メンタルヘルス

2021.02.19

働きやすい職場に変えたい方へ|メンタルヘルス

 「働きづらさ」を感じたことはありますか?

自分では一生懸命やっているのに、
上司に「気が利かない」と叱られる。
でもどう改善したらいいか分からない。

職場でちょっとした会話に
うまく入っていくことができない。

社内で大勢の人が働いていると
どうしても集中できない。

「働きづらさ」を感じて、自分なりに工夫をしたり、周囲に相談したりして改善されれば良いのですが、対処してもうまくいかないこともあります。そうすると、あなたの努力を知らない人達からは厳しい目で見られたり、怒られたりと悩みが深くなることもあります。「働きづらさ」には、どのような背景があり、どのような対処をすれば良いのでしょうか?

何度も注意されたり、怒られたり、失敗したりを繰り返していると、「自分はダメな人間だ」「能力がないんだ」と自分を責めてしまうこともあります。しかし、働きづらさは個人の能力によってのみ引き起こされるものではありません。さまざまな「個人要因」とその人を取り巻く「環境要因」によって引き起こされていることがあります。

例えば、〈気が利かない〉というケースでは、本人に「相手の意図や状況を読み取ることが苦手」という個人要因と、職場に「どうしてほしいのか十分な説明がない」という環境要因があるとしましょう。

その場合、上司が何度も注意し、しっかり計画を立てるように指示したとしても、問題解決には繋がらないかもしれません。個人要因により、本人が計画を立てようとしても、そもそも計画を立てることが苦手でありどう立てたら良いか分からず環境要因もあり、仕事の全体像が見えにくいことが個人の段取りの悪さに影響を与えているかもしれないからです。

このような職場であっても、「仕事の内容を理解し、計画を立てることが得意な人」であれば、うまくやっていけるのかもしれません。また、計画立案が苦手な人でも「仕事の内容や優先順位が明確に指示される職場」なら、働きやすく感じるかもしれません。このように、働きづらさの背景を考える際には「個人要因」と「環境要因」を考えることが必要です。

 何事もそつなくこなす人もいますが、働きづらさを感じる人は得意・不得意が割とはっきり分かれている人かもしれません。何か問題が起こった時、個人要因として考えられるのが、この不得意に当たる部分でしょう。誰でも得意・不得意はあり、不得意は悪ではありません。個人要因と環境要因から対処方法を考えていきます。また対処を考える時、個人要因の得意な側面(できていること)不得意な側面(できていないこと)の両面をしっかり捉えることが重要になります。そうすることで、「自分はこれが苦手」だけど「これは得意」ということに気づきながら、自分にあった、自分にとって無理のない働き方を考えることができるようになります。

事例 営業

商品やサービスの営業の仕事をしている人を指しています。
営業はルート営業と新規開拓営業に分けることができます。

「ルート営業」は既存の顧客を回るタイプの営業です。すでに取引のある顧客を訪問して最近の様子を聞き、新たなニーズを掘り起こしたり、信頼関係を築いたりします。

「新規開拓営業」は新規顧客を獲得するための営業です。オフィスへ飛び込み営業をしたり、電話でアポイントをとったりして契約につなげます。

❑Aさんの場合(うまくいった話)
Aさんは20代の男性です。ウォーターサーバーなどオフィス向けのサービスのルート営業を任されていました。しかし、自分の興味関心のない話題で雑談することが苦手でした。そのため、取引先に行っても関心のない話は相手の話に合わせるだけで終わってしまい、関心のある話には逆に話し過ぎてしまい肝心の話ができないことがほとんどでした。売り上げが出るはずもありません。
 彼は、会話の中で相手の意図を察することや、目的にそって会話の流れを切り替えることを苦手としていました。したがって、会話を続けることも苦労していましたが、雑談の中で相手の真意を読み取ることができず、商品の紹介ができたとしても、的外れになることも多くありました。
社内では「ただおしゃべりしているだけ」「ちゃんと商品の説明をしていない」と評価され、客からは「提案してもらっても時間の無駄」「来なくていい」と言われてしまいました。

 やがて会社は配置転換をして、Aさんを新規開拓営業のチームに入れました。すると、今度はうまくいくようになりました。「相手の意図に気づきにくい」ということが新規開拓営業では良い方向に働いたのです。Aさんは相手に警戒されても臆せずに話しかけ、サービスの魅力を伝えることが出来ました。また、断られてもあまり落ち込まず、次の客に向かうことができたのです。
新規開拓営業ではセールストークがマニュアル化され、相手がイエスといえばA、ノーといえばBといった形で提案すべきことが明確になっていました。そのためAさんは相手の言葉の裏を読み取る必要がなくなり、仕事に集中できたのです。


❑Bさんの場合(うまくいかなかった話)
Bさんも同じく20代の男性です。彼も雑談が苦手で、話し相手の気持ちを読み取りながら会話を展開していくことが苦手でした。ただ彼は初めから新規開拓営業を担当していました。Aさんと同じように顧客にどんどん連絡を取って、商品やサービスを売り込んでいく仕事です。しかし、BさんはAさんのようにうまくはいきませんでした。Aさんとは仕事のスタイルが違ったのです。
Bさんは保険商品の営業をしていました。Bさんが取り扱っていたのは比較的複雑なもので、Aさんのウォーターサーバーの例のように「マニュアル化されたセールストーク」が出来ないものだったため、非常に苦労していました。
Bさんが契約を獲得するためには、顧客の状況を聞き取りながら、その人にあったプランを一緒に考え、その時々に必要な保障を組み合わせて保険商品を提案するというようなものだったのです。一人ひとりのニーズに合わせて、プランや商品をオーダーメイドしなければならない複雑な営業がBさんには適していなかったのです。

Aさんがある程度見えやすい「顕在ニーズ」をつかむ仕事だったのに対し、Bさんは顧客の中に隠れている「潜在ニーズ」を探る仕事をしていました。その違いが、AさんとBさんの働きやすさ、働きづらさに繋がっていたのです。

❑Cさんの場合
Cさんも20代の男性で、空調システムの営業・管理をしていました。契約中のお客様を回りながらルート営業を行っていました。やはり雑談が苦手で話を広げることが上手くできません。しかし、空調機器に関する知識は豊富で、メンテナンスの技術も身に着けています。そのため、仕事に関する相談にはきちんと対応することができました。彼の場合は、むしろ顧客から空調に関する相談が来るような良い関係性が出来ていたのです。
またAさんの会社とは異なり、Cさんの会社はルート営業であっても基本的な手順があり、それに従って仕事をしていました。訪問先の担当者に挨拶し、機器のメンテナンスを行い、結果を報告します。その際、相手に規定の質問をして、何かニーズが発生していたら新規購入の提案をしたり、会社に持って帰って検討を行ったりする手順です。ルート営業ですが、ある程度手順や質問が決められているので、比較的悩むことなく仕事することが出来ていました。

3つの事例をあげましたが、必ずしも「ルート営業」と「新規開拓営業」がいいとは言えないことが分かります。どちらが適していると言えれば分かりやすかったのですが、これが事実に即した回答と言えます。働きづらさは個人要因と環境要因によって異なるため、同じ働き方をしていても、職場によってうまくいくかどうかは異なってくるのです。似たようなタイプの3人を上げましたが、共通する点もありました。それは、「相手の意図を汲み取ることが苦手」という点と、顧客の「潜在ニーズを探る」ことは苦手で、手順通りに仕事するのは得意という点です。

営業の場合、それぞれスタイルがあります。初めは先輩にやり方を教えてもらうと思いますが、必ずしも自分にもそのスタイルがあっているかとは限りません。先輩との関係性にもよりますが、基本的には先輩のも参考にしながら自分のスタイルを優先した方が上手くいきます。自分にとって苦手だと分かっているのに、先輩のスタイルに合わせることは上手くいかない可能性が高くなります。また、先輩からアドバイスをもらったら出来そうなものから試していくとよいでしょう。

※参考文献には職業別により細かく事例が載っています。詳細はそちらをご覧ください。

 私たちは注意を受けたり、失敗したりすると意識を変えようと考えます。例えば、外回りの際、いつも忘れてしまう書類があるとします。書類を忘れないためにはどうしたら良いでしょうか?「書類を忘れないようにしよう」と意識するよりも、書類を置く場所を今までと違う場所にしておく方が忘れる回数はぐっと減ります。「書類を目に入るところに置いておく」「カバンの中に入れておく」。このような環境を変えてあげることが、働きやすさに繋がります。

これを「環境調整」と言います。

①人的な調整:人の配置や役割の調整
「指示をする人(上司)」「相談する人」を明確にします。「いつ、だれに、何を聞けばよいか」を理解しやすくなります。これは上司に確認をする必要があるでしょう。

②作業遂行の調整:作業への取り組み方や進め方を調整
マニュアルを置く、チェックリストを作るなどの調整が考えられます。

③物理的な調整:道具や設備などの調整
人によって異なりますが、机の上に必要以上にモノを置かない、デスクを作業しやすい場所に設置する、周囲についたてを置いて壁を作るなどが考えられます。

自分なりに努力しているのに上手くいかなくて、どうしたらいいのか分からないという時、私たちは「自分には能力がない」と責めやすくなります。しかし、誰しも得意なことと不得意なことがあるものです。できることと苦手なことは何か(自己理解)を深めた上で、自分に合った環境に少しずつ変えていくこと、場合によっては周囲にも理解してもらうことが大切です。

参考文献:株式会社LITALICO陶貴行・服部一史(2020)「頑張ってもうまくいかないひょっとして発達障害?と思ったら読む無理しない働き方」日本能率協会マネジメントセンター

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