メンタルヘルス

2021.06.18

精神科の薬は危険なの? その1

  

【飲んではいけない薬?】

 最近、週刊誌などのメディアの「飲んではいけない薬」という特集を見たことはありませんか?

中には精神科でよく処方される薬も話題になっています。飲んではいけないのに、なぜ処方されるのか、疑問に思われる方も多いと思います。ここではよく話題になる精神科の薬への誤解を解いていきたいと思います。

デパスについて

 まず飲んではいけない薬に必ず登場するのがデパスという薬です。抗不安薬に分類される、いわゆる安定剤です。エチゾラム、デゾラムなどという名称でジェネリック薬もたくさん出回っています。なぜ飲んではいけないのかと言うと、依存性があり、病気が治っているのにやめられなくなると言うのがその主張です。

 デパスは大変効き目の良い薬で、飲んですぐに症状が消えることから、ごく一部に依存的になる人がいることは事実です。しかし、実際にはほとんどの人は依存的にならずにいます。お酒と同じように、すべての人がアルコール依存症になるわけではないのです。

なぜ依存が起きるのか?

 依存がなぜ起きるかというと、薬の成分がどうというよりも、安定剤でも痛み止めでも効き目の良い薬は依存的になりやすいのです。飲めばすぐにパッと良くなるなら頼りたくなるものです。依存的になるのは、依存的になりやすいその人の体質的もしくは性格的な問題が大きいと言われています。

 医師が処方した薬の量をきちんと守って飲んでいるならば、それは依存症ではありません。病気が治っていないのに飲むのをやめる必要はありません。

 まれに長期間デパスを飲んでいた場合、病気が治ってもデパスをやめようとすると頭痛などの離脱症状が出る方もいます。それはデパスを中止することで、デパスの作用が急激になくなり、それに体が反応を起こしてしまうからです。このような場合は、一旦別の離脱症状が出にくい薬に代えてみるという方法がありますので、医師に相談してみましょう。

 よく誤解されますが、病気が治っていないのに、自分が勝手にデパスをやめて具合が悪くなったというのは離脱症状ではありません。デパスで抑えられていた病気の症状がぶり返したものです。

デパスだけが話題になった理由

 デパスはベンゾジアゼピン系という種類の薬です。他にもベンゾジアゼピン系の安定剤はたくさんあるのに、デパスだけがここまで話題になった理由があります。安定剤や睡眠薬は1ヵ月分までしか処方できないように法律で決められていますが、デパスは2016年まで処方の規制がある薬品に分類されていませんでした。

そのために軽い安定剤ととらえられてしまい、内科や整形外科などから一度にたくさん処方されていた時期がありました。そして大量に入手した人がネットでデパスを高値で転売することが起きてしまいました。

 さらに、入手のしやすさから、デパスを乱用する人も多くいました。快楽目的でお酒といっしょに飲むという乱用が絶えなかったのです。その後、デパスも他のベンゾジアゼピン系の薬と同じような処方期間1ヵ月以内の制限が設けられ、ネットでの販売もできなくなりました。

他にも話題になった薬

 このように本来の使い方から外れて悪用されたことから、問題になっている薬があります。他にも睡眠薬のサイレースが有名でしょう。効果が長く持続する睡眠薬として、非常に多く処方されているのものです。

 アメリカでは、相手に内緒でこの薬をお酒に溶かして飲ませ、相手が深い眠りに落ちたところを性的ないらずらをすることに悪用されました。そのためにレイプドラッグとして有名になってしまう、ついにアメリカでは使用も持ち込みも禁止になりました。

 日本でも同じような事件が起こりましたが、現在ではお酒などの他の液体に溶かすと青色が出るように着色料を混ぜて製造されています。もちろんお菓子などに使われている食用の着色料なので安全です。

睡眠薬は問題になりやすい

 睡眠薬は問題になりやすい薬です。1960年代にドイツで製造されたサリドマイドという睡眠薬が十分な審査がなく使用され、妊婦が服用して死産や障害がある子供が生まれる事件がありました。それから睡眠薬は危険であるという認識が広まりました。現在ではどんな薬でも十分な審査が行われてから使用されるようになっていますが、サリドマイド薬害を記憶している人は多く、睡眠薬に対する不安や誤解はいまも続いています。

 最近では睡眠薬を飲むと認知症になる、ということがネットによく書かれています。確かに、睡眠薬には眠っている最中に突然起こされると、そこで行ったことを憶えていないことがまれにあります。例えば、睡眠薬で寝ている時に電話が鳴って起こされ、それに答えたことを記憶していない、といったものです。これを逆行性健忘症と呼び、これが起こりやすい体質の人がおり、また特にお酒と睡眠薬を併用してしまった時に起こりやすいとも言われています。これは認知症の症状ではなく、睡眠薬による一時的な副作用です。

睡眠薬とお酒はNG

 睡眠薬とお酒は絶対に併用してはいけません。また逆行性健忘症はベンゾジアゼピン系の睡眠薬で出やすいので、それが出にくい他の種類の睡眠薬を処方してもらいましょう。

まとめ

 安定剤や睡眠薬は危険な薬と思われている方も多いかと思いますが、医師の処方を守れば決して危険なものではありません。一部の人に起こった副作用が話題性のために誇張されて報道されたり、悪用や乱用する人たちによって悪い評判が出てしまっているようです。ネットの記事を鵜呑みにしないで、心配なことがあったら処方する医師に直接相談することが大切でしょう。

精神科の薬は危険なの? その2

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