ブログ〈メンタルヘルス〉

2020.11.10

「睡眠障害と職場ストレスの抑うつ発症リスク」|メンタルヘルス

【職場のメンタルヘルス対策は、産業衛生において最重要課題の一つ】

厚生労働省は、重要事項として「過労死等の防止等の労働者の健康確保対策の推進」をあげ、長時間労働対策に加えて、メンタルヘルス対策を推奨しています。平成30年度の過労死等の労災請求件数は、脳・心疾患の877件に対し、精神障害は1820件で年々増加し早急の対策が求められていますこの認定対象となる精神障害の代表的な疾患はうつ病です。うつ病は生涯で約15人に1人は経験するとしています。また、週3回以上の不眠症状に関する調査では、一般的の人を対象とした結果と日本の職場を対象としたものでは、後者の集団のほうが数値が高くなりました。
うつ病と睡眠障害との関連はよく知られており、うつ病では睡眠障害が伴うことが多く、睡眠障害はうつ病の併発症の一つとして、診断基準の一つにもなっております。一方で、睡眠障害うつ病発症の危険因子(予測指標)にもなるともされており、うつ病発症リスクとしての睡眠障害への関心が高まっております。最近のレビューでは、睡眠障害は自殺念慮の独立したリスク要因とも指摘されています。

【睡眠障害と抑うつ(うつ病)発症リスク】
睡眠障害とうつ病発症の関連について、最近の研究では、睡眠障害はうつ病発症の予測指標であるとの結果を示しております。2011年から2017年に睡眠障害とうつ病発症との関連について約2000名の従業員を有する製造業企業で研究を実施しました。その結果、眠障害はうつ病発症の危険因子であることが示されました。不眠の種類別のうつ病症状発症リスクの解析では、入眠障害、中途覚醒、早期覚醒、熟眠障害のいずれも発症リスクでありました。これらの結果では、不眠症のリスクが強いほど、その後のうつ症状発症リスクが高くなることが示唆されました。それに加えて少しでも不眠症状がある場合には将来のうつ症状発症リスクが高くなることが示唆されました。これらの調査は、職場のうつ病対策として、睡眠障害にも注意を向ける必要性を示しております。

【職場ストレスの抑うつ発症リスク】
職場ストレスも抑うつ(うつ病)発症のリスクとなっております。Theorellらのレビューでは、うつ病発症のリスク要因として、高い仕事の要求度、コントロール(裁量)、いじめ・ハラスメントが指摘されました。また、努力ー報酬不均衡もうつ症状発症リスクとされています。別のレビューでは、精神障害の発症要因として、高い仕事の要求度、少ないコントロール、職場のサポートのなさ、雇用不安定、努力ー報酬不均衡などとの関連をあげております。Harveyらは、職場でのうつ病など精神障害発症リスクとして、高い仕事の要求度、低いコントロール、高い努力ー報酬不均衡、低い関係的正義、手続き的正義、役割ストレス、いじめ、低い社会的支援などの要因が関係し、これらの要因を包括的に考慮する必要性を述べています。うつ病発症では、こうした職場ストレス要因とともに、いじめ、ハラスメントがリスク要因として指摘されております。
長時間労働とうつ病関連については、ある研究では、週55時間以上の長時間労働とうつ症状発症との関連を指摘しています。アジア地域では関連はより強く、ヨーロッパ地域、北米地域では弱かったとのことです。
職場ストレスと睡眠障害との関連についても、最近のレビューでは、職場ストレス、特に仕事の高い要求度と低いコントロール(裁量)が将来の睡眠の質の低下のリスク要因と指摘しています。同様の他のレビューでは、職場環境について包括的に検討して、職場のソーシャルサポート、仕事のコントロールは睡眠障害減少に、高い仕事の要求度、仕事の精神的負担、ハラスメントなどのは睡眠障害増加に関与と述べています。
長時間労働の影響では、週55時間以上の労働時間は、睡眠時間短縮、入眠困難、早朝覚醒のリスクであったと報告されています。別の労働者対象の大規模な研究でも、睡眠障害の有症率は、週40~48時間労働を基準とすると、週40~60時間、週61時間以上と、労働時間の増加に連れて増加しておりました。

職場でのうつ病対策としての睡眠障害や職場ストレスへの取り組み】
睡眠障害や職場ストレスがうつ病発症のリスクであるとすると、睡眠障害対策や職場ストレス対策はうつ病予防にも効果があるのではないかと推測されます。職場でのうつ病対策を考えたとき、従業員に対して、うつ病については直接問題にしにくいですが、睡眠障害であれば話題にしやすい面があります効果があるようであれば、睡眠障害対策やメンタルヘルス対策はうつ病対策としても有効ということになります。

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※参考文献【精神科 第36巻 第4号 編集 精神科編集委員会 発行 科学評論社 「特集I 職場のメンタルヘルス 睡眠障害と職場ストレスの抑うつ発症リスク 榊原久孝 西谷直子」】

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