ブログ〈メンタルヘルス〉

2020.11.21

コロナとメンタルヘルス

 新型コロナウイルスの影響で外出自粛が求められ、在宅勤務が導入されました。その結果、「コロナうつ」やDV、児童虐待、「コロナ離婚などが話題になりました。在宅勤務は通常勤務とどこが違うのでしょうか。通常勤務ですと、毎日同じ時間に起き、電車に乗られ出勤し、他の従業員とコミュニケーションをとり、時には仕事終わりにお酒を飲んで帰宅します。しかし、在宅勤務ですと朝早く起きる必要はなく、上半身だけ着替え、子供の相手もしながら、終電の心配もなくだらだらといつまでも仕事をすることができます。通勤勤や職場内での移動がなくなることで運動量も格段に減ります。太陽の光を浴びる量も減ります。この結果、脳のリズムが狂ってきます。また、人とのコミュニケーションが取れずストレスが溜まります。一人暮らしの人は孤独な生活が続き、思考がどんどんマイナス思考になってきます。会話をしないことは脳にとって大きなストレスになるのです。このような状態が続くことで、抑うつ状態や、不眠、イライラ、頭痛、肩こりなど様々な症状が出てくるのです。結果、DVや離婚問題、うつ病などが増えてしまったのです。

 アメリカ社会心理学会は、社会的隔離下では「恐怖と不安」、「抑うつと倦怠」、「怒りやフラストレーション」、「差別や偏見」、「社会的弱者」が問題になるとしています。特に、例えば視覚障害者や高齢者など生活に介助や介護が必要な人にとっては、周囲が社会的距離をとることが特には致命的な問題になることを我々は知らなければなりません。
 日本赤十字社は、「新型コロナウイルス感染症に対応する職員のためのサポートガイド」でウイルスによりもたらされる3つの感染症として、①生物学的感染症(疾病)②心理的感染症(不安や恐れ)③社会的感染症(嫌悪、差別、偏見をあげています。この中で、「不安は人から人にまたたく間に伝わります(第2の感染症))」「恐怖心は人間の自己保存本能を刺激し、ウイルスに接触したとみなされる人を日常生活から遠ざけたり、嫌悪したり、差別に扱ったりする現象が生じます(第3の感染症)」。対応職員がその職務に従事することによって嫌悪の対象となったり、周囲の人間との関係性の悪化や葛藤を経験する可能性があるのが特徴的です。」と説明しています。
 第1の感染症に対するワクチンは開発途中ですが、第2,3の感染症は予防することが可能です。恐怖感を煽るだけの情報に振り回されず、基本的なことを理解して正しく論理的に考えることで予防することができます。第3の感染症は、感染症が発生したり受け入れた医療・福祉関係者が差別を受けたり、飲食店に嫌がらせをしたり、「自粛警察」なる人々も出てきて、社会的分断を招きました。実際に当社の相談でも、コロナ患者を対応している医療従事者からのメンタル相談は多く、感謝はされるが距離を置かれることや、心ない言葉を浴びせられるという悩み相談がありました。また、飲食店では感染を過度に心配する客からのクレームでメンタル不調を訴える方もいました。日本は、海外のように政府の強制的ロックアウトと違い、個人の自覚と責任による自粛という形のため、
感染した人が悪い→自分が感染したら悪者にされるという恐怖心→自粛しない人は悪党→悪党は成敗されるべき、と恐怖心に支配されて認知がゆがんでしまった結果の行動と思われます。感染や自然災害などは怒りの矛先をどこに向けてよいかわからないため、「目に見える存在」に矛先が向かうという理由も考えれます。これから我々に求められることは、偏った報道やコメントに振り回されず、確かな情報を入手し、自らが冷静かつ理論的に判断すること、そして、「相手の気持ちを考え、優しさを忘れず、みんなでこの困難を乗り越えていきましょう」という考え方です。

【感染症と自殺の関係】
新型コロナウイルス感染症が日本で広がり始めた2020年2月以降、全国の自殺者数は過去3年間よりも少なく推移しています。2020年4月には大きく減少したものの、6月以降は増え、10月には前年比の約1.5倍にもなりました。厚生労働省によると、第二次世界大戦のさなかにも自殺率が減少しました。しかし、終戦後は自殺率が高まり、10代後半から20代の若者の自殺が特に増加し、その影響は15年以上続きました。東日本大震災時、津波の影響を受けた地域ではしばらく自殺率は下がり、復旧が進んで避難所から出始めた頃に自殺率が高まりました。これらのことからも、戦争や災害などでは、しばらくの間は自殺率が低く抑えられますが、平時に戻っていく時期に自殺率が高まっていくのです。他方、バブル経済崩壊では直後から徐々に自殺率が高まり、10年以上もその影響は続きました。今回、感染症による生活・経済活動への影響が長引くと、戦争や災害とバブル崩壊を併せたような展開になるのではないかと懸念されております。

【東京都自殺相談ダイヤルから見たコロナの影響】
東京都自殺相談ダイヤルによると、コロナに関する相談は4月で全体の17.2%を占めました。6月には一旦4.8%まで下がりましたが、7月はまた上がりました。相談内容を大きく分類してみると、仕事(失業)経済問題、家庭問題、生活の変化、精神悪化、コロナの症状、感染の不安になるそうです。最初は、「感染しないか不安、感染したのでは?」という感染症そのものや、生活様式が変わったことによる悩みが多く、緊急事態宣言が出されてから家庭問題や経済問題が増え始め、長引くにつれてから精神症状に関する相談も増えたとのことです。
 家庭問題の中身は多岐にわたり、且つ深刻だったとのことです。「家族が家で過ごす時間が増えて、夫婦関係の破綻が決定的になった」「子どもをきつく叱ってしまう」などです。「相談ほっとLINE@東京」は10代の相談が半数近くをしめますが、「親と激しく衝突している」といった相談が多くあり、児童相談所への通報が必要になったケースもあったとのことです。
経済問題の相談は、収入が減って生活が苦しいという相談だけではなく、通販にはまって借金を抱えてしまったという相談もあったとのことです。
 生活の変化では、自粛生活の辛さだけでなく、「精神科外来が制限され、これまでのように相談できなくなった」、「デイケアや就労施設が閉鎖され、生活リズムが崩れてしまった」といった相談も見られたとのことです。
 精神症状では、「幻聴がひどくなった」「自傷行為がとめられなくなった」「除菌行動がやめられず生活もままならない」といった強迫症状の相談、「在宅勤務になってから昼間からお酒がやめられない」と依存症の相談があったとのことです。



新型コロナウイルス感染症の流行が続き、生活や経済や精神科医療への影響が長引くと、こころの問題はさらに深刻化し、自殺者の増加につながりかねません。「相談」をすることで最悪事態を防げる可能性もあります。
ミーデンでは50分4950円とお手軽な価格でカウンセリングが受けられます。
また、東京都自殺相談ダイヤルでは無料で相談できるので、自分に合ったものを探してみて「相談」をすることをおすすめします。
※参考文献【こころの健康だより No129 2020年10月号「COVID-19がもたらしたメンタルヘルス課題 著 菅原 誠」、「電話相談の現場から見た 新型コロナウイルス感染症の影響 著 西村 由紀」 】

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