メンタルヘルス

2020.11.28

ストレスチェックの面談を受けない人が多い?

 【ストレスチェック制度の概要】


2014年6月に改正された労働安全衛生法に基づき、2015年12月から労働者50人以上の事業場では、事業者がストレスチェック制度を実施することが義務化されました。ストレスチェック制度は、自記式質問紙による検査だけでなく、事業場内でのその後の対策までを含んだ制度です。ストレスチェック制度の主な目的は「労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止すること(一次予防)」とされ、ストレスチェックにはこの目的を達成するために2つの要素があります。1つ目は個人結果の返却によりストレスへの自覚を高め、労働者自身で予防に取り組んでもらうことと、2つ目は積極的な職場環境改善により職場の集団全体でメンタルヘルス対策をすることであります。また、ストレスの程度の評価に基づき高ストレス者と判定されたものに対しては本人の申し出により医師と面接を行い、必要に応じて事業者による適切な措置につなげます。


ストレスチェックに使用する調査票は、「職業性ストレス要因」、「ストレス反応」、「社会的支援(緩衝要因)」の3要因を含むものであれば衛生委員会の審議の上で事業場が選択できます。厚生労働省は、これらの3要因を包括的に測定できる職場ストレス簡易調査票の使用を推奨しています。

                      

【ストレスチェック後、医師による面接指導を受けないことが問題となっている】


ストレスチェック制度実施初年度の実施状況を明らかにすることを目的に、全国の常勤労働者3891人を対象とした調査が行われました。その結果、労働者数50人以上の事業場に勤務している対象者のうち、ストレスチェック制度の実施通知があったと回答した者の割合は52.5%、そのうち実際にストレスチェックを受検した者の割合は、92.0%でありました。高ストレス者の割合は、受検者全体の14.2%でありました。受検者全体のうち、医師による面接指導を申し出た者は2.6%であり、「高ストレス者」と判定された者で、医師による面接指導を申し出た者は18.6%でありました。ストレスチェックを受検した労働者のうち、自身の職場で職場環境改善が実施されたと回答した者の割合は3.3%でありました。

                       

 一方で、平成30年「労働安全衛生調査(実態調査)」において厚生労働省が実施した事業所調査によると、ストレスチェック制度の実施義務対象事業場のうち、90.9%の事業場がストレスチェック制度を実施しており、うち集団分析の実施率は77.9%と報告されています。平成29年度の厚生労働省によるストレスチェック初年度の実施状況の報告では、労働者の受検率は78.0%、医師による面接指導を受けた労働者の割合は受検者全体の0.6%と報告されています。これらのことから医師による面接指導の申し出を行わない人が多く、問題視されております。では、何故申し出ない人が多いのでしょうか?それは会社側に高ストレスであることが知られてしまい面接を受けづらいというものが原因です。自身がメンタル不調である可能性がある場合、それを会社側に伝えることは勇気のあることです。「周りから色メガネで見られてしまうのではないか」「人事評価が悪くなるのではないか」などあらゆる心配がでてきます。先進国の中ではメンタルヘルス対策が遅れている日本では、メンタルヘルス不調は「誰でもなりうる可能性があるもの」という考えがまだ浸透していないという点も原因として考えられます。

【ストレスチェック制度の課題と今後の展望】


高ストレス者に対する医師面接では、面接を申し出ない労働者への支援が不足することから、高ストレス者であることを会社側に知られずに労働者が産業保健スタッフと面接ができる仕組み(法定外)を事業者が検討することも重要であります。高ストレス者のうち、専門家へ紹介が必要なメンタルヘルス不調の疑いのあるものは47.3%と報告されており、医師面接による適切な医学的アセスメントと早期の医療機関受診勧奨は一定の意義があり、特に精神科産業医に期待される役割は大きいです。


ある調査では、ストレスチェックを実施するだけでなく、職場環境改善などの事後対応を組み合わせることで労働者のストレス反応の改善や有用性の実感が得られることが示されております。職場改善に関する全国の事業場調査では、ストレスチェック実施後に何らかの職場環境改善の取り組みが行われた事業場の割合は1年目(2016年)に37.0%、2年目(2017年)で44.2%と徐々に増加しているが、その内容の多くが「経営層への報告と説明」となっており、現時点で科学的根拠が最も蓄積している「労働者参加型職場環境改善」を行った事業場はそのうちわずか4~7.5%でありました。。産業保健スタッフが集団分析結果から職場環境改善につなげるノウハウを習得できる、全国産業保健相談支援センターなどを通じてファシリテーター研修や実践者の教育が行われております。特に産業医は医師面接だけでなく、職場感情改善に対しても事業者と連携してイニシアティブを取ることが求められております。
エビデンスに基づく労働者のメンタルヘルス対策としてストレスチェックをさらに有効に活用するため、科学的根拠の収集とともに実務上の現場の課題を軽減させる対策を急ぐ必要があります。

                    

【まとめ】

 ストレスチェックを実施するだけになっていませんか?ストレスチェックは実施するだけでは意味がありません。実施した後、メンタルヘルス不調者に対して適切な対応をすること、職場全体のメンタルヘルス対策をすることが必須です。
ミーデンでは、医師面談実施前に会社に知られずに公認心理師、臨床心理士に相談することができます。
また、産業保健スタッフが職場改善を指導いたします。

従業員様を本当の意味で守るためにも適切な体制を整えましょう。

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【参考文献 「精神科 第36巻 第4号」 編集 精神科編集委員会 発行 科学評論社  
「ストレスチェック制度に関する最近の話題」 佐々木 那津、駒瀬 優、川上 憲人】

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