メンタルヘルス

2021.05.19

摂食障害について:ダイエットが引き金となりやすい

  摂食障害とは?

 ダイエットなどがきっかけで食欲をコントロールできなくなり、過食をして体重が増えないように嘔吐したり下剤を乱用したりする状態を神経性過食症と呼びます。

さらに顕著な体重減少がありながらも、太ることへの恐怖から過食嘔吐や拒食を繰り返す状態を神経性やせ症と呼びます。これらを合わせて摂食障害と呼びます。

年々増加している

日本の摂食障害の患者数は20万人と言われており、年々増加傾向にあります。思春期から30代の女性を中心に見られる疾患で、ある女子大の調査では学生の約1割に認められた報告もあります。さらに男性でも発症することが知られています。

特に神経性過食症に関しては、知られるのが恥ずかしいと感じて医療機関を受診しないケースが多く、潜在的にたくさん人が患っていると推測されています。

【摂食障害はダイエットが引き金となりやすい】

 摂食障害の多くが、ダイエットが引き金となって発症することから、「やせていることが美しい」「太っていることは醜い」という現代社会の「痩身崇拝」が背景にあると言われています。

やせるために無理な食事制限をして反動で過食、しかし嘔吐することで減量に成功することがあります。細身の服が着られて鏡に映る自分の姿に満足し、さらに周囲から「きれいになった」と評価を受けると、それが大きな喜びとなり、過食嘔吐が習慣化して摂食障害を発症します。異常な食行動と自分の評価がつよく関係してしまうのです。

             

                         

特に、負けず嫌い、完全主義、感情のコントロールが苦手な人は摂食障害になりやすいと考えられています。このような性格的な問題が背景となり、美意識や体重へのこだわりがつよ過ぎて食事のコントロールがつかなくなってしまうのです。

こうした性格的な問題はうつ病、パニック症、アルコール依存症を発症する背景とも重なるものであり、これらの疾患と摂食障害が合併することもよく見られます。

【その他にも摂食障害になる様々な原因がある】

しかし、摂食障害の原因はそれだけではありません。失恋や受験の失敗などの挫折体験、学校でのいじめ、職場のストレス、虐待等のトラウマ、うつ病などから発症するケースもあります。

なぜ様々な理由で発症するかと言うと、食べるという行為が単に栄養摂取だけでなく、心の満足感とつながっているからです。赤ちゃんは空腹を感じて泣き、母親から母乳をもらい、満腹感を通じて愛情を感じます。幼児期の摂食と愛情を感じる体験の積み重ねにより、食べることと心の満足感には大きな関係ができます。

やけ食いという言葉がありますが、嫌なことがあった時に思いっきり好きなものを食べて発散させた体験は誰しもあると思います。食べることには手っ取り早い癒しの効果があります。過食が辛い気持ちの逃げ場にもなるのです。

心の辛さや虚しさがとれず、理解してくれる人もなく解消する手段がない、とりあえず食べることでそれを解消したい、吐いてでも食べ続けたい、こうした悪循環の心理状態に陥っているのが、摂食障害ともいえるでしょう。

           

極端な場合は、食べるものを盗んでも食べ続けたい、となり、摂食障害から万引きが常習することもあります。

摂食障害は好んでやっているわけではない

このように摂食障害の心理状態は、アルコール依存などの依存症と似ています。依存症というとよく誤解されますが、依存症も摂食障害も快楽を追求するために好んでやっているものではありません。

心の虚しさを自己治療するために依存に陥り、本当は依存の悪循環から抜け出したいのに、強烈な衝動に操られて自分のコントロールを失っている状態なのです。

【摂食障害の治療法】

摂食障害に効果がある薬もあります。完全主義や強迫傾向を抑えたり、抑うつ状態を改善させるSSRI(エス・エス・アール・アイ)という種類のものです。現在日本ではレクサプロ、ジェイゾロフト、パキシル、デプロメールなどという名前のものが処方されています。

ただし、完璧主義や抑うつが過食に大きく関連している場合は効果がありますが、全ての摂食障害に有効であるわけではありません。

依存性には長い治療期間が必要なように、摂食障害の治療も長い時間が必要です。最近の摂食障害の治療は、薬の治療とともに、体重や容姿への誤った認知や間違った食行動を修正する認知行動治療が中心になっており、摂食障害の治療期間は平均5年くらいと言われています。

            

   

年齢によって治っていくケースが多い

しかし実際は再発や慢性化することが多く、50才代後半くらいから容姿への執着が減り、体力的にも吐けなくなり、過食症が自然消滅するという経過が多いようです。

神経性やせ症の場合、激やせしているのに太って醜いという思い込みがとれません。太っていることへの頑固な思い込みは、発達障害や精神病が関わっていることがあります。拒食により命の危険があるケースもあり、これらの場合は入院を含めて精神科専門治療が必要です。

まとめ

摂食障害は、認めてくれる人や理解してくれる人に出会えず、辛い人生を過食嘔吐で乗り越えている状態と考えることができます。したがって、回復の過程には過食嘔吐に代わるような心の満足や幸せが伴うべきでしょう。摂食障害はすぐに治るものではありません。自分だけで悩むのではなく、家族、医師、カウンセラーと共にゆっくり焦らず治していきましょう。

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