職場で判明!うつ病・適応障害の10のサイン

更新日:2024年11月25日

 職場で休職の原因となる、最も多い病気をご存じでしょうか?傷病手当金申請に記載された病名の内訳によると、2021年は、精神疾患が全体の33%をしめて最も多い病気でした。休職の原因となる精神疾患とは、ほとんどがうつ病と適応障害です。2位以降は、癌が14%、インフルエンザや新型コロナなどの感染症が10%、ケガが9%、心臓病などの循環器系が8%でした。これらの数字から、いかにうつ病と適応障害が、働く人の大きな問題であるかが理解できると思います。

ただし、2022年はコロナ禍により、感染症が病気休職者の50%に伸びたため、精神疾患は20%の2位になりました。コロナ禍が過ぎれば、元の状況に戻ると思われますので、うつ病と適応障害の広がりの深刻さは変わりありません。今回は、うつ病や適応障害が、実際に職場でどのような様子で起きているのか、その特徴的なサインを紹介しましょう。

 

本題に入る前に、まずうつ病と適応障害がどのような病気かを解説します。うつ病は、発病の原因に関わらず、気分の落ち込みや不安感が2週間以上続く病気です。適応障害とは、ハラスメントや過重労働などのストレスが原因で、気分の落ち込みや不安などを感じる病気です。ただし、明らかに職場のストレスが原因であっても、うつ病の診断ができるものは、適応障害でなくうつ病と診断します。適応障害とは、うつ病とまでは言えないけれど、ストレスが原因で起きている軽いうつ状態と考えたらよいと思います。

どちらも、職場の人間関係や過重労働などを通して、気の遣い過ぎにより、生きるエネルギーを消耗し尽くした状態です。最初は、「疲れかな」、「怠けかな」と感じているうちに、何も対策をしないでいると、いつの間にか発病しています。ある日突然襲ってくる病気ではなく、無理な生活の積み重ねの結果です。職場の状況によっては、誰でもなる可能性があります。体調が悪いのが当たり前になって、発病に気づかないでいる人もいます。ですから、周りの人が仲間の変化に気づいてあげることが大切です。

 

それでは、職場で分かるうつ病と適応障害の10のサインを紹介しましょう。

職場で分かるうつ病と適応障害の10のサイン

 

1 遅刻や欠勤が増える

いくら寝ても疲れがとれず、朝、寝床から出られなくなります。体調不良を理由に、遅刻や欠勤が増えるようならば、うつ病や適応障害の危険なサインです。周りの人は、「責任感がない」、「だらしがない」と叱り飛ばすのでなく、健康状態を確認してあげましょう。

 

2 仕事のミスが目立つ

脳の機能が低下している状態ですので、記憶力や集中力が低下します。これによって、仕事ではケアレスミスが目立つようになります。入力ミス、注文ミス、読み間違え、スケジュールの間違えなど、以前はなかったようなミスが目立つようになります。

大切なものを電車に置いてきた、約束をすっぽかす、などの物忘れも出る場合もあります。

 

3 怠けているような印象

仕事への意欲や関心がなくなるため、仕事中も手が止まり、ぼけっとしていることがあります。疲れ果てているように見えたら周りも心配しますが、怠けているように見える人もいます。そうなると、周囲から態度が良くないと誤解を受けてしまいます。

 

4 表情の変化

心の状態は表情に出るものです。生気を失っているので、表情が険しくなり、周りから機嫌が悪いのかと思われます。無表情になる人もいます。

嫌なことがあれば、誰しも暗い表情になるのは当たり前ですが、2週間以上も顔つきが変わっているようならば、うつ病や適応障害の疑いがあります。

 

5 イライラしている

うつ病や適応障害というと、元気がない姿を思い浮かべるかも知れませんが、情緒の不安定さが目立つ人もいます。無理して働いているので、職場ではいつもイライラするようになり、ちょっとしたことで怒ったり、言葉がきつくなる人がいます。

 

6 落ち着かない

仕事中も不安で落ち着かないことがあります。ジッと座って集中していられず、よく席を立つようになります。自律神経失調が伴うと、のどの渇きや頻尿が現れます。そのために仕事中にやたらと飲み物を飲み、トイレにも頻繁に行くようになります。

 

7 会話が減る

人との交流が苦痛になるため、人間関係に消極的になります。会議でよく発言していた人が話さなくなり、周りからは大人しくなったように見えます。付き合いも悪くなり、誘いを断るようになるでしょう。

 

8 ネガティブな発言

自分が悪いと思う「自責感」をもつ人がいます。また、自分は価値のない人間だと思う「無価値感」をもつ人もいます。そのために、「自分が悪かった」と反省や謝罪が増えたり、「自分には能力がない」とネガティブな発言が増えます。

 

9 お酒やタバコが増える

タバコやお酒には、一時的にうつ気分を解消する作用があります。以前はタバコを吸わなかった人が休憩時間にタバコを吸うようになったり、前日にお酒を飲み過ぎて、酒臭いことが増えるようならば、危険なサインです。特にアルコール依存症の多くは、うつ病や適応障害が原因にあります。

もともとタバコやお酒がダメな人は、甘い物を過食することがあります。甘い物にもうつ気分を解消する作用があるためです。

 

10 やせる

食欲がなくなり、やせていきます。胃腸が悪いのかと思い、内科を受診しますが、大きな問題が見つかりません。下痢や便秘を繰り返す人もいます。内科で異常がないのに、体重が減るようならばうつ病や適応障害を疑いましょう。

まとめ

 

うつ病や適応障害の現れ方は様々です。疲れ果てている印象があれば、周りもすぐに気づくでしょうが、「根気がない」、「仕事を怠けている」、「だらしない」、「機嫌が悪い」など、ネガティブなイメージでとらえられやすいのが現実です。実際は、競争や効率が優先される職場の雰囲気によって、頑張り過ぎて枯れ果てた状態なのです。

予防には、支え合う仲間意識を持つことが大切です。互いに心配してあげる雰囲気があれば、仲間のSOSに気付くことができ、大きな問題になる前に解決することができるでしょう。

職場にうつ病や適応障害を疑われる人がいる場合、産業医やカウンセラーに面談してもらうこともできます。直接、精神科に行くことに抵抗がある人も多いので、気軽に産業医やカウンセラーに相談してみましょう。

 

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