パワハラ防止

2020.12.19

パワハラの境界線|パワハラ防止法

  職場のメンタルヘルス対策が、近年企業の課題となっております。ストレスチェック制度、産業医巡視、働き方改革、パワハラ防止法など、様々な職場メンタルヘルス対策に対する法律ができてきましたが、まだまだ十分なものとは言えません。

厚生労働省が公表した2018年の「労働安全衛生調査(実態調査)」によれば、「現在の仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、ストレスになっていると感じる事柄がある労働者」の割合は58.0%に上がり、多少の増減はあるものの、大体6割前後で推移しています。

ストレスの主な要因の一つとして、人間関係の問題があげられますが、そのなかでも、パワハラになりうる職場でのいじめや嫌がらせは問題視されています。 都道府県労働局等に設置した総合労働相談に寄せられる「いじめ、嫌がらせ」の相談件数は近年増加しています。このような背景から、2019年6月に公布された労働施策総合推進法の改正によって、事業主の義務としてパワハラ防止措置を2020年6月から講じなくてはならないことが決定しました。この法制化では、始めてパワハラを定義したというものになります

【実際には難しいパワハラの境界線|パワハラ防止法】


 最近になってようやく、パワハラの定義や対策の義務化が法律で定められてきましたが、的を射たものではあるものの、その内容はいまだ抽象的な表現にとどまっています。そもそもパワハラの内容を完全に定義するのは難しいものがあります。パワハラは、行為を受けた人の主観的な判断を含んで認められることに加えて、関係性、環境、言動などを考慮し、人によってその判断が異なるためです。

例えば上司が部下をからかうという行為ですが、愛情をもって、少しきつめの冗談をいったり、ときには頭をこずいたりする際、それをパワハラととらえる部下もいれば、上司に可愛がられていると思う部下もいます。つまり、パワハラでは、さまざまな行為などに対する個人の認識や判断が重視されるものの、個人の価値観に左右されるため、個人によって境界線は異なると言えます。そのためパワハラを評価するのはとても難しいのです。


パワハラは
セクハラと比較しても判断が難しいと言えます。セクハラの場合は、仕事と関係ないか、仕事と関係していても、性差別や性的視点で相手を評価しようとするものでありますが、パワハラは仕事の延長で行われるものであるので、業務の範囲内か否かの線引きが難しいので評価しづらいと言えます。

【適切なパワハラ対策|パワハラ防止法】


 今回パワハラ防止法が施行されたことにより、企業が行わなくてはならない措置が決められました。行わなくはならないことは簡潔に、「パワハラを行ってはならない」ということを全ての労働者に周知すること、労働者が相談できる場を設けること、実際にパワハラが起きた場合適切に対処し、再発防止に努めることです。研修や呼びかけを行うことによって、「パワハラは悪質である」ということを意識すれば、自ら発する言動に対して注意を払うようになります。

また、パワハラの行為者は自らの行為がパワハラであると自覚していないケースが多いので、パワハラを受けた側が気軽に相談できる場を設けることで、早期にパワハラの被害者を減らすことが可能となります。どの行為がパワハラとするかという定義を意識することも大事ですが、個人がパワハラを受けていると感じた際に、すぐに相談できる場というのは大変意味のあるものになります。今後、パワハラ防止法の施行により、パワハラの数は減ると期待されますが、パワハラという性質上、個人の判断や捉え方による部分が大きいので、個人の意見が尊重される体制づくりが求められます。

※参考文献【「精神科 第36巻 第4号」 編集 精神科編集委員会 発行 科学評論社  

「職場のパワーハラスメントーチェックリストを中心にー」 入江正洋 小林百雲子 津田彰 】

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