては、体調回復を優先してもらうことが重要です。

③行為者への対応を現場任せにしない:最初に相談を受けた職場上司(不適切な対応をとった上司)への注意指導は、現場に任せずに人事やコンプライアンス窓口で厳正に行います。そのことを対応マニュアルなどに明記しておくと、対応に一貫性を持たせることができます。パワハラ問題への対応には、ある程度の専門性や人事部門的な知識が必要です、対応に慣れていない現場に任せることによって、問題の先送りや無難というよりなれ合いの決着につながり、初動の対応を誤ってしまうケースが少なくありません。

(事例2)

  Kさん(男性)の異動先の課長は「うちの職場で一番残業が多いのは俺だ」と日頃から部下に言っているような上司です。課長は産業医から、自分の体調管理だけでなく、部下の健康に対する安全配慮義務があることの注意指導をしばしばされていますが、それを意に介することもなく、むしろ指導を受けていることを自慢しているほどです。Kさんはその上司の下で頑張り続けましたが、家に帰るのが深夜12時近くになる日が重なり、体調が悪化していきました。Kさんが異動して2ヶ月後には、もっとも長時間残業をしている同僚が出張中に倒れました。その同僚の残業時間の申告は月80時間以内のぎりぎりのところでした。Kさんは、課長に「このままでは、まずいのではないですか」と言ったところ、「本人も大ごとにしたくないと言っているのに、なんでそんなことを言うんだ」と威嚇されました。

Kさんは、上司からの報復を恐れて匿名で相談したいと思い、社外相談窓口に相談しました。社外相談窓口は、この状況を放置しておくと過労死する人が出かねないため、Kさんの了承を得て、社内相談窓口に伝えることにしました。その際、社内相談窓口には匿名での対応が依頼されました。社内相談窓口が当該職場の時間外労働を調査したところ、会社への申告時間を超える時間外労働が常態化していたことがわかり、課長には厳重注意がされましたが、異動などの処分にはしませんでした。それからしばらく経った職場の飲み会の席で、課長は「俺はひどい目に遭ったよ。この中のだれかに過重労働で訴えられた。懲戒処分にはならなかったけど俺のキャリアは傷ついた」と言いました。名前こそ出しませんが、Kさんを指していると誰もがわかる言い方でした。Kさんはその場にいるのが辛くなり、再び社外相談窓口に相談しました。

(事例2への改善ポイント)

産業医の指導を無視する時点で注意を与える

 このケースでは、上司は産業医の指導を無視しています。これを放置していては、過重労働防止、法令遵守は成り立ちません。産業医の指導を無視している時点で、上司に対して厳重注意を与えます。

職場での人間関係は続くことを認識する

 現場においては、人間関係はずっと続いていきます。ハラスメントを申し立てた人と、行為者とされる人が同じ職場での関係を続けていくことは、非常にむずかしいものです。匿名での相談であっても、明らかに行為者の側の非が大きいと判断した場合は、行為者を異動させるなどの対応が必要です。

「より重い行為者」にならないための約束をしてもらう

 このケースを放置した場合、当該職場では、過重労働でうつ病になったり、過労死したりすること人が発生する可能性が十分に考えられます。行為者を「より重い行為者」(ハラスメントを繰り返して被害を拡大させ、自身もより重い処分を受けるような行為者)にさせないためにも、「今後、同様の言動があれば厳しい懲戒になります。二度と同じことをしないことを約束してください。また、報復言動は許されません」と、約束してもらうことも必要です。

(該当しないと考えられる例|パワハラ防止法)

1】労働者を育成するために現状よりも少し高いレベルの業務を任せる

2】業務の繁忙期に、業務上の必要性から、当該業務の担当者に通常時よりも

一定程度多い業務の処理を任せる

 

まとめ

上記の事例以外に過大な要求として問題になっているのが、新卒研修におけるパワハラです。きちんと教育することなく無理やりな営業をさせ、目標を達成できないと厳しく叱責するなどは、パワハラに該当する事例もあります。営業部門での新卒研修でよく見かけられる光景ではありますが、多少の厳しい教育は認められるとしても、今の時代行き過ぎた研修はパワハラとなりうるので気を付けた方が良いと思います。またせっかく時間と経費をかけて貴重な人材を採用したにもかかわらず、最初の研修でダメにしてしまうのは、会社としていかがなものかと思います。

 

参考文献「パワハラ セクハラ マタハラ 相談はこうして話を聴く 著 野原蓉子」

 

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