うつ病で本当につらいこと|症状よりもつらいかも?

 更新日:2022年11月18日

 うつ病の症状は、薬を飲み始めて2週間から1か月くらいで軽くなっていきます。初期の激しい気持ちの落ち込み、食欲不振、不眠などは早い段階で良くなるのですが、気力や集中力は比較的遅くなってから改善します。

ですから、治療を始めてしばらくの期間は、良くなっているのか、悪いままなのか判断がつかない中途半端な状態があります。何かできそうでもできないので、「もしかしたら病気でなくて怠けているの?」勘違いしてしまいます。

                

 こんな宙ぶらりんな状態だからこそ、症状とは別に現実的なトラブルが起きてしまいます。うつ病の本来の症状から2次的におこる障害ともいえるでしょう。実際にどんなことが起きるのか、特に大きな問題を7つ紹介します。これらは症状よりも辛いことかも知れません。

  

【うつ病で本当につらい7つのこと】

1.以前できていた当たり前のことができない

 仕事ができないだけでなく、家事や身の周りのこともめんどうで十分にできません。好きな音楽も聴きたくない、テレビも見たくない、と娯楽も楽しめません。人生から喜びがなくなってしまうのです。これでは生きている実感が湧いて来ません。以前、仕事に頑張っていた頃が夢のようです。また元のように働けるのか疑問に思ってしまいます。

⇒ブログ:【うつ病の知られていない16の症状

 病気は自分のスケジュールで良くなってくれません。しかし、時間をかければうつ病は必ず良くなります。できなかったことも、少しずつできるようになりますから、まずは簡単で楽しめることから始めてみましょう。

              

2. 自分は必要ない存在と思ってしまう

 会社に貢献してきたつもりですが、いざ休職して自分がいなくても会社はうまく回っているようです。労(ねぎら)いの言葉もありません。会社にとって自分はいらない存在だったのかと思ってしまいます。さらに、悪いことに、いつも家にいない人が家にいると家族も迷惑そうな顔をします。

 主婦のうつ病の場合、家のことができない自分は価値のない人間と思ってしまいます。「私がいない方が家族のためになるのでは?」とも考えてしまいます。このように、うつ病で自己評価が低下することがあります。以前頑張っていた記憶はどこかに隠れてしまい、役に立たない今の自分の姿しか見えなくなってしまうのです。世の中に必要のない人はいません。マイナスの思いに巻き込まれないようにしましょう。

3.世の中から取り残されてしまう不安

 辛い時ほどつい見てしまうのが他人のSNSです。目に入ってくるのは、同年代で仕事に恋愛に成功している人たちの姿です。療養中で何もしていない自分と比べると、情けなくなります。自分以外はみんなうまく行っている錯覚に陥り、どんどん自分は遅れてしまう不安に襲われてしまいます。

 まずSNSは控えましょう。うまく行っている人は氷山の一角です。成功を装っているインフルエンサーも多いようです。そもそも幸せは人に見せびらかすものではありません。人生は人によって違うので、他人と比べても意味はありません。「勝ち組」「負け組」という言葉がありますが、人生は勝負ではありません。

                

4.怠けていると誤解される

 うつ病の苦しさは、なってみないと分からないものです。姿形(すがたかたち)が変わる病気ではないので、家族から怠けていると誤解されることもあります。早く治したいと焦っているのに、「いつ治るの?」と質問されて傷つくことがあります。また、家でゴロゴロしていると、「これぐらいはできるでしょう?」「家の雰囲気が悪くなるから暗い顔しないでよ」と言われて、家庭が針の筵(むしろ)のように感じることがあります。

 家族には、うつ病を理解してもらいましょう。いっしょに病院に付き添ってもらい主治医に説明をしてもらうこともできます。家でゆっくりできない場合は、入院するという手段もあります。

5.お金の問題

 お金のことが心配でゆっくり休んでいられない人もいます。自分だけならともかく、家族を養わなくてはならないし、ローンの支払いもあります。完全に良くなっていないのに、中途半端な状態で復帰する人もいます。

 休職中は補償として傷病手当金を受け取りましょう。医療費は都道府県が2/3を負担してくれる自立支援医療の制度があります。長期に働けない場合は障害年金を受給することも可能です。

⇒ブログ:【休職中に受けられる補償4選

 また、追い詰められて一攫千金(いっかくせんきん)を狙い、ギャンブルや投資で儲けようとするのは絶対にやめましょう。病気の時は運気もないものです。

              

6. 孤独

 うつ病になると、人と話さない時期が増えます。一人暮らしでは全く話さない日もあるでしょう。付き合いができなくて友達も減っていきます。病気をカッコ悪いと思わず、仲の良い友人ならば思い切って病気をオープンにしてもよいと思います。それでいなくなる友人は本当の友人ではありません。元気になるまで待ってくれるのが本当の友人です。

 話すことは大切なことです。話すだけで心の重荷がとれる場合もあります。身近に話せる人がいない場合は、カウンセリングを利用するのも良いかも知れません。

7. 薬で太ってしまう

 うつ病で以前ほど働けないのに、薬で代謝が悪くなったり、食欲が亢進して体重が増えることがあります。いつものズボンが入らなくなるとショックを受けてしまいます。特に女性にとってはとても辛いことです。食事の制限だけで改善しない場合は、医師に相談してできるだけ体重の増えにくい薬にしてもらいましょう。防風通聖散などの漢方薬が効く場合もあります。

                 

まとめ

 今回紹介したものは、うつ病から2次的に生じる生活の辛さです。この辛さがうつ病の症状を悪くさせて、悪循環に陥ってしまうこともあります。これが、うつ病を治りにくくさせて長引かせる原因になることがあります。

 うつ病の治療は時間がかかります。なかなか良くならないと焦らず、むしろ「病気なんだからできなくて当たり前」と開き直った方が治りは早いものです。また、家族や身近な人に理解してもらうことも大切なことです。いろいろ悩みがあったら、医師やカウンセラーに気軽に相談しましょう。

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