パワハラ防止
2020.07.20
パワハラ防止法において企業が必ずやるべきこと
2020年6月1日からパワハラ防止法が施行されました。現在パワハラ対策が大企業では義務、中小企業では努力義務となっております。しかし、2022年4月1日から中小企業もパワハラ対策が完全義務化されます。
ハラスメントにおいて具体的な措置内容が明示されております。
都道府県労働長宛てに発出された、指針を運用するための通達には
「これらについては、企業の規模や職場の状況の如何を問わず必ず講じなければならないものであること」と記載されています。
要するに、全ての企業が必ず行わなくてはならない措置と認識してください。
【パワハラ防止法における企業が必ず行わなくてはならない措置】
①方針明確化と周知
パワハラを起こしてはならないという旨やパワハラは悪質な行為であることなどを就業規則に記載し、それを従業員に周知します。
②厳正対処方針の周知
パワハラが発生した際にどのように対処するか、パワハラ行為者にどのような処罰を与えるかを就業規則などのに明記し、従業員に周知します。
③相談窓口の設置と周知
パワハラを受けた際に相談できる相談窓口を設置します。対面だけの相談だけでなく、匿名で相談できるメールや電話での相談も可能にすることが必須となります。 →(社外窓口を選ぶ際の注意点)
④窓口での適切な対応
相談窓口での適切な対応が必要になります。
⑤事実確認
パワハラを訴えた被害者からの事実確認だけでなく、パワハラ行為者に対しても事実確認が必要です。また、客観的な視点から事実確認を行うために周りの従業員からも事の詳細をヒアリングすることが大切です。(ヒアリングをする際は必ずパワハラ被害者の同意が必要です。)
⑥被害者への配慮
パワハラの件をどの程度、職場に伝えるかは被害者と相談して決めましょう。また、被害者がパワハラを訴えたことで、また同じ部署に戻ることを躊躇するかもしれません。あらゆる点を配慮した上で、被害者の対応をしましょう。
⑦行為者への措置
行為者に対しての措置を事実確認をしっかり行った上で決めるようにしましょう。この時、行為者に対して厳しい対応や処罰をしたくなりますが、行為者に対しても配慮は必要です。客観的かつ冷静にきちんと社内で審議した上で、措置を決めましょう。
→(ハラスメント行為者がうつ病になったケース)
⑧再発防止措置
今回のパワハラが何故起きてしまったのか、今後起きないようにするためにどのようにすれば良いのかを話し合い、再発防止をしましょう。
⑨プライバシー保護措置と周知
プライバシーの保護を徹底し、その旨を周知しましょう。
⑩不利益取扱禁止と周知
パワハラを訴えたことで、人事評価が下がるとか、給与を下げる、降格させるなどをしてはいけません。その旨も就業規則に明記し、従業員に周知します。
以上、これらの全項目が必須措置となります。措置を行っていないと措置義務違反を問われる可能性があります。
→(パワハラ防止法における罰則とは)
すでにパワハラ対策を行っている企業は抜けがないかを確認し、まだパワハラ対策を行っていない企業は早めの対策を心がけましょう。
※参考文献【人事・総務担当者のためのハラスメント研修 設計・実践ハンドブック
著 加藤 貴之】