メンタルヘルス

2021年05月

2021.05.26

あなたの「怒り」と上手く付き合う方法 職場編

  皆さんの会社で、メンタル不調者続出とか、退職者続出、という部署はありますか?

「え、?!そんな部署がある会社って、本当にあるの???」と思われた皆さんの会社は健全度が高いハズです。

しかし、「あるある。困っているんだ」「そうなんだ。勘弁してくれ」と思った方に朗報です。「怒り」のコントロール術を社内に広めることで、メンタル不調者を減らすことができるかもしれません。

なぜなら、怒りの感情のままに言葉を発したり、表情に出したり、行動を起こすと、困ったことになるからです。それは、相手が委縮して人間関係が崩れる、仕事のパフォーマンスが落ちる、メンタル不調になる、休職する、退職する、周りの人たちも嫌気がさす、といったことが起こるからです。

熱心に仕事をしているからこそ、怒りが湧いたり、言葉がきつくなったり、表情が険しくなったりします。当たり前ですね。しかし、ここは、変化のチャンスととらえて、こんなコントロール術の使い手になってはいかがでしょうか?

まず、メンタル不調者が出た事例をご紹介します。

あるメンタル不調に陥った新人さんは「先輩の言い方や顔つきが怖い」と必要な質問もできず、適応障害と診断されて休職しました。先輩社員が「怒り」をコントロールして、新人さんを上手く導くことができたら、休職者を出さずにすんだかもしれません。

ある中堅社員は、仕事の引継ぎが中途半端な状態で引き受けて、上層部からは「引継ぎをしたのだからできて当たり前」と厳しい要求をされました。そして、上層部に自分の言い分も言えずうつ病を休職しました。

上層部は、求めることを「分かっているだろう」とか「自分は面倒だから、そっちで考えてよ」というように丸投げしないことは大事な要素です。

同じくらいに大事なことは、部下が出してきた成果物に質問する時には相手が委縮する「表情や言い方」(怒り)をコントロールすることです。

そして、役職が上がるほど、そのコントロール力は求められます。お分かりの通り、パワーがある人は相手に与える影響力が強く、その力に押されて相手の思考力が低下したり、嫌気がさして落ち込んだり、とマイナス要素ばかりです。


企業にとって社員が休職することは大変大きな損失です。経済的損失と人的損失の他に、周囲の社員に与える影響もはかり知れません。そのために、「怒り」のコントロール術はあなた自身や会社にとって大きなメリットをもたらしてくれます。

「怒り」は脳の偏桃体の暴走、と表現できます。偏桃体は脳で、怒り、不安、好き嫌い、不快、恐怖、緊張などの情報反応を処理している場所です。ストレスを受けると、このようなマイナス感情が高まりやすく、偏桃体が興奮してくると怒りに駆られやすくなります。

しかし幸いなことに、私たちには偏桃体の興奮を抑える味方がいます。それが理性や分別を担当する前頭葉です。偏桃体が興奮して「怒り」の炎がメラメラと上がり始めたら、前頭葉がすかさず消火活動をしてくれます。会社生活だけでなく、私たちの生活の質が向上しそうですね。

では、先ほどの事例の「何度言っても同じ失敗をする」と思った時、あなたならどうしますか?偏桃体が興奮し始めて、「昨日も言ったけどさ」、「これで3回目だよ。しっかりしてよ。」、「もう教えないよ」、「忙しいのに」と言いたくなる時もあるかもしれません。これが相手のやる気をなくして、聞きたいことも聞けず、メンタル不調に追い込むことはご説明しました。

【では、どうしたらよいのか】

〈行動編〉

●いったんその場を離れる。

・手を洗いに行く

・トイレに行く

・コーヒーを淹れに行く

と何でもいいので行動をすることで、偏桃体を抑えます。

●口を満たしてみる。

・飴を食べる、チョコレートを食べる、その時に相手にも上げると効果的です。糖質はたいへん吸収が早く、甘いものが口に入ると、ブドウ糖がすぐに脳に届くことになります。これによって、脳が一時的に満足して冷静さや落ち着きを取り戻すのです。

・ガムを取り出して噛む。

・水を飲む

行動することで、体に刺激を与えて「怒り」への集中を下げることも効果が期待できます。

〈思考編〉

●今、自分は「怒り」の感情が湧いているな、と自分自身を「客観視」することです。「怒り」の感情で指示をすると、デメリットが大きいことを念頭に置きましょう。そして、手短に修正の指示をいつも通りの顔つき、表情でやってください。あなたの演技力が大事です。本当は怒っているのに、怒っていないと自分を誤魔化すと辛いです。ですから、怒ることは仕方がないことなので、怒っていることを自覚しましょう。

もし、「何度言っても同じ失敗をする」社員がいたら、こんなことを考えてみてください。

失敗しないために何が必要か?

きちんとできた時はあったか?それはどんな時だったか?

他の社員はなぜきちんとできているのか?

「怒り」の感情を上手に扱うと

信頼関係が築きやすくなる

発言しやすくなり自由な発想ができる

コミュニケーションがとりやすく仕事のパフォーマンスが上がると沢山のメリットがあります。

理屈では分かっているけど、どうしても感情のコントロールが上手くいかなくて、と自覚はあるが改善まであと一歩、というあなた、ミーデンでは認知行動療法や解決志向のカウンセリングも行っていますので、ご活用ください。

2021.05.25

健康な職場づくりに役立つエゴグラム

  今日は、健康な職場づくりに役立つエゴグラムをご紹介します。

ところで、職場であなたはこんなことを考えることはありませんか?

「もっと冷静に話せればよかった」、「仕事が手一杯なのに、なんで断れなかったんだ」、「ちょっと厳しき言い過ぎたかな?」とか。

そうですよね。自分の考えや行動をいつも適正にするのは難しいことかもしれません。そんな時に役立つのが「エゴグラム」です。エゴグラムであなたの心の特性やエネルギー量について知ることができます。様々な場面での困り事を分析できるのでストレスが減り、これからの対処法も考えることができるのです。

自分自身の心の特性やエネルギー量を知ることは、周りの人の心の特性を推測できることにも繋がります。しかも、自分勝手な推測ではなくて、心理学に基づいたエゴグラムの知識を使ってです。

「自己理解・他者理解」ができるようになると、職場だけでなく、プライベートでも人間関係が一層よくなることが期待できます。

いかがですか?

仕事もうまく循環する、という効果もついてきそうですね。

では何故エゴグラムを知ることが「健康な職場づくり」に役立つのか、厚生労働省の調査結果を見てみましょう。

2017年の厚生労働省の労働安全衛生調査によりますと、職場において多くの人が人間関係に強いストレスを感じていることが分かります。ストレスを感じている人の割合は58.3%。

主なストレス要因は、1位が「仕事の質・量」(62.6%)で、次いで「仕事の失敗、責任の発生等」が34.8%、3位が「対人関係(セクハラ・パワハラを含む)」30.6%という結果でした。

2012年の調査では、就業によってストレスを感じる労働者の割合は60.9%。強い不安、悩み、ストレスを感じる事柄は、「職場の人間関係の問題」(41.3%)がもっとも多く、次いで「仕事の質の問題」(33.1%)、「仕事の量の問題」(30.3%)となっています。

2012年と2017年の調査結果を見ると、時代が移り変っても同じ要素で悩む人が多いことが分かりますね。現在は、長時間労働の是非の流れで、多くの企業が業務量・質の改善に取り組んでいます。しかし、長時間労働を改善しても、職場の人間関係にストレスを抱える人の改善は難しいかもしれません。

そのため、長時間労働の改善しながら、職場の人間関係を改善することが企業、個人の双方にとって有益なことと言えそうです。

そして、エゴグラムは自己理解・他者理解をするツールなので、職場の人間関係改善に有効活用できると思いませんか?

「エゴグラム」は、アメリカの精神科医エリック・バーン博士によって創始された、人間行動に関するひとつのまとまった理論「交流分析」の中のツールで、弟子の精神科医デュセイによって提唱されました。

自分自身の「心の特性やエネルギー量」を知るためのツールとして、エゴグラムは大変分かりやすく、自分自身や周りの人のタイプを推測することができるので、楽しく学べます。

結果、学校教育や企業の社員研修などでコミュニケーションスキルの教育としてエゴグラムを取り入れているところも多くあります。

また、管理者向けのエゴグラムや学生向けのエゴグラムなど、質問を変えて、いろいろな年代の人に使えます。エゴグラムに表れたあなたの「現在の心の特性とエネルギー量」を見ることで、コミュニケーションのタイプを知ることができます。

あなたが置かれている立場、「会社では管理職」「家庭では優しいお父さん」といろいろな役割を果たしているので、役割によって心のエネルギー量が変化します。そして、経験を積んだり、人との交流で学んだり、知識が増えたりとあなたの自身の変化に伴って「心のエネルギー量」が変化します。一生変化をしていけることは、ありがたいですね。

【では役に立つエゴグラムをご紹介します。】

まず、私たちは5つの心を持っている、と想像してください。

1.厳格なお父さん

2.優しいお母さん

3.大人

4.自由な子ども

5.従順な子ども

親の心は、育ててくれた人たちの養育態度に影響される、と考えられています。たとえば、厳しいお父さんが嫌で、自分は優しいお父さんになるんだ、と思っていても、ふと気づいたら嫌いなお父さんと同じ言動をしていた、とか。

大人の心は中学生頃から周りの大人を見て学んでいくようです。合理的に物事を考えることを学びます。

自由な子どもの心のエネルギーは本来持っている特性で、子どもの頃からあまり変わらないようです。たとえば、職場の元気がない人をカラオケに連れて行ってくる明るく元気に歌って楽しんでもらいたい、と思っても、その人がもともと持っている「自由な子どもの心のエネルギー量」が少ないと、あなたが頑張っても楽しんではもらえない可能性が高いです。

従順な子どもの心は、養育者との関係性から作られると考えられています。「いい子」でいれば養育者に受け入れてもらえる、という経験を多くすると、従順でいることや、自分より相手を優先して相手との関係性を良くすると学んでしまいます。自ら進んで自己犠牲をしますが、不満が蓄積すると大爆発をするので、周囲の人が驚きます。

このような私たちの「心の特性とエネルギー」を視覚的に捉えることができるエゴグラムはコミュニケーションスキルを向上させるために、とても役に立ちます。

【では、それぞれのタイプについて説明していきます。】

〈ポジティブな面〉

・目標を目指して、頑張る。

・ルールをしっかりと守る。

〈ネガティブな面〉

・相手に厳しく注意をして、相手をへこます。

・自分に厳しくて、落ち込む。

・相手にも自分にも厳しくて、いつも憂鬱そう

〈ちょっと注意すること〉

規則を守る、目標達成をする、という気持ちが強いです。企業にとっては、ありがたい心の持ち主ですが、相手に厳しすぎると、もしかしたら、知らず知らずにパワハラをしてしまうかも?自身の特性を意識して、相手にとってどうなのか、という視点をもって行動できるといいですね。

〈ポジティブな面〉

・優しく安心できる。

・人材育成が得意で、相手を伸ばすことが好き。

〈ネガティブな面〉

・ちょっとお世話を焼きすぎ?

〈ちょっと注意すること〉

相手が自ら成長できるように、相手の力を伸ばすことを意識しましょう。つい世話を焼きたくなりますが、自身の特性を意識して、相手の力を信じることも大事です。

〈ポジティブな面〉

・冷静に分析する。

・客観的に物事を考える。

・メリット、デメリットなどを理性的に考えることができる。

〈ネガティブな面〉

・計算高くてちょっと冷たい印象を与える。

〈ちょっと注意すること〉

合理的に考えたことを相手に伝える時には、暖かな言葉を選ぶように意識してみましょう。意味は同じでも、使う言葉で印象が変わります。「合理的な思考」と暖かな言葉を組み合わせることができたら、いいですね。

〈ポジティブな面〉

・一緒にいると楽しくなる

・グループが活性化する

・自分の時間を楽しんでいる。

〈ネガティブな面〉

・わがままで周りに迷惑をかけても気がつかない。

・頑固で譲らない

〈ちょっと注意すること〉

自身が楽しい時に、周りはどうなのか?と観察できると、あなたは周囲を活性化することができそうです。

〈ポジティブな面〉

・相手に合わせる。

・嫌でも「イヤ」とは言わない。

・周りの人は気持ちが楽。

〈ネガティブな面〉

・人に合わせて自分を犠牲にしているので、ストレスがたまり、ある時に大爆発して周囲を驚かせる。

〈ちょっと注意すること〉

普段からストレスを少しづつ解消するようにするといいですね。できないことは「できません」と言えるコミュニケーションスキルを学ぶことに役に立つかもしれません。

以上、エゴグラムの5つの心の特性を簡単にご紹介しました。自分自身を知ることは、コミュニケーションに役立ちます。もし、エゴグラムをやってみたいという方はミーデンにご連絡してみてください。お待ちしております。

2021.05.19

摂食障害について:基本的な考え方

  ダイエットなどがきっかけで食欲をコントロールできなくなり、過食をして体重が増えないように嘔吐したり下剤を乱用したりする状態を神経性過食症と呼びます。さらに顕著な体重減少がありながらも、太ることへの恐怖から過食嘔吐や拒食を繰り返す状態を神経性やせ症と呼びます。これらを合わせて摂食障害と呼びます。

日本の摂食障害の患者数は20万人と言われており、年々増加傾向にあります。思春期から30代の女性を中心に見られる疾患で、ある女子大の調査では学生の約1割に認められた報告もあります。さらに男性でも発症することが知られています。

            

特に神経性過食症に関しては、知られるのが恥ずかしいと感じて医療機関を受診しないケースが多く、潜在的にたくさん人が患っていると推測されています。

【摂食障害はダイエットが引き金となりやすい】

 摂食障害の多くが、ダイエットが引き金となって発症することから、「やせていることが美しい」「太っていることは醜い」という現代社会の「痩身崇拝」が背景にあると言われています。

やせるために無理な食事制限をして反動で過食、しかし嘔吐することで減量に成功することがあります。細身の服が着られて鏡に映る自分の姿に満足し、さらに周囲から「きれいになった」と評価を受けると、それが大きな喜びとなり、過食嘔吐が習慣化して摂食障害を発症します。異常な食行動と自分の評価がつよく関係してしまうのです。

                

                   

                         

特に、負けず嫌い、完全主義、感情のコントロールが苦手な人は摂食障害になりやすいと考えられています。このような性格的な問題が背景となり、美意識や体重へのこだわりがつよ過ぎて食事のコントロールがつかなくなってしまうのです。

こうした性格的な問題はうつ病、パニック症、アルコール依存症を発症する背景とも重なるものであり、これらの疾患と摂食障害が合併することもよく見られます。

【その他にも摂食障害になる様々な原因がある】

しかし、摂食障害の原因はそれだけではありません。失恋や受験の失敗などの挫折体験、学校でのいじめ、職場のストレス、虐待等のトラウマ、うつ病などから発症するケースもあります。

なぜ様々な理由で発症するかと言うと、食べるという行為が単に栄養摂取だけでなく、心の満足感とつながっているからです。赤ちゃんは空腹を感じて泣き、母親から母乳をもらい、満腹感を通じて愛情を感じます。幼児期の摂食と愛情を感じる体験の積み重ねにより、食べることと心の満足感には大きな関係ができます。

やけ食いという言葉がありますが、嫌なことがあった時に思いっきり好きなものを食べて発散させた体験は誰しもあると思います。食べることには手っ取り早い癒しの効果があります。過食が辛い気持ちの逃げ場にもなるのです。

心の辛さや虚しさがとれず、理解してくれる人もなく解消する手段がない、とりあえず食べることでそれを解消したい、吐いてでも食べ続けたい、こうした悪循環の心理状態に陥っているのが、摂食障害ともいえるでしょう。

           

極端な場合は、食べるものを盗んでも食べ続けたい、となり、摂食障害から万引きが常習することもあります。

このように摂食障害の心理状態は、アルコール依存などの依存症と似ています。依存症というとよく誤解されますが、依存症も摂食障害も快楽を追求するために好んでやっているものではありません。

心の虚しさを自己治療するために依存に陥り、本当は依存の悪循環から抜け出したいのに、強烈な衝動に操られて自分のコントロールを失っている状態なのです。

【摂食障害の治療法】

摂食障害に効果がある薬もあります。完全主義や強迫傾向を抑えたり、抑うつ状態を改善させるSSRI(エス・エス・アール・アイ)という種類のものです。現在日本ではレクサプロ、ジェイゾロフト、パキシル、デプロメールなどという名前のものが処方されています。

ただし、完璧主義や抑うつが過食に大きく関連している場合は効果がありますが、全ての摂食障害に有効であるわけではありません。

依存性には長い治療期間が必要なように、摂食障害の治療も長い時間が必要です。最近の摂食障害の治療は、薬の治療とともに、体重や容姿への誤った認知や間違った食行動を修正する認知行動治療が中心になっており、摂食障害の治療期間は平均5年くらいと言われています。

            

   

しかし実際は再発や慢性化することが多く、50才代後半くらいから容姿への執着が減り、体力的にも吐けなくなり、過食症が自然消滅するという経過が多いようです。

神経性やせ症の場合、激やせしているのに太って醜いという思い込みがとれません。太っていることへの頑固な思い込みは、発達障害や精神病が関わっていることがあります。拒食により命の危険があるケースもあり、これらの場合は入院を含めて精神科専門治療が必要です。

摂食障害は、認めてくれる人や理解してくれる人に出会えず、辛い人生を過食嘔吐で乗り越えている状態と考えることができます。したがって、回復の過程には過食嘔吐に代わるような心の満足や幸せが伴うべきでしょう。摂食障害はすぐに治るものではありません。自分だけで悩むのではなく、家族、医師、カウンセラーと共にゆっくり焦らず治していきましょう。

2021.05.07

うつ病を予防しよう

  近年WHOでは、癌、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病に精神疾患を加えて、これらを5大疾患と呼ぶようになりました。衛生状態や健康に対する意識の向上などにより、世界的に身体の病気が減少するのに反して、心の病気は人類の大きな問題となっているのです。

日本の精神疾患の患者数は420万人を超え、特にうつ病の患者数は120万人を超えています。ただしここに上げた患者数とは、医療機関で実際に治療を受けている数であって、未治療の人を含めると実際には500万人近い日本人がうつ病を患っていると推測されています。

かつてうつ病は、遺伝的な要素や性格が大きな原因で一部の人が発病するものと考えられていました。しかし、この数の増加をみると誰しもがかかりうる病気と考えても良いでしょう。また病状も多彩になり、比較的軽症な人が増えてきているという傾向もみられています。

             

うつ病の恐ろしさは、発病しても気づきにくく、放置しておくと悪化し長引いてしまい仕事や学業への支障をきたすところでしょう。そうなると回復までに年単位の時間が必要となります。また二次的に自殺の問題もあります。

これほど大きな問題のある病気であるにも関わらず、他の5大疾患に比べて、私たちは予防に意識をもっていません。ここでは、うつ病の予防について考えてみましょう。

【うつ病の予防について考えてみる】

 うつ病は様々なきっかけで発症します。仕事や人間関係のトラブル、喪失体験、お金の心配などの心理的なストレスが引き金になりますが、過労による疲労の蓄積や妊娠出産、癌などの慢性疾患などの身体状態が引き金になることがあります。大きな理由もなく発症するケースもあります。       

            

職業別にうつ病のなりやすさを調べた統計があります。それによると一番うつ病になりやすい職業は、医療介護職といった個人のケアをしている人たちでした。そして自分のペースで仕事ができる技術職や研究職にはうつ病の発症が少ないことが分かっています。

医療介護職の場合は、拘束時間が長く不規則であることや奉仕的な仕事のために心の燃え尽きといったものがうつ病を発症させてしまうことが推測されています。

【うつ病の明確な原因はまだ解明されていない】

 実は、うつ病の原因についてはまだ明確な仕組みは解明されていません。脳科学的には、脳神経物質に変化を与える薬物でうつ状態に変化が起きることから、何らかの原因によって脳神経物質の分泌の減少がうつ病の原因と考えられています。

上のことから、うつ病の予防には、まず引き金となる心身のストレスを軽減させることが必要でしょう。疲れをためない、気分転換をする、心配ごとがあるならば早めに相談する、といったことが必要です。

しかし、うつ病は避けられない状況で発症することが多いのです。したがってうつ病に早く気づき、早く対処することが最も大切なことではないでしょうか。癌で言われていますが、うつ病も早期発見早期治療が重要なのです。

近年企業では、健康診断の中にストレスチェクというメンタルヘルスの健診が義務化されました。これは国が打ち出しているうつ病予防のための早期発見早期治療の一つです。

【うつ病かどうかチェックしてみよう】

次の9項目はうつ病の典型的な症状です。当てはまる項目があれば、それらを数えてください。当てはまるものが5項目以上あり、それぞれが一時的でなく2週間以上継続している場合は、うつ病の可能性が高いと思われます。この場合は早めに医療機関を受診するようにお勧めします。

1.気分が沈み落ち込む。空しい。

2.以前楽しめていたことが楽しめない

3.食欲がなく体重が減った。

4.寝付けない、朝早く目覚める、もしくは寝過ぎてしまう、などの睡眠障害がある。

5.大きな理由もなく不安や焦りがある。

6.体がだるくて疲れやすい。

7.自分には価値がない、自分は人に迷惑をかけていると感じる。

8.集中できず仕事の能率が下がった。深く考えられない。

9.死にたい、消えてなくなりたい・人生をリセットしたい。

                                   

また、1項目でも当てはまる場合は、早めに仕事を減らすことや休養をとるなどの対処が必要です。

人には自然治癒力があります。けがをしても傷口が自然にふさがります。精神の病気に対しても自然治癒力はあり、うつ病の軽い状態ならば休養により改善します。 

この時に家族や友人などの相談相手がいることは大切です。また、趣味や楽しみなどの気持ちの逃げ場があることもストレスを軽減させるでしょう。

楽しみ、と言っても、アルコールだけは注意しましょう。なぜならアルコールは一時的にうつ気分を改善させますが、依存性がつよいために徐々に量が増えていきます。さらにアルコールは体内でアルデヒドという物質に変わり、これは不眠やうつ病を悪化させる作用があります。うつ病がきっかけでアルコール依存症になってしまうことも多いのです。

ドラッグストアではうつ病に効くというサプリメントがいくつかあります。残念ながら医学的にきちんと効果を証明されているものはありません。有名なものでは、ヨーロッパで古くから使われているセントジョーンズワートがありますが、これも効果がきちんと証明されたわけではなく、他の薬物との飲み合わせの悪さも指摘されています。栄養バランスのとれた食事が取れているならば、無理をしてサプリメントを取る必要はありません。

自然治癒力を働かせる最も大切なことは、十分な睡眠と食事です。逆に言うと、睡眠と食事が取れていないと自然治癒力が働きにくいのです。不眠症と食欲不振の項目が当てはまる方は積極的な治療が必要かもしれません。本格的な抗うつ薬を服用しなくても、睡眠薬や軽い安定剤だけで睡眠と食欲が改善し、それがきっかけになりうつ病も改善することもありますので、医療機関に相談しましょう。

まとめ

うつ病の予防についてみてきました。日々のストレスを軽減することを試みましょう。そして、心身の変化に気をつけ、早期発見早期治療の考え方を持つことが大切です。

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