メンタルヘルス

2021.02.01

怒りをコントロールした怒り方|メンタルヘルス

 今回のテーマは「怒り」です。
怒りはただ単に抑えたり避けたりしていればそれでいいというものではありません。自分の身を守るために欠かせない情動反応であり、立場によっては怒った方がいい場合もたくさんあります。ここで大切にしたいことは「怒りを抑えること」ではなく「怒りを上手に扱えること」「怒りをコントロールできること」です。怒り方がうまい人は怒りの抑え方も上手で、怒りをぶつけるのではなく相手に伝える方法も心得ています。怒りの扱いには「怒りの抑え方」と「怒り方」の2つの側面があるので、自分に当てはめながら読み進めてみてください。

怒りは基本的には自分の身が危機にさらされた時の反応として湧いてくる感情と言われます。しかし、それは必ずしも誰かと争った時に表出される感情とは限りません。私たちには主に3つのトリガーにより怒りが生まれることが多いと言われます。

シュド
私たちは誰しも自分なりのルールを持っています。「遅刻はしないようにすべきだ」「目上の人には敬語を使うべきだ」「電車の中では静かに過ごすべきだ」というルールを自分なりに持って生活しているものです。

しかし、あなたが真摯に「こうあるべきだ」と守ってきたルールを平気で破る人が現れたら、あなたはどのように感じるでしょうか?

「常識」「正論」「正義」などの大義名分を味方につけていると、より細かいルール違反が許せなくなってくるうえ、気が大きくなって自分の怒りを一層エスカレートさせてしまうことが多いです。これはルールを持つ人がいけないということではありません。自分が怒りを感じるポイントを押さえておくことが重要です。

ウォント
ほしいモノがなかなか手に入らなかったり、やろうと思っていたことが出来なかったり、行こうとした方へ行けなかったりと、自分の思い通りに物事が進まないと怒りを感じる場合があります。

例えば、レストランで注文したメニューがなかなか出てこない時、電車が遅延して予定通り進まない時、2時間も並んで買おうとした商品が目の前のお客さんで完売してしまった時、あなたは不満な表情を見せたことはありませんか?

それと、他人から認められたいという「承認欲求」が強い人も、不満や怒りを膨らませやすい傾向があります。頑張ったのに他人から評価されないと、不満や怒りをぶつける人も少なくありません。

エンヴィ
誰にでも、誰かをうらやんだり、妬んだり、嫉妬したりする場面は起こり得ます。これは他人と自分を比較することによって生じる感情です。「あの家は裕福で幸せそうなのに、うちは貧乏だ」「あの人は異性からちやほやされるのに、自分は誰からも見向きもされない」というように、他人と自分との扱われ方や境遇を比べ、自分の方が低く見られていたり、自分の方が恵まれていなかったりすると怒りを感じることがあります。

しかし、このタイプの怒りは、あまり顔や言葉に出されないまま、心の内に蓄えられていく傾向にあります。

ここまで怒りのトリガーとなり得る思考について説明しましたが、体では怒りを感じた時どのような状態になっているのでしょうか?

怒りの感情は、脳の「扁桃体」という場所で生み出されます。扁桃体は怒り、不安、好き嫌い、不快、恐怖、緊張などの情動反応を処理しています。この扁桃体を抑える役割を果たしているのが「前頭葉」です。前頭葉は脳全体の司令塔として、思考、判断、理性、意欲、認知などの役割を果たしています。怒りをコントロールするためには、前頭葉の機能を維持することが必要です。したがって、歳をとってくると脳が衰え怒りっぽくなってしまうことがあります。日頃からよく脳を使うことが大事です。

それでは、どのようにしたら上手く扁桃体の興奮を抑えることができるでしょうか?

ステップ1
口を閉じて沈黙を維持する
怒りに火が付きそうなときには余計なことは話さずに、じっと沈黙を守ることが得策です。怒りは発生してからガッと興奮し6秒経つとだんだんと納まることが分かっています。数を数えたり、その場から離れたりしてもいいでしょう。

ステップ2
冷静になって怒りのタイプやパターンを分析する

沈黙を維持して気持ちが落ち着いてきたら、今度は分析をします。「なぜ自分はこんなに怒っているのか」を冷静に考えるということです。怒りを感じたすぐ後に考えるなんて余裕がないと思う人もいるかもしれませんが、ここでは冷静に考えて行動しようという意識が重要です。それだけで衝動的な興奮が静まり、怒りに火がつくのを抑えることができます。また、自分の怒りを感じるパターンを知ることができるようになります。

ステップ3
怒りをコントロールするための行動を起こす

分析によって怒りを鎮める方法が分かったら行動に移してみます。自分の中で火がつきそうな怒りを抑えたい時には、「この行動をとると火が消えやすい」という自分なりの方法を持っているとよいでしょう。人によって方法はそれぞれで、深呼吸することが良い人もいれば、顔を洗ったり散歩したりすることが良い人もいます。

怒る必要がない時には怒りを抑え、怒る必要がある時には適切に怒りを表すというマネジメントがだんだんとできるようになってきます。

怒りを抑える方法は人によって異なります。ここで上げるのは一つの例です。自分に合いそうなものを選択してみてください!

例1 行動習慣を変える
◎6D3Sの口癖をやめる
6D(どうせ・でも・だって・ダメだ・どうしよう・○○できない)
3S(しょせん・○○すべきだ・○○しなければならない)

普段口にする言葉がネガティブな言葉であると、考え方や行動が卑屈になりやすくなります。逆にこうした口癖を言わないように意識していると、だんだんと気持ちや考え方が変わってきます。「きっとできる」「いける」「大丈夫!」「何とかなる!」など前向きな言葉を言うように心がけましょう。ストレスを感じたときに怒りが表出しやすくなりますが、前向きな言葉を使っているといざストレスが来てもネガティブな思いに巻き込まれにくくなります。

◎「自分にコントロールできないこと」は気にしない
「自分にコントロールできないこと」とはなんでしょうか?近所の選挙カーや救急車の音にうるさいと感じて、イライラしたことはありませんか?また、不景気や電車の遅延に怒りを覚えたことはありまえんか?これらは全て「自分にコントロールできないこと」です。腹を立てても仕方ないと腹をくくることも時に大切です。

それは、他人の言動も同様です。自分ではどうしようもないことにやきもきするのではなく、気にしないという選択をとってみましょう。

例2 ネットの付き合い方を工夫する
◎夜は「怒りのメール」を書かない、送らない
朝と夜では自律神経による働きが異なります。朝は「頑張るモード」で交感神経が優位に働き、夜は「リラックスモード」で副交感神経が優位に働きます。そして、この自律神経の動きに合わせて感情も変化することが分かっています。つまり、昼間は脳が動き客観的に論理的に物事を見ることができますが、夜には脳が感情的になり、喜怒哀楽に激しく、思い込みで物事を見やすくなるのです。したがって、夜に「怒りのメール」を送ろうとすると、感情のままに相手にぶつけヒートアップする結果になりかねません。

◎SNSでは感情のテンションを2段階下げる
SNSとはLINE、Twitter、Instagram、facebookなどのことです。私たちの生活にSNSがより近くなり、評価や返信に感情が揺さぶられることが多くなりました。「いいね」が何個ついたか、返信が早く来ないかなど、SNSを気にしながら生活している人は少なくありません。しかし、SNSは「自分ではコントロールできないもの」です。のめり込みすぎないために、テンションを2段階下げて、SNSから来る反応に100%の怒りや喜びを感じるのではなく、ほどほどにさらっとした付き合い方をすることがお勧めです。

例3 男女の怒り方の違い
◎女性は根深い、男性は衝動的
男女の怒り方に最も影響を与えているのはホルモンです。

女性ホルモンには海馬に働きかけ記憶力を高める作用があります。告白されたり、デートしたり、誕生日をお祝いしたりといった「好きな人との思い出のイベント」時に女性ホルモンは高まると言われ、出来事を女性はよく覚えています。それがいいことだけではく、悪いことである場合もあります。したがって「あの時は~だった」と過去の出来事を覚えていて、それをねちねちと攻めてくる女性も少なくありません。

男性ホルモンは衝動性と関連しています。女性ホルモンによる怒りが根深く長いのに比べると、男性ホルモンによる怒りは「その場しのぎの側面」があります。すなわち、目の前に敵が現れた時に即座に闘ったり、ライバルと競ったりするときに、集中的に高い衝動性を発揮するのです。すぐにカーッとなって切れる背後には、この男性ホルモンによる場合もあります。

◎口喧嘩で女性が勝ち、男性が黙る理由
口喧嘩になると、女性の方が有利になる場合が多いです。理由は、女性の脳の方が言葉を操るのが得意であり、次から次へと言葉が出てくるためと言われます。男性も何か言おうとするのですが、女性ほど言葉を続けて話すことができません。女性は男性の口数が少ないことに腹を立て、さらなる言葉を浴びせますが、それが逆に男性を傷つけ、追い込むことになります。次第に劣勢に立たされる男性はついに黙るしかなくなります。何か言ってほしい女性が言葉を浴びせ、それにより更に何も言うことが出来ない男性は黙ってしまうというジレンマに陥ります。

女性は興奮すると泣いてしまうと言いますが、男性は興奮すると人の話をまともに聞けなくなって、言葉を出そうにも出せなくなってしまうと言われています。

「怒り方」と「怒りの抑え方」は表裏一体です。怒りを上手く抑えられる人は、怒り方や叱り方がうまいものです。自分の中の怒りを制御できるので「相手を傷つけない怒り方」で伝えることができます。

怒る行為は、相手を責めるのではなく、相手の可能性を広げるために行うものと心得ておきましょう。相手を傷つけることが目的ではありません。そのため「お前なんかいなければ」「お前が失敗したせいで」「いったいどんな教育を受けてきたんだ」と相手を責め、存在や人格を否定するような怒り方はよくありません。また、「お前のせいで私の評価が下がるんだ」と自分の保身のために怒ったり、自分の気分や機嫌によって態度を変えることもよくありません。モノに当たることも、感情をぶつけたい相手の身代わりとしてモノが蹴られたり、殴られたりしているわけですから、いつ自分にその矛先が向かってくるかと戦々恐々した気持ちになります。

「そのとき・その場で」注意することは叱る上で非常に効果があります。しかし、大勢の人がいる前や第三者いる前で怒ると相手が子どもでも大人でも恥をかかせることに成りかねないので十分注意しましょう。「相手の目を見て、対面で」伝えること、言われることは非常に勇気のいることです。しかし、メールや人づてに伝えることは誤解を生む可能性があるので、とても危険です。相手を思っているからこそ伝えるんだという誠意があるなら、その上で怒っていることを伝えるためにも直接言うのが好ましいです。すべては相手の立場に立った時に、どんな場所で、どんな言葉で、どんな表情で怒ることがいいか考えながら、相手の可能性を広げてあげるために伝えましょう。

怒らなければいけない立場の人は、広く多角的な視野を持っており、責任を担っていることも多くあります。業務をこなすだけでなく、人を育てるという立場を任され、上手くいくことばかりではないはずです。上手に怒ったとしても、相手の捉え方によってはひどく傷つけてしまうことや関係がぎくしゃくしてしまうこともあるでしょう。しかし、あなたが育てようと誠実に接しているとするならば、周囲の人には必ず伝わっているはずです。怒りを溜めすぎないように発散する自分なりの方法を持って頑張りましょう!!

参考文献:伊藤拓(2020)「精神科医が教える後悔しない怒り方」ダイヤモンド社

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