メンタルヘルス

2021年02月

2021.02.22

嘱託産業医は精神科医がよいのか

  嘱託産業は専属産業医と違い、他の病院に勤務していることや開業医として
働いていることが一般的です。(専属産業医は全体の0.4%しかいない)

【嘱託産業医の主な職務】


1.職場巡視と指導
2.定期健康診断等の結果を確認し、健康管理区分を決定し、事後指導を行う。
3.健康相談・メンタルヘルス相談
4.過重労働者に対する面接指導
5.休職者・復職者に対する産業医面談
6.安全衛生委員会への参加
7.健康診断結果報告書・ストレスチェック報告書への署名、捺印
8.意見書の作成、その他産業医として必要な業務全般
※【嘱託産業医スタートアップマニュアル「ゼロから始める産業医」著者 勝木美佐子、奥田弘美】より引用

                            

                           

【産業医の仕事領域は年々増えていっている】

 医師は全ての領域に関して基本的な知識は勉強しますが、専門医制度などがあり、自分の専門外の領域には詳しくないことがあります。そのため、産業医が全てに対して精通するのはとても難しいように思われます。産業医活動は時代に沿って変わっていき、職業病・中毒、災害防止、健康管理、生活習慣病、メンタルヘルス不調者への対応、ストレス対策と産業医として求められることが増えてきました。


今までは、産業領域ではどちらかというと体の健康に関する事柄に焦点が当てられていましたが、2014年6月の安全衛生法の改正で
ストレスチェック制度
が義務付けられ、メンタルヘルス領域も重視する必要が出てきており、精神科を専門とした産業医が重宝されるようになりました。しかし、精神科医は、心の専門家であり、体に関しては内科医の方が専門です。嘱託産業医は何科の医師がよいのでしょうか。

【産業医は何科が良いのか?】

 精神科医、内科医、耳鼻科医、外科医、形成外科など何科が専門科であるかよりは、産業医活動に対して熱心に取り組んでいる、歴が長い、労働衛生コンサルタントを所有しているなどが重要になってきます。最近では、産業医紹介会社で他の科よりも精神科医の金額が高くなっているケースがあります。

社内のメンタルヘルス対策に困っている会社が産業医紹介会社に問い合わせを行い、産業医紹介会社が精神科医を紹介し、高く金額を取るというものです。


産業医は主治医にはなれません。つまり治療ができないのです。もし、従業員にメンタル不調者が出た場合、その従業員をいかに早く近くの精神科クリニックにつなげるかが大切なことです。大切なことは従業員がメンタルヘルス不調になった時に早めに気づき、迅速に対応できる職場の体制づくりなのです。

 もちろん産業医を精神科医とする利点もありますが、それはあくまで産業医という仕事を理解してから判断するべきであります。詳しくは、下記ブログをご参考ください。

⇒「産業医と精神科医

2021.02.22

睡眠負債?!解消が仕事の基礎を作る

私たちの健康は、「睡眠」によって大きく左右します。


日本人は世界的に見ても睡眠時間が少ないことが分かっており、特に女性は仕事だけでなく家事や育児のために、男性よりも睡眠時間が短く慢性的な睡眠不足の状態にあると言われています。今回は「睡眠」をテーマにお話ししていきます。

就労者の睡眠時間の国際比較

太田美音(総務省統計局労働力人口統計室)「統計」2006

睡眠負債とは、毎日の睡眠不足が借金のように積み重なっていくことをいいます。睡眠負債が続くと、生活に支障をきたすような健康障害が生じます。

チェックリスト

□布団に入ってからすんなりと眠りに入ることはできますか?

□夜中、途中目を覚まさずにほとんど寝ることができますか?

□起床時刻よりも早く目が覚めても、再び眠ることはできますか?

□総睡眠時間は足りていますか?

□全体的な睡眠の質には満足していますか?

□日中眠くなって仕方がない状態はなく過ごせていますか?

これらの質問に対して「いいえ」と感じる人は、睡眠負債を抱えている可能性が高いです。がん、脳血管疾患、心疾患、糖尿病などの生活習慣病へのリスクだけでなく、脳が休まっていない状態が続いているため、判断力や記憶力が低下したり、効率が落ちたりと生活に支障をきたすようになります。生きる上で必要な活動に使うエネルギーや能力が落ちるわけですから、どれほど深刻か分かります。

睡眠不足
睡眠負債の大きな原因は毎日積み重なる睡眠不足です。アメリカでの大規模な調査によると、睡眠時間が7時間の人が一番長寿であることが明らかとなっています。たくさん寝ればいいというわけではなく、夜に寝て、朝に起きるという規則正しい生活が重要であることが分かります。

睡眠障害
睡眠不足が習慣化することで睡眠障害が生じることがあります。症状の一つに不眠症がありますが、単に眠れないことがイコール不眠症というわけではありません。不眠症の原因は、環境や生活習慣によるもの、精神的・身体的な病気から来るもの、薬によって引き起こされるものなど様々です。

「睡眠の質」という言葉をよく聞きます。これは眠ったはずなのに、疲れが取れていないと感じることがあるからです。質の高い睡眠を得るためには、自律神経やホルモンなどの働きがあります。「睡眠の質」が高ければ、うまく眠りのサイクルに入ることができ、脳や体を休ませることが出来ます。

夜間睡眠パターン

厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト(眠りのメカニズム)

眠りのサイクルとは、夢を見る「レム睡眠」と大脳を休める「ノンレム睡眠」のことです。睡眠状態であっても脳の状態は一様ではなく、脳には動きが見られます。「レム睡眠」中は、眼球が素早く動いている状態であり夢を見たり、金縛りにあったりと、眠りが浅く、体が眠っている状態です。一方「ノンレム睡眠」中は、眼球の動きはなく、深い眠りで脳が休んでいる状態です。「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」のそれぞれの役割があるため、このサイクルがとても重要です。

一般社団法人日本看護学校協議会共済会 第4回睡眠の基礎知識~その3

睡眠の質を高めるチェック項目

□起床後すぐに太陽光を浴びて、体内時計をリセットする

□朝起きたら手を冷やし、活動のスイッチを入れる

□夕方に散歩または軽い運動をする

□寝る前の90分前後に入浴する

□夕食は寝る1時間前までに食べる

□寝室の照明を落とし、快適な温度に設定する

□寝る前にスマホやテレビなどの電子機器を使用しない

「睡眠の量」はどうでしょうか?睡眠時間をたくさん取れば取るほどいいのでしょうか?それとも具体的な時間があるのでしょうか?これに関して言えば、絶対的な基準はないということが言えます。睡眠は、体質や性、年齢などによって個人差があるためです。「絶対にこれだけ寝ないといけない」と固く考えず、「自分が日中働いていて困らない程度」を一つの目安とします。

大塚製薬|睡眠リズムラボ|最適な睡眠時間って何時?

上記の図は実際の睡眠時間について調査された論文をまとめたデータです。10歳までは8~9時間、15歳で8時間、25歳で7時間、45歳6.5時間、65歳で6時間と、加齢とともに睡眠時間が短くなることも報告されています。季節によっても睡眠時間が変化すること、生まれつきによって朝型、夜型があることも分かっています。

最も大切なことは「睡眠時間を確保すること」です。日中眠くなったり、休日起きるのが遅かったりする場合には、睡眠時間が少ないサインです。

睡眠は心身の疲労回復の役割があるため、仕事をする上で基本となるエネルギーをはじめ、判断力や記憶力などを高め、感情を整理したり、免疫力を養ったりと非常に重要な役割を果たしています。睡眠時間を確保して、毎日生き生きとした生活を送りましょう!

2021.02.19

働きやすい職場に変えたい方へ|メンタルヘルス

 「働きづらさ」を感じたことはありますか?

自分では一生懸命やっているのに、
上司に「気が利かない」と叱られる。
でもどう改善したらいいか分からない。

職場でちょっとした会話に
うまく入っていくことができない。

社内で大勢の人が働いていると
どうしても集中できない。

「働きづらさ」を感じて、自分なりに工夫をしたり、周囲に相談したりして改善されれば良いのですが、対処してもうまくいかないこともあります。そうすると、あなたの努力を知らない人達からは厳しい目で見られたり、怒られたりと悩みが深くなることもあります。「働きづらさ」には、どのような背景があり、どのような対処をすれば良いのでしょうか?

何度も注意されたり、怒られたり、失敗したりを繰り返していると、「自分はダメな人間だ」「能力がないんだ」と自分を責めてしまうこともあります。しかし、働きづらさは個人の能力によってのみ引き起こされるものではありません。さまざまな「個人要因」とその人を取り巻く「環境要因」によって引き起こされていることがあります。

例えば、〈気が利かない〉というケースでは、本人に「相手の意図や状況を読み取ることが苦手」という個人要因と、職場に「どうしてほしいのか十分な説明がない」という環境要因があるとしましょう。

その場合、上司が何度も注意し、しっかり計画を立てるように指示したとしても、問題解決には繋がらないかもしれません。個人要因により、本人が計画を立てようとしても、そもそも計画を立てることが苦手でありどう立てたら良いか分からず環境要因もあり、仕事の全体像が見えにくいことが個人の段取りの悪さに影響を与えているかもしれないからです。

このような職場であっても、「仕事の内容を理解し、計画を立てることが得意な人」であれば、うまくやっていけるのかもしれません。また、計画立案が苦手な人でも「仕事の内容や優先順位が明確に指示される職場」なら、働きやすく感じるかもしれません。このように、働きづらさの背景を考える際には「個人要因」と「環境要因」を考えることが必要です。

 何事もそつなくこなす人もいますが、働きづらさを感じる人は得意・不得意が割とはっきり分かれている人かもしれません。何か問題が起こった時、個人要因として考えられるのが、この不得意に当たる部分でしょう。誰でも得意・不得意はあり、不得意は悪ではありません。個人要因と環境要因から対処方法を考えていきます。また対処を考える時、個人要因の得意な側面(できていること)不得意な側面(できていないこと)の両面をしっかり捉えることが重要になります。そうすることで、「自分はこれが苦手」だけど「これは得意」ということに気づきながら、自分にあった、自分にとって無理のない働き方を考えることができるようになります。

事例 営業

商品やサービスの営業の仕事をしている人を指しています。
営業はルート営業と新規開拓営業に分けることができます。

「ルート営業」は既存の顧客を回るタイプの営業です。すでに取引のある顧客を訪問して最近の様子を聞き、新たなニーズを掘り起こしたり、信頼関係を築いたりします。

「新規開拓営業」は新規顧客を獲得するための営業です。オフィスへ飛び込み営業をしたり、電話でアポイントをとったりして契約につなげます。

❑Aさんの場合(うまくいった話)
Aさんは20代の男性です。ウォーターサーバーなどオフィス向けのサービスのルート営業を任されていました。しかし、自分の興味関心のない話題で雑談することが苦手でした。そのため、取引先に行っても関心のない話は相手の話に合わせるだけで終わってしまい、関心のある話には逆に話し過ぎてしまい肝心の話ができないことがほとんどでした。売り上げが出るはずもありません。
 彼は、会話の中で相手の意図を察することや、目的にそって会話の流れを切り替えることを苦手としていました。したがって、会話を続けることも苦労していましたが、雑談の中で相手の真意を読み取ることができず、商品の紹介ができたとしても、的外れになることも多くありました。
社内では「ただおしゃべりしているだけ」「ちゃんと商品の説明をしていない」と評価され、客からは「提案してもらっても時間の無駄」「来なくていい」と言われてしまいました。

 やがて会社は配置転換をして、Aさんを新規開拓営業のチームに入れました。すると、今度はうまくいくようになりました。「相手の意図に気づきにくい」ということが新規開拓営業では良い方向に働いたのです。Aさんは相手に警戒されても臆せずに話しかけ、サービスの魅力を伝えることが出来ました。また、断られてもあまり落ち込まず、次の客に向かうことができたのです。
新規開拓営業ではセールストークがマニュアル化され、相手がイエスといえばA、ノーといえばBといった形で提案すべきことが明確になっていました。そのためAさんは相手の言葉の裏を読み取る必要がなくなり、仕事に集中できたのです。


❑Bさんの場合(うまくいかなかった話)
Bさんも同じく20代の男性です。彼も雑談が苦手で、話し相手の気持ちを読み取りながら会話を展開していくことが苦手でした。ただ彼は初めから新規開拓営業を担当していました。Aさんと同じように顧客にどんどん連絡を取って、商品やサービスを売り込んでいく仕事です。しかし、BさんはAさんのようにうまくはいきませんでした。Aさんとは仕事のスタイルが違ったのです。
Bさんは保険商品の営業をしていました。Bさんが取り扱っていたのは比較的複雑なもので、Aさんのウォーターサーバーの例のように「マニュアル化されたセールストーク」が出来ないものだったため、非常に苦労していました。
Bさんが契約を獲得するためには、顧客の状況を聞き取りながら、その人にあったプランを一緒に考え、その時々に必要な保障を組み合わせて保険商品を提案するというようなものだったのです。一人ひとりのニーズに合わせて、プランや商品をオーダーメイドしなければならない複雑な営業がBさんには適していなかったのです。

Aさんがある程度見えやすい「顕在ニーズ」をつかむ仕事だったのに対し、Bさんは顧客の中に隠れている「潜在ニーズ」を探る仕事をしていました。その違いが、AさんとBさんの働きやすさ、働きづらさに繋がっていたのです。

❑Cさんの場合
Cさんも20代の男性で、空調システムの営業・管理をしていました。契約中のお客様を回りながらルート営業を行っていました。やはり雑談が苦手で話を広げることが上手くできません。しかし、空調機器に関する知識は豊富で、メンテナンスの技術も身に着けています。そのため、仕事に関する相談にはきちんと対応することができました。彼の場合は、むしろ顧客から空調に関する相談が来るような良い関係性が出来ていたのです。
またAさんの会社とは異なり、Cさんの会社はルート営業であっても基本的な手順があり、それに従って仕事をしていました。訪問先の担当者に挨拶し、機器のメンテナンスを行い、結果を報告します。その際、相手に規定の質問をして、何かニーズが発生していたら新規購入の提案をしたり、会社に持って帰って検討を行ったりする手順です。ルート営業ですが、ある程度手順や質問が決められているので、比較的悩むことなく仕事することが出来ていました。

3つの事例をあげましたが、必ずしも「ルート営業」と「新規開拓営業」がいいとは言えないことが分かります。どちらが適していると言えれば分かりやすかったのですが、これが事実に即した回答と言えます。働きづらさは個人要因と環境要因によって異なるため、同じ働き方をしていても、職場によってうまくいくかどうかは異なってくるのです。似たようなタイプの3人を上げましたが、共通する点もありました。それは、「相手の意図を汲み取ることが苦手」という点と、顧客の「潜在ニーズを探る」ことは苦手で、手順通りに仕事するのは得意という点です。

営業の場合、それぞれスタイルがあります。初めは先輩にやり方を教えてもらうと思いますが、必ずしも自分にもそのスタイルがあっているかとは限りません。先輩との関係性にもよりますが、基本的には先輩のも参考にしながら自分のスタイルを優先した方が上手くいきます。自分にとって苦手だと分かっているのに、先輩のスタイルに合わせることは上手くいかない可能性が高くなります。また、先輩からアドバイスをもらったら出来そうなものから試していくとよいでしょう。

※参考文献には職業別により細かく事例が載っています。詳細はそちらをご覧ください。

 私たちは注意を受けたり、失敗したりすると意識を変えようと考えます。例えば、外回りの際、いつも忘れてしまう書類があるとします。書類を忘れないためにはどうしたら良いでしょうか?「書類を忘れないようにしよう」と意識するよりも、書類を置く場所を今までと違う場所にしておく方が忘れる回数はぐっと減ります。「書類を目に入るところに置いておく」「カバンの中に入れておく」。このような環境を変えてあげることが、働きやすさに繋がります。

これを「環境調整」と言います。

①人的な調整:人の配置や役割の調整
「指示をする人(上司)」「相談する人」を明確にします。「いつ、だれに、何を聞けばよいか」を理解しやすくなります。これは上司に確認をする必要があるでしょう。

②作業遂行の調整:作業への取り組み方や進め方を調整
マニュアルを置く、チェックリストを作るなどの調整が考えられます。

③物理的な調整:道具や設備などの調整
人によって異なりますが、机の上に必要以上にモノを置かない、デスクを作業しやすい場所に設置する、周囲についたてを置いて壁を作るなどが考えられます。

自分なりに努力しているのに上手くいかなくて、どうしたらいいのか分からないという時、私たちは「自分には能力がない」と責めやすくなります。しかし、誰しも得意なことと不得意なことがあるものです。できることと苦手なことは何か(自己理解)を深めた上で、自分に合った環境に少しずつ変えていくこと、場合によっては周囲にも理解してもらうことが大切です。

参考文献:株式会社LITALICO陶貴行・服部一史(2020)「頑張ってもうまくいかないひょっとして発達障害?と思ったら読む無理しない働き方」日本能率協会マネジメントセンター

2021.02.15

指示が通りやすくなる「仕事のうまい指示の出し方」|メンタルヘルス

 仕事上の行き違いや同僚との会話など、職場では様々なトラブルが起こる可能性があります。自分の中では分かりやすい説明であったとしても、相手にとっては分かりにくいのかもしれません。また、相手が意図やニュアンスを読み取ることが得意でない場合には、他の人と同じように説明するのでは伝わりません。少しのポイントを抑えておくだけで、相手への伝わり方がより分かりやすくなります。参考になりそうなものをぜひ試してみてください。

仕事の指示は、簡潔な言葉で具体的に出す

その1 具体的に指示をする
あいまいな表現や抽象的な指示をしていませんか?

例えば、「昨日言った通りにして」と伝えると、昨日言ったこととは「何のこと」なのかが分からない場合があります。また、「適当にやっておいて」と伝えると、思いもよらない形で提出され「こうじゃない」とやり直しを指示しなければならない場合もあります。これは、指示の仕方が曖昧で「何を」「どのように」してほしいのかというイメージが上司から部下へ上手く伝わっていないために起きています。

WHY:なぜ
場合によっては、目的や理由を伝えることで指示した以上のものを悟ってくれることがあります。「実は緊急で取引先から連絡があって」「今度の会議で使う資料なんだけど」と添えるだけで、部下は迅速に動いた方がいい状況だな、丁寧に作る必要があるな、と状況を把握しやすくなります。

WHAT:何を
仕事内容、依頼内容を明確に伝えます。あれ、それ、さっきのではなく、名詞や動作を言うようにしましょう。例えば「あれやっておいて」ではなく、「印刷をやっておいて」と伝えます。

WHEN:いつ
時期や時間、期限を明確に伝えます。いつまでに、どの時間帯に、というものを言うようにしましょう。例えば「印刷をやっておいて」だけでなく「13時の会議までに印刷をやっておいて」と言えば、いつまでにやらなければいけない仕事か理解することができます。

WHO:誰
誰がやるか、誰とやるか、誰に対してやるのかを明確に伝えます。例えば「今日の会議にはいつもの5人の他に社長も来られるから、コーヒーを用意しておいて」と伝えれば、綺麗なコーヒーカップに淹れた社長用のコーヒーを用意しようと思うでしょう。

WHERE:どこで
場所を明確に伝えます。例えば「終わったら、私のデスクに置いておいて」と伝えることができます。

HOW:どうやって
どうやるのか明確に伝えます。操作方法や準備の仕方、量などを伝えると分かりやすいです。

HOW MUCH:いくらで
お金がかかる場合には、いくら以内か、いくら程度か、いくらかかるか伝えると、よりモノや企画のイメージがつきやすくなります。チームや部下に完全に任せる場合にも「3000円以内で」「企画費は150万だよ」とあらかじめ伝えておくことは非常に重要なことです。

その2 短く、わかりやすく指示を出す
コミュニケーションをとる上で、「今日は暑くて大変だね」「無理しなくてもいいからできるところまでやってみて」などの声掛けは非常に重要なことです。しかし、その一言があるがゆえに本題である指示が通りにくくなる人もいます。伝わりにくさを感じる人に対しては、「○○してください」と仕事の内容だけを伝えることを試してみてください。

その3 言葉よりも文字や図を使って伝える
言葉とは目に見えないものです。目に見えない言葉だけで、指示をされると忘れてしまったり、抜けてしまったり、よく分からなかったりすることがあります。メモに文字で書いたり、紙に図で表したり、手を使って数字や動作を表現したりすると伝わりやすくなります。

言外の意味や皮肉が分からない人もいることを理解する

言葉には裏に意味を含んでいる場合があります。職場で部下に会った時、軽い挨拶で「最近どう?」と言ったのに「何がですか」と言われたことはありませんか?「空気が読めない人だなぁ」というと「空気は読めなくて当たり前じゃないですか」と本気で言葉通り受け取る人もいます。このような人には、裏を読まなければならない言葉を控えるようにすると、すれ違いなく気持ちよく会話することが出来ます。

冗談
焼肉やさんの前で「さあ、牛一頭分を食べるぞ」と言っても、意味が分からなかったり、本気にしてしまったりします。これはただ話を誇張しているだけですが、それを読み取ることができません。

慣用句
「そんなこと朝飯前だよ」「猫の手も借りたい」など言葉や文字と別の意味を持っている慣用句を理解することができません。

決まり文句
「まっすぐ帰って」「安月給」といってように普段何気なく使っている言葉も本人は「道を曲がらきゃ帰れないよ」と思っている場合があります。「今度また飲みに行こう」という言葉も「今度っていつ?」と思っているかもしれません。

敬語
敬語はとても難しいものです。相手や場面に応じて言葉遣いを調整しなければならないので、これが難しい人もいます。職場で上司や取引先の人に友達のような言葉遣いをしてしまい、トラブルになることもあります。

人の気持ちや表情が読み取れない人がいることも理解する

話をする時は、相手の表情や声のトーン、身振り、手振りが気持ちを読み取る上で重要な要素です。しかし、これらの要素から感情を読み取ることが難しい人もいます。イライラした態度をとっても、相手にとってはイライラしていることは分かるけど何に怒っているのか分からないということもあります。また中には、「大声で」名前を読んだり、指示を出したりしただけで、怒られたと感じる人もいます。

例えば、外回りの仕事が終わり、自分は次の予定があるので相手には先に戻っていてほしいと思い、遠回しに「○○さんはどの線で帰りますか?」「今日は疲れたから早く帰りましょう」と言ったとしても、その意図を読み取ることが出来ません。

表情
・相手の表情を見ても喜怒哀楽を読み取ることができない
・表情の変化を感じることができない
・笑顔に笑顔で応えられない
・相手が怒っても気づかない

口調
・口調から相手の気持ちを察することができない
・あいまいな表現が分からない
・優しく話しても怖がる
・怒っている、ほめられている、悲しんでいる…が声のトーンでは分からない
・遠回しな言い方が分からない

しぐさ
・首を縦に振ったり横に振ったりする意味が分からない
・本人も身振り、手振りを使わない
・指で「OK」を作っても通じない

省略した言葉遣いや代名詞を使わないようにする

Aさん「最近、仕事の調子はどう?」
Bさん「まあまあです」
Aさん「きみは?」
Cさん「大変です」

これは自然な会話です。

Aさん「最近、仕事の調子はどう?」
Bさん「まあまあです」
Aさん「きみは?」
Dさん「何がですか?」

今度はAさんの意図がDさんには通じませんでした。Aさんの「きみは?」とは「きみは最近の仕事の調子はどう?」を省略したものですが、省略した部分がDさんには理解できなかったことが分かります。

省略をして通じる人もいますが、Dさんのような人には省略せずに伝えることが必要になります。他にも頼んでいたものに対して「○○さん、用意できた?」と聞くと「何が?」となってしまう人もいます。この人は頼まれたことを忘れていたわけではなく、きちんとしていましたが、本当に「何が、用意できたか」と聞いているのか分からなかったのです。「あれ」「それ」という言葉も何を指しているのか分からない場合があるので、名称で伝える方が丁寧です。

ここまで読んでみると、人によっては苦手なコミュニケーションがあることがご理解いただけたのではないでしょうか?「普通わかるでしょ」という態度で接していると、思わぬトラブルが起こったり、相手の自信を喪失させたりすることになりかねません。人に合わせた指示の出し方、伝え方ができる人になれるように努めることも、自分の能力を高めることだと考えます。参考になれば幸いです。

参考文献:宮尾益知(2019)「コミックで分かる『職場』のアスペルガー症候群」河出書房新社

2021.02.08

セルフケアに役立つ!ストレス対処方法|メンタルヘルス

  

なぜ、ストレス対処は必要なのでしょうか?


ストレス社会と言われている今、自分自身の健康は自分で守るスキルが求められています。過剰なストレス負荷は、様々な疾病を発症させる危険性が伴います。ストレスの基本知識やストレス軽減への方法は、精神衛生上の健康生活の質の向上・維持の助けとなります!

そもそもストレスとはなんでしょうか?


ストレスとは、元来、機械工学的な用語で、物体を引き延ばしたりしたときに、その物体に乗じる「ひずみ」を意味していました。1936年、生物学者のハンス・セリエによってストレス理論が提唱され、心身に負荷をかけるものを「ストレッサー」それによって心身が歪んでいる状態を「ストレス状態」と表すようになりました。(参考資料:世界百科事典 第2版) 

ストレッサーには2種類あります!

1つ目は人間関係などの社会的ストレッサー、気温や匂いなどの物理的ストレッサーをまとめた「外的ストレッサー」です。

2つ目は不安などの心理的ストレッサー、不眠や頭痛などの生理・身体的ストレッサーをまとめた「内的ストレッサー」です。

私たちはこのように様々なストレッサーの中で暮らしています。ストレッサーへの耐久力は人によって違いますが、ストレッサーの負荷を長引かせず、早期に対処することを意識し、セルフケアを大切にしましょう!!

ストレスが溜まっていく過程には3段階あります。

第1段階:警告反応期
ストレッサーに受身的反応した後→適応反応(反ショック相)を示します。これはストレッサーから身を守るために抵抗力を上げている状態です。

第2段階:抵抗期
ストレッサーと抵抗力が一定のバランスを取ってしまっている状態です。ストレスに負けまいと相当無理をしています。

第3段階:疲はい期
ストレッサーを受け続け、抵抗力を使い果たしてしまった状態です。電池切れ状態とも言えます。ここまできてしまうと、自分ではどうにもならなくなってしまいます。

ストレスが溜まると体では何が起こっているのでしょうか?


ストレスが加わっていても早期に軽減すれば、ホメオスタシスの働き体のバランスは維持されます。ホメオスタシスとは、自らの身体を環境に適応させて安定を維持しようとする自然に備わった機能のことです。しかし、過剰なストレスが加わったり、溜まったりすると、ホメオスタシスの機能をj発揮することが難しくなり、体のバランスは崩れ、さまざまな病気のリスクが高まります。

自律神経系は、自分の意思とは関係なく、内臓のさまざまな働きを調節する働きをしています。自律神経系は、アクセルの役割で緊張状態の時に働く交感神経と、ブレーキの役割でリラックスした時に働く副交感神経から成っています。

内分泌系は、ホルモン分泌をつかさどる働きをします。ホルモンは内臓の働きをコントロールし、発育や新陳代謝を促します。

免疫系は、細菌やウイルスなどのように体に侵入してくる異物と闘い、体を守る働きをしています。

自律神経系、内分泌系、免疫系は体を健康な状態に維持するために必要な3大システムです。

ストレスへ上手に対処するにはどのような方法があるでしょうか?


ストレスには、より早く気づき対処することが心身を守ることになります

①不要なストレスを増やさない
✎必要以上に負担を課すのは、控えましょう!
何事も一人で抱え過ぎたりしていませんか?
他者の課題なのに自分の課題にしていませんか?

❑POINT1❑
ときには「NO」と言える“勇気”を持ちましょう!
「人にどう思われてしまうか」より「今、自分はどうしたいのか」「今、自分に出来る余力はあるのか」に焦点を当てた方が、自分を見失いません。

❑POINT2❑
人が背負うべき責任は任せましょう!
どのような状況においても「自分のせい」と捉えてしまうことを「自己関連づけ」と言います。自分と他者の境界線を意識することで、ストレス軽減に繋がります。

②思考パターンを検証する
✎ストレスフルな受け止め方に気をつけましょう!
一つでも失敗したらおしまいだ(全化無化思考)
~であるべき、~でなければならない(べき思考)
~と思われているのではないか(こころの深読み)
これからも上手くいくはずがない(未来の先読み)

❑POINT3❑
時には自分の考えを検証してみましょう!
(全化無化思考)プロセスに注目!どう乗り越えてきたの?の中に、自分の力が秘められています。
(べき思考)「~であるに越したことはないけれど」「だとしても」で考え方の幅が広がります。
(こころの深読み)「事実」なのか「推測」なのか吟味すると問題は最小限に抑えられます。
(未来の先読み)まだ起こってもいない未来を悲観的にあれこれ考えるエネルギーを、「今、何が出来そうなのか考えるエネルギー」に若干シフトしましょう。

③不快感情を発散する
✎溜めこまず、こまめに発散しましょう!
自分さえ我慢すればまるく収まると思うことはありませんか?
ときどき感情が爆発してしまうことはありませんか?

❑POINT4❑
適切な自己開示で、より良い理解者を増やしましょう!
相手の状況も踏まえながら、自分の気持ちや事情を伝えることで、相手はあなたをより理解することができます。互いに配慮し合える関係は、心地よい居場所になることもあります。

❑POINT5❑
溜めこまず、こまめにガス抜きしましょう!
話を聴いてもらえることで、カタルシス効果を得られるので、とても助けになります。また、自分なりのストレス発散法をいくつか持ち合わせていると、大爆発の予防に繋がります。家族や友達とのイベントは、日程調整などが合わないとすぐには実行できませんよね。こまめなガス抜きには、一人でもすぐにできることの方が向いています。

④疲れたと思ったら遠慮なく休む
✎本当に必要な時は、自己優先してあげましょう!
自分が休んだら回らなくなると思い込んでいませんか?
もっと頑張っている人がいると自分のお尻を叩きすぎていませんか?

❑POINT6❑
他人をちょっぴり信じてみましょう!
「自分でやった方が早い」という人は、相手に任せられないという思いがあるようです。“時間がかかる”“やり方を覚えない”“ミスをする”“危なっかしい”という思い。相手のプラス面を拾い集めて、それを信じて任せて、必要な休息を確保しましょう。

❑POINT7❑
自分の役割から少し離れてみましょう!
例えば「結婚して子どもがいて仕事もしている女性で両親健在」という場合なら、妻であり母であり職場でも役割があり、自分自身も子どもという役割もあります。やらなければいけないことが山ほどありそうですね。少ししんどさを感じたら、周りの人にその役割を少しの間、引き受けてもらいましょう。

セルフケアで一番大切なことは、自分自身の中のイエローカード(警告)に早く気がつくことです。ストレス耐性力は人によって違いますから、自分自身のストレス耐性力のバロメーターを持っておくとよいでしょう!「自分のバロメーター+自分なりのストレス対処法」のセットを意識して、ストレスに負けない生活を送りましょう!

2021.02.01

怒りをコントロールした怒り方|メンタルヘルス

 今回のテーマは「怒り」です。
怒りはただ単に抑えたり避けたりしていればそれでいいというものではありません。自分の身を守るために欠かせない情動反応であり、立場によっては怒った方がいい場合もたくさんあります。ここで大切にしたいことは「怒りを抑えること」ではなく「怒りを上手に扱えること」「怒りをコントロールできること」です。怒り方がうまい人は怒りの抑え方も上手で、怒りをぶつけるのではなく相手に伝える方法も心得ています。怒りの扱いには「怒りの抑え方」と「怒り方」の2つの側面があるので、自分に当てはめながら読み進めてみてください。

怒りは基本的には自分の身が危機にさらされた時の反応として湧いてくる感情と言われます。しかし、それは必ずしも誰かと争った時に表出される感情とは限りません。私たちには主に3つのトリガーにより怒りが生まれることが多いと言われます。

シュド
私たちは誰しも自分なりのルールを持っています。「遅刻はしないようにすべきだ」「目上の人には敬語を使うべきだ」「電車の中では静かに過ごすべきだ」というルールを自分なりに持って生活しているものです。

しかし、あなたが真摯に「こうあるべきだ」と守ってきたルールを平気で破る人が現れたら、あなたはどのように感じるでしょうか?

「常識」「正論」「正義」などの大義名分を味方につけていると、より細かいルール違反が許せなくなってくるうえ、気が大きくなって自分の怒りを一層エスカレートさせてしまうことが多いです。これはルールを持つ人がいけないということではありません。自分が怒りを感じるポイントを押さえておくことが重要です。

ウォント
ほしいモノがなかなか手に入らなかったり、やろうと思っていたことが出来なかったり、行こうとした方へ行けなかったりと、自分の思い通りに物事が進まないと怒りを感じる場合があります。

例えば、レストランで注文したメニューがなかなか出てこない時、電車が遅延して予定通り進まない時、2時間も並んで買おうとした商品が目の前のお客さんで完売してしまった時、あなたは不満な表情を見せたことはありませんか?

それと、他人から認められたいという「承認欲求」が強い人も、不満や怒りを膨らませやすい傾向があります。頑張ったのに他人から評価されないと、不満や怒りをぶつける人も少なくありません。

エンヴィ
誰にでも、誰かをうらやんだり、妬んだり、嫉妬したりする場面は起こり得ます。これは他人と自分を比較することによって生じる感情です。「あの家は裕福で幸せそうなのに、うちは貧乏だ」「あの人は異性からちやほやされるのに、自分は誰からも見向きもされない」というように、他人と自分との扱われ方や境遇を比べ、自分の方が低く見られていたり、自分の方が恵まれていなかったりすると怒りを感じることがあります。

しかし、このタイプの怒りは、あまり顔や言葉に出されないまま、心の内に蓄えられていく傾向にあります。

ここまで怒りのトリガーとなり得る思考について説明しましたが、体では怒りを感じた時どのような状態になっているのでしょうか?

怒りの感情は、脳の「扁桃体」という場所で生み出されます。扁桃体は怒り、不安、好き嫌い、不快、恐怖、緊張などの情動反応を処理しています。この扁桃体を抑える役割を果たしているのが「前頭葉」です。前頭葉は脳全体の司令塔として、思考、判断、理性、意欲、認知などの役割を果たしています。怒りをコントロールするためには、前頭葉の機能を維持することが必要です。したがって、歳をとってくると脳が衰え怒りっぽくなってしまうことがあります。日頃からよく脳を使うことが大事です。

それでは、どのようにしたら上手く扁桃体の興奮を抑えることができるでしょうか?

ステップ1
口を閉じて沈黙を維持する
怒りに火が付きそうなときには余計なことは話さずに、じっと沈黙を守ることが得策です。怒りは発生してからガッと興奮し6秒経つとだんだんと納まることが分かっています。数を数えたり、その場から離れたりしてもいいでしょう。

ステップ2
冷静になって怒りのタイプやパターンを分析する

沈黙を維持して気持ちが落ち着いてきたら、今度は分析をします。「なぜ自分はこんなに怒っているのか」を冷静に考えるということです。怒りを感じたすぐ後に考えるなんて余裕がないと思う人もいるかもしれませんが、ここでは冷静に考えて行動しようという意識が重要です。それだけで衝動的な興奮が静まり、怒りに火がつくのを抑えることができます。また、自分の怒りを感じるパターンを知ることができるようになります。

ステップ3
怒りをコントロールするための行動を起こす

分析によって怒りを鎮める方法が分かったら行動に移してみます。自分の中で火がつきそうな怒りを抑えたい時には、「この行動をとると火が消えやすい」という自分なりの方法を持っているとよいでしょう。人によって方法はそれぞれで、深呼吸することが良い人もいれば、顔を洗ったり散歩したりすることが良い人もいます。

怒る必要がない時には怒りを抑え、怒る必要がある時には適切に怒りを表すというマネジメントがだんだんとできるようになってきます。

怒りを抑える方法は人によって異なります。ここで上げるのは一つの例です。自分に合いそうなものを選択してみてください!

例1 行動習慣を変える
◎6D3Sの口癖をやめる
6D(どうせ・でも・だって・ダメだ・どうしよう・○○できない)
3S(しょせん・○○すべきだ・○○しなければならない)

普段口にする言葉がネガティブな言葉であると、考え方や行動が卑屈になりやすくなります。逆にこうした口癖を言わないように意識していると、だんだんと気持ちや考え方が変わってきます。「きっとできる」「いける」「大丈夫!」「何とかなる!」など前向きな言葉を言うように心がけましょう。ストレスを感じたときに怒りが表出しやすくなりますが、前向きな言葉を使っているといざストレスが来てもネガティブな思いに巻き込まれにくくなります。

◎「自分にコントロールできないこと」は気にしない
「自分にコントロールできないこと」とはなんでしょうか?近所の選挙カーや救急車の音にうるさいと感じて、イライラしたことはありませんか?また、不景気や電車の遅延に怒りを覚えたことはありまえんか?これらは全て「自分にコントロールできないこと」です。腹を立てても仕方ないと腹をくくることも時に大切です。

それは、他人の言動も同様です。自分ではどうしようもないことにやきもきするのではなく、気にしないという選択をとってみましょう。

例2 ネットの付き合い方を工夫する
◎夜は「怒りのメール」を書かない、送らない
朝と夜では自律神経による働きが異なります。朝は「頑張るモード」で交感神経が優位に働き、夜は「リラックスモード」で副交感神経が優位に働きます。そして、この自律神経の動きに合わせて感情も変化することが分かっています。つまり、昼間は脳が動き客観的に論理的に物事を見ることができますが、夜には脳が感情的になり、喜怒哀楽に激しく、思い込みで物事を見やすくなるのです。したがって、夜に「怒りのメール」を送ろうとすると、感情のままに相手にぶつけヒートアップする結果になりかねません。

◎SNSでは感情のテンションを2段階下げる
SNSとはLINE、Twitter、Instagram、facebookなどのことです。私たちの生活にSNSがより近くなり、評価や返信に感情が揺さぶられることが多くなりました。「いいね」が何個ついたか、返信が早く来ないかなど、SNSを気にしながら生活している人は少なくありません。しかし、SNSは「自分ではコントロールできないもの」です。のめり込みすぎないために、テンションを2段階下げて、SNSから来る反応に100%の怒りや喜びを感じるのではなく、ほどほどにさらっとした付き合い方をすることがお勧めです。

例3 男女の怒り方の違い
◎女性は根深い、男性は衝動的
男女の怒り方に最も影響を与えているのはホルモンです。

女性ホルモンには海馬に働きかけ記憶力を高める作用があります。告白されたり、デートしたり、誕生日をお祝いしたりといった「好きな人との思い出のイベント」時に女性ホルモンは高まると言われ、出来事を女性はよく覚えています。それがいいことだけではく、悪いことである場合もあります。したがって「あの時は~だった」と過去の出来事を覚えていて、それをねちねちと攻めてくる女性も少なくありません。

男性ホルモンは衝動性と関連しています。女性ホルモンによる怒りが根深く長いのに比べると、男性ホルモンによる怒りは「その場しのぎの側面」があります。すなわち、目の前に敵が現れた時に即座に闘ったり、ライバルと競ったりするときに、集中的に高い衝動性を発揮するのです。すぐにカーッとなって切れる背後には、この男性ホルモンによる場合もあります。

◎口喧嘩で女性が勝ち、男性が黙る理由
口喧嘩になると、女性の方が有利になる場合が多いです。理由は、女性の脳の方が言葉を操るのが得意であり、次から次へと言葉が出てくるためと言われます。男性も何か言おうとするのですが、女性ほど言葉を続けて話すことができません。女性は男性の口数が少ないことに腹を立て、さらなる言葉を浴びせますが、それが逆に男性を傷つけ、追い込むことになります。次第に劣勢に立たされる男性はついに黙るしかなくなります。何か言ってほしい女性が言葉を浴びせ、それにより更に何も言うことが出来ない男性は黙ってしまうというジレンマに陥ります。

女性は興奮すると泣いてしまうと言いますが、男性は興奮すると人の話をまともに聞けなくなって、言葉を出そうにも出せなくなってしまうと言われています。

「怒り方」と「怒りの抑え方」は表裏一体です。怒りを上手く抑えられる人は、怒り方や叱り方がうまいものです。自分の中の怒りを制御できるので「相手を傷つけない怒り方」で伝えることができます。

怒る行為は、相手を責めるのではなく、相手の可能性を広げるために行うものと心得ておきましょう。相手を傷つけることが目的ではありません。そのため「お前なんかいなければ」「お前が失敗したせいで」「いったいどんな教育を受けてきたんだ」と相手を責め、存在や人格を否定するような怒り方はよくありません。また、「お前のせいで私の評価が下がるんだ」と自分の保身のために怒ったり、自分の気分や機嫌によって態度を変えることもよくありません。モノに当たることも、感情をぶつけたい相手の身代わりとしてモノが蹴られたり、殴られたりしているわけですから、いつ自分にその矛先が向かってくるかと戦々恐々した気持ちになります。

「そのとき・その場で」注意することは叱る上で非常に効果があります。しかし、大勢の人がいる前や第三者いる前で怒ると相手が子どもでも大人でも恥をかかせることに成りかねないので十分注意しましょう。「相手の目を見て、対面で」伝えること、言われることは非常に勇気のいることです。しかし、メールや人づてに伝えることは誤解を生む可能性があるので、とても危険です。相手を思っているからこそ伝えるんだという誠意があるなら、その上で怒っていることを伝えるためにも直接言うのが好ましいです。すべては相手の立場に立った時に、どんな場所で、どんな言葉で、どんな表情で怒ることがいいか考えながら、相手の可能性を広げてあげるために伝えましょう。

怒らなければいけない立場の人は、広く多角的な視野を持っており、責任を担っていることも多くあります。業務をこなすだけでなく、人を育てるという立場を任され、上手くいくことばかりではないはずです。上手に怒ったとしても、相手の捉え方によってはひどく傷つけてしまうことや関係がぎくしゃくしてしまうこともあるでしょう。しかし、あなたが育てようと誠実に接しているとするならば、周囲の人には必ず伝わっているはずです。怒りを溜めすぎないように発散する自分なりの方法を持って頑張りましょう!!

参考文献:伊藤拓(2020)「精神科医が教える後悔しない怒り方」ダイヤモンド社

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