メンタルヘルス

2021年07月

2021.07.31

テレワークによるストレス負担

  現在も新型コロナウイルスが猛威を振るい、テレワークを導入している企業も多いかと思います。テレワークが導入され始めたのは、2020年3月頃からでした。

2020年3,4月では例年よりも自殺者が減り、これは会社に出勤することのストレス負担が減ったことが要因の一つとして考えられています。実際、当社でカウンセリングや相談対応をする中でも、出勤しなくて済むので、ストレスが減ったというような声も多かった印象でした。

しかし、約1年たった現在、テレワークは従業員にどのような影響を与えているのでしょうか。

最近よく言われていることとして、テレワークのために、勤務開始まで寝ていたり、日光にも当たらないので、生活リズムが崩れていくということがあります。また、通勤が唯一の運動時間であったにもかかわらず、それがなくなり、運動不足も問題として挙げられます。これらは抑うつ状態を発生させる大きな理由となります。

その他に当社でストレスチェックや相談対応をしていく中で、テレワーク中における様々な問題点が出てきましたので、ご紹介します。

⇒【ストレスチェックによる職場解析|テレワークによって職場のストレス負担が増えた例

【テレワークの問題点】

人間関係が悪くなる

 オンラインでのやり取りが基本となり、気軽に質問ができなかったり、上司の言い方がきつく聞こえたりして、心を病む方が増加しています。中途で入社した人は、最初からテレワークのため、右も左もわからないので、誰に聞いてよいか、どこまで聞いてよいのかなど様々な事で悩むと言います。

パワハラも増えていると言いますが、それは、従業員同士のコミュニケーション不足が招いている結果と言えます。適度な雑談は社内の雰囲気を良くさせ、従業員のストレス解消や、信頼関係の構築で大きな役目を果たします。パワハラを防ぐためには、適度な雑談も必要と言いますが、テレワークですと、気軽に職場の仲間と雑談をできないのも問題です。

孤独を感じやすい

 職場で落ち込んでいるとき、助けてくれるのは職場の仲間です。しかし、オンライン上であるとちょっとした相談もできず孤独を感じる方が多くなっています。それと同時に、上司が部下に対して叱った後、うまくフォローを入れていた方も多かったと思いますが、テレワーク導入後はそれも減っている印象です。

仕事効率が落ちる

 一見、通勤時間も減り、効率よく仕事ができると考えられるテレワークですが、実際には、ストレス負担が尋常ではなく、仕事効率が落ちているようです。

家庭環境が悪くなった

 テレワーク導入後から、DV相談が多くなってきました。家にずっといるとストレスがたまり、その上、学校も休みなので子供が家にいて、仕事をしながら子供の相手もしなくてはならない状態で、ストレス負担が増加します。

また、夫婦間でもお互いにずっと家にいる状態が続き、喧嘩が絶えず、家庭環境が悪くなったという声も聞こえてきます。

【解決方法】

では、どのような解決方法があるのでしょうか。

オフィス出社とテレワークをうまく使い分ける

完全テレワークですと、どうしてもストレス負担が大きく、つぶれてしまう可能性があります。うまく週ごとにオフィス出社する人とテレワークの人とで分けて、ストレス負担を軽減すると良いです。

いつもより言い方に気を付けて

 オンライン上だとどうしても言い方がきつく聞こえてしまう可能性があります。話す時には、いつもよりも言い方に気を付け、たまに笑顔を見せるなどすることが大切でしょう。

たまに雑談をしてみよう

 あえて、同僚などとずっとオンラインにして、たまに冗談を言い合ったり、分からないことをすぐに聞けるような体制にするのもよいでしょう。上下関係ですと、ずっとオンラインであると、部下は監視されるように感じて嫌がる可能性が高いです。したがって、それは避け、ために上司の方かた、「仕事どう?」というような形で様子をうかがったり、軽い雑談をしてあげても良いと思います。

あまり管理をしない

 コロナ状況下、みなさん普段よりもストレス負担が溜まっております。したがって、管理を徹底しないことも大切です。この時間帯に昼飯を食べなくてはダメ、昼休み以外の時間に外に出てはいけない、何分おきに今何をしているか報告をしなくてはいけないのは、よくありません。このような状況下、ある程度事業主側も許容しながら、従業員に仕事をしてもらうと逆に仕事効率は上がるものです。

まとめ

働き方は、職場ごとに決まっていますが、できるだけストレスがたまらないように工夫してみましょう。また、どうしてもストレスに耐えられなくなったら、人事に相談し、働き方を見直す提案をしてみても良いと思います。逆に事業主、人事の方は今回ご紹介したことが実際に様々な職場で起きているということを知っていただき、もう一度社内の働き方を見直していただけたら幸いです。

2021.07.28

怒るのをやめる方法|アンガーマネジメント

  コロナ禍で仕事がうまくいかない上に、大好きな飲み会もできず、楽しみにしていたイベントも中止、ストレスが溜まっていく毎日です。ゴールの見えない状況にイライラがつのり、怒りっぽくなっている人が多いようです。些細なことで怒ってばかりいると、大切な人間関係にひびが入ってしまいます。家族や職場からも指摘されて、何とか怒るのをやめたい、と考えている方もいるのではないでしょうか。

                   

しかし、怒りたくないと思っていても、怒っては後悔して、これを繰り返してしまいます。これは怒りのコントロールは難しいことであり、アンガーマネジメントという専門の領域があるくらい、特別な技術が必要なことだからです。 

ここでは、怒りをコントロールし、怒らなくなる方法を説明します。

怒らない決心をしましょう

 まず、怒ることが正しいことであると思っていませんか?「あいつのために怒ってあげている」、「あいつは怒らないと変わらない」、「自分は怒られてやってきた、だから同じようにやっているだけだ」、こんな理由で怒ることを正当化していませんか?

 「自分は怒られてもそれに負けずにやってきた」と言ってもみんなが同じようにできるとは限りません。生きてきた環境や価値観も違います。相手を変えたいために怒るならば、怒る以外にも方法があるはずです。大きな理由がなく怒ることは相手を委縮させ、傷つけます。結局怒っている人の評価を下げてしまいます。

仕事ではチームワークが崩れ、実績に響くでしょう。夫婦関係、親子関係でも信頼を失ってしまいます。大切な家族や仲間が去っていくこともあるかもしれません。些細なことで怒ってばかりいては、大切なものを失う可能性があります。

 怒ることが良いことだと正当化しているうちは怒ることをやめられません。怒るのをやめるために、まず怒ってはいけない自覚を持つことです。大切なものを失わないために怒らないと決心しましょう。

 具体的には、「怒らない」というイメージのものを机や壁に貼ってみるのも手かも知れません。いつも持ち歩いているスマホケースに笑顔のシールを貼ってみるのも良いでしょう。

体調を整えましょう

 怒りの燃料を一つになっているのが日頃の積もり積もったイライラ感です。仕事のストレス、うまくいかない人間関係、疲労、寝不足、お酒の飲み過ぎ、こうしたことがイライラを募らせ、心の中に怒りの燃料として蓄積されていきます。そして何かのきっかけで引火して爆発してしますのです。

 できるだけ休みをとり、睡眠時間を確保してストレスを溜めないようにしましょう。適度な運動、お酒を飲み過ぎない、規則正しい生活、こうした生活が怒りの燃料を溜めこまないコツなのです。怒らないためには、日頃から心に余裕を持つようにしましょう。

   

なぜ怒るのかを考えてみましょう

 一度じっくり時間をつくって、自分はなぜ怒るのか、怒ってどうしたいのか、を冷静に考えてみましょう。カウンセリングを受けるのも良いかもしれません。

 期待や価値観が壊される時に怒りのスイッチが入ります。怒りっぽい人は、何事にも「こうあるべき」という価値観をもっており、自分だけでなく他人にもそのルールを当てはめようとする傾向があります。そして自分の価値観にはずれると、カーと怒りを感じやすいのです。

 相手に自分の価値観を当てはめていないでしょうか。自分でルールを決めていても、冷静に考えれば、それほど重要でないことに気が付くことがあります。お店で注文したもんが出てくるのが少しでも遅いと烈火のごとく怒る人がいます。「こっちは金を払っている客なのだから待たさないのが当たり前」という価値観があるのです。

よく考えれば、少しくらい遅れたからといって何か大変な事件が起こるわけでもありません。店の人も忙しい中を一生懸命やっている、と考えれば、数分遅れたからといって怒る必要はないでしょう。

怒らないで伝える方法を探しましょう

 価値観の問題というよりも明らかに相手に非があり、謝罪を求めての怒りもあります。この場合、相手の誠実な言葉を聴くまでは怒りがおさまりません。しかし、相手も責められ続けて、逆切れさせることがあります。怒りは連鎖し、怒りには怒りで返ってくることが多いのです。謝罪が欲しいだけなのに、相手も逆上してしまい望まない結果になってしまいます。

 怒りが通じないならば、冷静な時に自分の気持ちを素直な言葉で伝える方が賢い選択です。「あなたの言葉に傷つけられた」「あなたのせいで辛い思いをしている」など、素直な気持ちを伝えましょう。そして、「謝って欲しい」「2度とやらないで欲しい」など、どうして欲しいのか、を伝えることが必要でしょう。

 怒らないでも言いたいことが伝われば良いわけです。相手を変えたいのが目的ならば、怒るよりももっと別の方法を選んだ方が得です。

怒るタイミングを遅らせる

 「怒りたくない」と決心しても、何かがきっかけとなって怒りの感情が湧いてくることは仕方がないことです。怒りのスイッチが入り、興奮の高まりのピークは数秒間であると言われています。その興奮のピークを通り過ぎれば、怒りの感情は徐々に下がっていきます。この数秒間をやり過ごせば怒ることを避けることができるのです。この時間は約6秒間と言われています。

 カーとなった瞬間にグッと怒りを押さえつけるのです。そして、深呼吸しながら「1,2,3,4,5,6」とゆっくり数字を数えるのです。「落ち着け、落ち着け」と自分に言い聞かせるのも手です。こうやって嵐が過ぎ去るのを待つのです。

 これはその場ですぐにできるものではありません。普段から練習しておくことが必要でしょう。

            

病気で怒ってしまう場合

 以上、自分の努力で怒りをコントロールする方法についてご紹介しました。それでも怒りのコントロールがつかない場合や、そもそも自分が怒って人に迷惑をかけていることに気付けない人は、衝動のコントロールがつけられなくなる病気の可能性があります。

 怒りのコントロールがつけられない症状は「易怒性(いどせい)」と呼ばれ、うつ病、躁うつ病、統合失調症、境界性人格障害、発達障害などにみられることがあります。またうつ病治療のための抗うつ薬が効きすぎて、その副作用として怒りっぽくなっている場合もあります。

 易怒性には薬の治療があります。バルプロ酸ナトリウムなどの気分安定薬、クエチアピンなどの抗精神病薬です。薬物治療に関しては精神科に相談しましょう。

2021.07.27

産業医にパワハラ相談をするのは適切なのか

  パワハラ相談を苦手とする産業医が多い

 産業医には、高ストレス者面談、健康診断後面談、休職復職判定、職場巡視など、様々な職務があります。最近では、従業員のメンタル面での職務が増えています。メンタル面の問題と言えば、産業医に対してパワハラ相談をすることは適切なのでしょうか。

実際の現在の実情について解説していきます。

 まず、事業所人数が50~999人の場合は嘱託産業医が、1000人以上であれば専属の産業医がいます。専属の産業医となればいわゆる学校で言うところの保健室に常駐してくれるので、何かあった際にはすぐ相談できる体制となっています。しかし、嘱託産業医の場合は、1、2ヶ月に1回会社に訪問するだけなのでそこまで会える機会がありません。

また、産業医に相談するためには、人事担当者などに相談し、産業医面談を日程調整をしてもらう必要があります。隠れて、自社の産業医を調べて、勝手に面談を行うということはできません。

つまり、産業医にパワハラ相談をしたい場合には、会社側にまずそのことを伝える必要があるのです。パワハラ相談はとてもデリケートな部分ですので、最初から会社側に開示し、相談するというのは、なかなか抵抗があるのではないでしょうか。

 それでは、まずメンタル不調を訴えて、産業医面談を取り付けてもらい、自分自身の不調を伝えつつ、職場でパワハラを受けていることを相談する場合はどうでしょうか。

確かに、産業医の職務として、働きやすい職場をつくるというものがありますので、安全衛生配慮義務の観点から、産業医が指導したことに対して、会社側は職場改善をしなくてはなりません。

ですから、パワハラを受けていることを伝えて、産業医から衛生管理者や人事担当者などに伝えてもらうというのも効果がないわけではありません。しかし、実際には、パワハラ相談を対応するのが苦手な産業医が多いようです。産業医は医師ですので、医学に関するスペシャリストではありますが、パワハラ対応を学んでいないことが多いのです。

⇒「産業医面談って意味ないの?

本来のパワハラ対応はどうあるべきでしょうか?

基本的なパワハラ対応の流れは以下になります。

①パワハラ被害者が相談してくる

    ↓

②パワハラ被害者のケア(これがまず第一優先です)

    ↓

③パワハラ被害者と相談し合い、会社側にどこまで伝えるかを検討

    ↓

④パワハラ被害者の同意を得た上で、現状を会社の担当者(人事責任者など)に伝える

    ↓

⑤パワハラ行為者や周りから事実聴取 

    ↓

⑥解決、処罰を決定

    ↓

⑦その後も、パワハラ被害者のケアは継続

見ていただいた通り、パワハラ対応は何度も面接を重ね、綿密かつ慎重に行わなくてはいけません。また、パワハラ被害者のケアを優先として対応するため、どちらかというとカウンセリング的アプローチが必要になってきます。

以上のような理由で、パワハラ相談を産業医にするのは現実的でないと言えます。

 

パワハラ相談に関しては、産業医とは別で相談窓口をつくることがおすすめです。相談窓口の相談員は、評価を下せる役員や人事は適切ではないので、外部の相談窓口に委託するべきでしょう。

まとめ

藁をもすがる気持ちで産業医にパワハラ相談をしたのに、きちんと対応してくれなかったという経験がある方も多いのではないでしょうか。産業医はあくまで職場のお医者さんという立ち位置です。産業保健スタッフという形でカウンセラーの指導的立場としている可能性もありますが、実際のパワハラ対応を苦手としている方が多いのが現状です。

あらかじめその点を念頭に置いた上で、会社の相談窓口のほうに相談するようにしましょう。

2021.07.26

ストレスチェックは役に立たない?|自殺を予防したケース

 毎年受検しているストレスチェック、どんな意味があるか疑問を持たれる方もいらっしゃるようです。ストレスは気づかないうちに心に侵入してきます。心の問題は自覚をもつことが難しく、指摘されて初めて気づくことがあります。ストレスチェックはこのような見えないストレスの悪い影響を数字で表してくれます。

⇒【ストレスチェックって意味あるの?

 ここでは、ストレスチェックによってうつ病に気づき、自殺を予防したケースをご紹介したいと思います。(なお本稿はご本人の承諾を受けた上、人物を特定できないように多少の改変をしてご紹介しています。)

【自殺を予防したケース】

 大手メーカーに勤務する30代半ばの女性Aさん。女性管理職を増やすという会社の方針があり、その候補に推薦されました。新しい部署に移り、上司のもとで仕事を覚えながら管理職試験の準備をしました。

 本来Aさんは、技術畑出身であり、人間関係は苦手でグループ内で要領よく立ち回ることができません。面接の練習でも適切な言葉が出ずに黙ってしまいます。昇進試験が近づくにつれ、推薦した上司から圧力がかかるようになりました。

 真面目なAさんは追い詰められるようになり、「こんなにしてもらっているのに情けない」、「自分はダメな人間だ」、会社に迷惑をかけるだけだと自分を責めるようになりました。プライベートでもいつも職場のことが頭から離れず、なかなか眠れなくなりました。朝早く不安感とともに目覚めることもありました。寝不足で朝が辛く、やっとのことで出勤しました。

 ある日の面接練習の時です。上司から「年も年なんだから、昇進したくないなら辞めて結婚したらいいんじゃない?」と言われました。上司はやる気を出させるために言ったのでしょうが、この言葉が心にグサッと刺さりました。

 家に帰って涙が止まりません。「私は会社でも認められず、結婚もできない人間だ」と自分を責め、ついには「生きる価値がない、死んだ方がましだ」と思いました。気がつくとベランダに立って下の道路を見ていました。無意識のうちにベランダから飛び降りようとしていたのです。

その時フッと実家の両親の顔が浮かびました。「実家の両親には心配をかけたくない」という思いで部屋に戻りました。コンビニでお酒を買い、飲んでクラクラしてその勢いで眠りました。それからはお酒に頼る毎日になりました。


 そんな時に年に1度のストレスチェックがありました。結果の通知書には高ストレス者に判定されたので産業医面接を受けるように書かれてありました。このままの生活を続けていては良くないと感じていたAさんは、希望してすぐに産業医面談を受けました。人前で泣いたことのないAさんでしたが、最近の状況を話していると涙が止まらなくなりました。

産業医はそんな様子を見ながら、またストレスチェックでもストレス反応の項目が10点しかないことからメンタルの病気を疑い、治療のために精神科を受診するようにすすめました。

 翌日、Aさんは紹介された精神科を訪ね、うつ病の診断を受け、3ヶ月の休職と通院治療をすすめられました。「昇進試験が数日後にあるのに休職どころでない。会社と上司を裏切るようなとんでもないことになった。」と思い、休職のための診断書を渡されましたが、会社に提出する勇気がありません。しかし、帰りに電車の中で考えました。

「何のための昇進だろう?」このことが頭の中をグルグルと回っていましたが、最終的に「医師が言うように健康を優先しよう」と休職することを決心しました。会社に診断書を提出するとむしろ気持ちはスッキリしました。

 精神科からはお酒に頼らないように睡眠薬、不安薬の薬が処方されました。休職後は自宅でゴロゴロする日々でしたが、徐々に自分を責めることをやめるようになり、管理職は自分に向いていなかったのだとプラスに捉えることができるようになりました。

休職1ヵ月後には睡眠薬なしでも自然な睡眠がとれ、朝は気持ちよく目覚めるようになりました。産業医と面接し、復職のための生活を整えるように訓練を始めました。管理職の話は辞退したこともあり、人事の采配で今の上司と離れるように配置転換してもらうことになりました。

 その後、Aさんは3ヶ月の休職を終え、元気に仕事をしています。順調な経過を経たので、さらに3ヶ月後に通院治療も終了となりました

まとめ

 ストレスチェックがうつ病を発見し、自殺を防いだケースをご紹介しました。心の不調は自分で気づくことが難しく、気づいても職場に言い出しにくいものです。ストレスチェックは気づきを与え、さらに自分から言い出せない時には治療のきっかけをつくってくれます。ストレスチェックを広く利用していきましょう。

2021.07.20

産業医という資格

  「産業医」という資格の人を聞いたことがあるでしょうか。産業医には専属産業医と嘱託産業医があります。専属の産業医を置かなければいけない企業は従業員が1000人以上、嘱託の産業医を置かなければいけない企業は従業員が1000人未満から50人となっています。逆に言えば、50人以下の従業員の企業では産業医という人はいないはずです。

産業医になるためには、医師免許だけでは足りないのです。医師が産業医になる方法、産業医という資格を取得するのに必要な過程について解説します。実は、産業医という資格を得るためには産業医学を学ばなければなりません。

産業医学とは何か?

 一般の医学部では学ぶことのない産業医学、でも、この産業医学を医学部の授業として行っている大学が一つあります。それが、福岡にある「産業医科大学」という専門の大学です。この大学は学費を払わなくていい代わりに、卒業後9年間産業医学に携わる仕事をしなければなりません。これはあとでまた話が出てきます。

 産業医学というのは、労働環境、労働者の健康の関わりを研究し、追及していく学問です。労働者がどういった環境で働けば、健康をそこなわずに済むか、と言った方が簡単かもしれません。労働者は一日の大半を職場で過ごします。そのため、労働者と職場の環境というのは、健康のためには切っても切り離せない関係があります。

昔から現在に至るまで、職業病や作業関連疾患などの健康問題がたくさん発生しております。疾病の原因探求などの基礎医学的研究から、労働者の疾病を予防するなど、健康を保持し、さらに増進したり、実践活動まで、産業医学には幅広い範囲が含まれているのです。

産業医になるには~医師免許だけではなれない?~

 産業医というのは、医師免許とは異なります。医師免許を管轄するのは厚生労働者ですが、産業医を管轄しているのは日本医師会になります。では、医師免許取得者が産業医という資格を得るにはどうすればいいのでしょうか?

 産業医という資格は医師免許を持っていることに加えて、所定の講義を受ける必要があります。産業医の資格を取るための講習はあちこちで随時行われていますが、缶詰でもいいからまとめてとりたい、となると産業医科大学の講習が毎年7月に行われており、1週間ぶっ続けで講義を受け、産業医を取得するという講義もあります。

先ほど説明させていただいた通り、日本医師会の講習もしくは産業医科大学の講座を終了しないことには、産業医の資格を取ることはできません。また、この講習を終了しているからと言って、すぐに産業医になれるわけではありません。なりたいと思った医師が日本医師会に申請して初めて、「日本医師会認定産業医」となるのです。

また、産業医資格は5年更新制となりますので、5年間の間に、産業医学に関わる講習会などに参加してしかるべき単位を取得したことを、再度日本医師会に申請すると、更新ができます。取得はしたものの更新できなかった、というのもたまに聞く話です。そのため、産業医の仕事をやっている人は、きちんと更新ができているか、単位が足りているかなどしっかり確認が必要です。

産業医とは特殊な医師である

 産業医は、嘱託であれば50人以上の従業員がいる事業所、専属であれば1000人以上の従業員のいる事業所が設置を義務付けられています。では、労働者の健康を維持、増進するというのは、どういうことでしょうか。実は、産業の職務において、病気の診断・治療は基本的にしません。

医師は「診断・治療」を行う者というイメージがあるかと思いますが、薬を処方したりすることはできないのです。それゆえに、産業医がいる会社の皆さんは、「産業医の仕事はどのようなものだろう」と思ってしまうかもしれないですね。

⇒「産業医面談って意味ないの?

 産業医に会うことが多い人は、残業時間の多い人です。月に80時間以上の残業をしてしまうと、産業医との面談が義務付けられています。そこでは、体調に問題が出ていないか、残業を減らすためにはどうしていくか、と言ったことが話し合われます。また、休職の診断書を会社に提出した場合、その診断書を元にどう休職していくか、復帰可能の診断書であれば、どういう復職のプログラムに乗っていくか、復職プログラムがない場合はどうやって可能な範囲での配慮を行うかなど、そういったことが話し合われます。

最近はどこの事業所でもメンタルの不調をきたす従業員が増えており、これらの対応が産業医の業務としてメインになりつつあるため、産業医には精神科医が好まれ始めました。今までとは産業医の業務の範囲が広がっているんですね。

産業医の数

 産業医の数は約7万人いると言われており、これは医師全体の25%に当たります。しかし、産業医を必要としている事業所は約16万件にも上りますので、産業医の数としてはまだまだ不十分です。専任で産業医をしているよりも嘱託産業医の方が圧倒的に多く、普段の診療業務の合間を縫って産業医の仕事を行っています。

産業医を作るための大学、産業医科大学について

 産業医になる時に必要な講座として、先ほど「産業医科大学の産業医学基礎講座」というのがありましたが、日本には産業を専門とする医科大学である、「産業医科大学」という大学があります。学生は学費の一部を免除される代わりに、卒業後は決められた年数産業医業務を行うもしくは労災病院で働く必要があります。その決められた年限に従わない場合は免除されていた学費を請求されることになります。

まとめ

 今回は、産業医の資格、お仕事について解説しました。医師免許だけでは産業医にはなれないこと、産業医のなり方、そして昔は産業医学を実行していればいいだけだった産業医が現在ではメンタルヘルスまで幅広い役割を求められていることなどがわかったのではないかと思います。産業医というのはある種、遠い存在に思えるかもしれませんが、それを身近な存在として感じ、一緒に仲間として企業の中で働いてこと、産業医という資格が生かされる1番の方法です。

2021.07.16

ストレスチェックによる職場解析 テレワークによって職場のストレス負担が増えた例

  前回の稿では、ストレスチェックの職場解析の基本的な見方を説明しました。

⇒「ストレスチェックによる職場解析

職場解析で見るポイントとして、以下のものがあります。

(1)職場の高ストレス者の数

(2)仕事の量と質の問題からくるストレスの影響を職場ごとに数値化した健康リスクA

(3)職場の人間関係からくるストレスの影響を職場ごとに数値化した健康リスクB

(4)健康リスクAとBを加算した総合的な職場ストレスを数値化した総合健康リスク

具体的なケース

ここでは、具体的なケースについてお話していきたいと思います。コロナ禍での在宅勤務の影響により職場のストレスが悪化したケースです。

(※今回の内容は、実際の企業様にご許可をいただき、さらに特定できないように多少の改変をして出させていただきます)

 従業員数60名程度のIT関係の会社です。開発、営業、総務の3部署があります。毎年のストレスチェックでは高ストレス者は3名前後で、産業医面接では職場状況に問題は見つかりませんでした。健康リスクもマイナスの数字が出て問題がありませんでした。

 ところが2021年度のストレスチェックでは、高ストレス者が7名に増え、従業員の12%となりました。高ストレス者が10%を超える場合は職場のストレスに要注意のサインです。

 総合健康リスクを見てみると、会社全体では大きな健康リスクはほぼ0で問題はありませんでした。そこで部署ごとに健康リスクを見てみると、営業部の総合健康リスクが高くなっていました。他の部署の健康リスクが低かったため、会社全体の健康リスクは相殺されて問題がなかったのです。実際に高ストレス者のほとんどが営業部からでした。どうやら営業部に何か問題があるようです。

コミュニケーション不足が判明

 そこで、営業部の健康リスクを見てみると、総合健康リスクが8ポイント高く、うつ病などのメンタルヘルスに障害が出る可能性が、通常の職場よりも8パーセント多い確率が出ていました。さらに、健康リスクA、健康リスクBを見てみると、健康リスクAが3ポイント高く、健康リスクBが5ポイント高く出ていました。人間関係を示しているBがより高いということは、営業部内の人間関係で何か問題が発生しているようです。従業員間でのコミュニケーションがうまくとれていないことが数字で出ているのです。

 さらに営業部の高ストレス者の産業医面接において、面接参加者が口をそろえて訴えたのは、コロナ禍の在宅業務での従業員間でのすれ違いでした。オンライン作業のために、相手の表情がよく見えず相手の意図を深く読み取れない、質問があっても直接聞けば簡単に答えを得られるのに、リモートなのでよけい複雑になる、と言った声でした。これが健康リスクBに反映されていたようです。

仕事効率も落ちる

さらに、コミュニケーションが悪いために仕事の効率も悪くなっており、それが健康リスクAに反映されていたと推測できました。人事の方いわく、従業員様の中には、上司が部屋に一人でモニター越しに話すので、注意する時は周囲に誰もいないかのように厳しく注意されていたそうです。そのために、注意をされる度にモニター越しにみんなにも聞かれてしまい、さらし者のように感じていたそうです。相談相手もみつからずに一人で悩み、孤立感を感じていたそうです。

改善指導の結果

 以上の解析結果を産業医と総務部長に伝え、営業部の改善を指導してもらいました。具体的には、在宅勤務時間を減らし、コロナ感染予防に注意しながらできるだけ職場で仕事をするように勤務形態を改善させました。

 こうした職場改善の後、およそ3ヶ月が経過しましたが、先ほどの高ストレス者になった従業員の産業医面接では、仕事がしやすくなったという言葉を聞くことができています。

まとめ

 ストレスチェックによる職場解析とその利用の仕方について、最近の事例をもとにお話しました。コロナ禍の在宅勤務による従業員間のコミュニケーションの不足がストレスとなっているケースでした。

 在宅勤務によるストレスは多くの職場で起きている問題のようです。このようにストレスチェックが職場環境の改善につながることを願ってやみません。

【その他参考ブログ】

・「ストレスチェックって意味あるの?

・「ストレスチェックの見方 受検を有意義にするために

・「ストレスチェックの面談を受けない人が多い?

2021.07.14

安心して復職するために出来ること

休職している方は、早く回復して職場に復帰したい、と切実に願っているかもしれません。

あるいは、今まで休みもなく頑張ってきたのだから、もう少しゆっくりと休んでしっかりと

回復したい、と思っている方もいるでしょう。

皆さんの会社の復職期限(それまでに復職できな場合は退職になる期限)の長さはどのくらいでしょうか?

会社によってそれぞれ長さは異なりますね。

5年は長い方で、大体1年~3年くらいが多いかもしれません。

回復に要する時間はそれぞれ異なりますので、ひとくくりでは言えませんが、共通していることは

休職期限ギリギリになって駆け込みで無理やり復職することはあまりお勧め出来ない、という

ことです。

睡眠リズムが1カ月前までは昼夜逆転に近い状態だったのに、急に、毎朝7時に起きることが

出来ています、と言うのは不自然ですよね。

休職期限に間に合わせるために虚偽の報告をしなければならない、という状態かもしれません。

虚偽の報告をして、主治医から復職可能の診断書をもらい、産業医面談に進みます。

産業医はあなたの心身の状態を確認して、必要であれば職場への意見や指示を出します。

例えば、「1カ月間は残業不可」「1カ月間は出張不可」等々です。

そして、主治医の診断書に「職場の環境調整が必要」とか「異動が必要」と書かれていれば、

その点にも言及することになりそうです。

要するに、職場での人間関係や業務過多などでメンタル不調になった社員を元の職場に戻す

ことは避けるように意見を入れるということです。

主治医、産業医、それぞれの専門家があなたの復職を支援することになります。

あなたが、もし、昼夜逆転の状態なのに、「規則正しい睡眠ができて、昼間も散歩や読書や

資格の勉強をしています」と虚偽の報告をしたら、どうなるでしょうか?

一番困るのは、あなた自身です。

「出勤しなければならないのに、今日も起きられなかった」

「また遅刻か。課長に電話するのも嫌だし、LINEしておこう」

「明日は行けるだろうか? 薬の飲んでもまだ眠れない。どうしよう」 

 

と悶々とすることが多くなるかもしれません。

休職中は「復職したら何とかなる」と思い込んでしまうかもしれませんが、

それは期待外れになることが多いです。

では、安心して復職するためにはどうしたらいいでしょうか?

それは、主治医の指示に従って、きちんと服薬し、生活リズムを整えることです。

会社にカウンセラーがいたら、カウンセラーも活用して、生活の振り返りをしたり、

今後どのように活動が有効なのかを一緒に話し合ってみてください。

安心して復職するために大事なことは、

・主治医の指示に従う。

・会社にカウンセラーがいたら活用する。

ことです。

       カウンセリングのイラスト(女性医師) | かわいいフリー素材集 いらすとや

主治医の指示に従うという当たり前のことを強調するのには、訳があります。

休職中の社員が「久しぶりに友達と会ったので、痛飲した」と言いました。

別の社員は、「お正月だから例年の通りに日本酒を家族で飲んだ」と言いました。

そして、やっと整ってきた睡眠リズムが一気に乱れて、休職期限間近になって、退職

する、ということになってしまったのです。

処方された薬は「飲酒不可」と書かれていて、薬剤師にもお酒は飲まないように

言われたのに、たまにはいいだろうと自分に甘くなった結果だと想像します。

自宅で療養するのは孤独になったり、途方にくれたり、落ち込んだり、苦しいこと

もあるかもしれませんね。

それを支援してくれるのは、家族、友人、会社にいるカウンセラーや、クリニックの

カウンセラー、などです。

一人で抱え込まず、主治医の指示を守って、支援してくれる人に遠慮なく相談して、

ぜひ自宅療養を有意義に過ごしてください。

2021.07.12

産業医面談って意味ないの?

  今まで産業医面談を受けたことがある方で、その意義をあまり感じなかった方もいるようです。産業医面談には、どのような意味があるのでしょうか?

⇒「ストレスチェックの面談を受けない人が多い?

産業医面談を必要とするケース

・ストレスチェックの高ストレス者判定が出た際

・休職、復職を判定する際

・健康診断結果に何か問題があったとき

ストレスチェックで高ストレス判定が出て、産業医面談を受けた際に、「うつ病の可能性があるので、近くの精神科に行って、診察を受けてください。」と言われることがあります。

この時に、ここでは、「治療してくれないの?」と思われる方が多いようです。

実は産業医は主治医にはなれません。仮にそこでうつ病の可能性があったとしても、その労働者の治療を行うことはできないのです。こうしたことから、労働者が産業医面談に対して意義を感じられなかった方が出てしまうようです。

産業医がしてくれること

①精神科に通院するか判断してくれる。

高ストレス判定が出たからと言って、その労働者が病気で休職が必要なわけではありません。産業医はその労働者に治療が必要かどうかを判定してくれます。

②働き方の助言をくれる

ストレスがつよいので、働き方を見直した方が良い場合、その助言をくれます。この助言は、職場の状況を知っていないとできないことです。主治医ではできません。産業医は、職場巡視や衛生委員会などの参加、会社側の担当者と連携をとっているために、職場事情に詳しく、その職場にあった働き方を助言してくれます。

③休職する際、復職する際の判断

主治医からは働いても大丈夫と判断されたとしても、産業医が休職した方がよいと判断する可能性もあります。それは職場状況を考慮しての判断です。仮に職場が繁忙期であった場合、そのまま働き続けてしまうと、状態をさらに悪くする可能性もあります。「繁忙期が落ち着くまで」、「もう少し体調が戻るまで」など休職をすすめるケースもあります。

また復職の場合も同様に、主治医から復職しても大丈夫と言われた場合でも、職場状況を考慮して、OKを出さないケースもあります。

④会社側に指導してくれる

仕事状況は、自分の力だけでは、変えられないことが多くあります。その場合、職場に伝えてほしいと言えば、産業医が職場側に指導を入れてくれます。平成8年の安衛法の改正により、産業医の権限が強化され、産業医は統括安全衛生管理者に対して指導・助言ができます。また、会社に勧告した際に、会社の安全衛生配慮義務を支援することが求められているので、産業医から勧告を受けた場合、職場改善をすることが会社側に求められます。

まとめ

 労働者側からした場合、実際に治療をしてくれるわけではないので、産業医の存在にあまり意義を感じない方も多いようです。しかし、実際の治療ができないからこそ、会社側と労働者との中立的な立場を維持し、職場の状況を考慮した上で、判断してくれるのです。産業医は労働者の社内での立場や健康を守ってくれます。ぜひ産業医面談を利用しましょう。

【その他参考ブログ】

・「ストレスチェックって意味あるの?

・「産業医制度とメンタルヘルス対策~適切なメンタルヘルス対策を行うために

・「産業医と精神科医

2021.07.09

過呼吸発作とパニック障害

  日本の救急外来を受診する人の70%が、胸痛、呼吸困難、動機、などを訴えている心臓呼吸器系の病気です。ところが、その半数近くが検査でも内臓にも問題がなく、神経性の不安発作であると言われています。これだけ不安発作は大変多く見られる病気です。

 不安発作とは、不安が引き金になった胸痛、動悸、めまい、呼吸困難、手足のしびれ、胃腸症状などの自律神経の発作性の症状です。直接的な心理的な要因がなくても、積み重なったストレス、寝不足、過度の運動などから発症することもあります。特に「死んでしまう」「気が狂ってしまう」というつよい恐怖感が伴う場合はパニック発作と呼んでいます。

 

【過呼吸発作】

 不安発作の中でも最も多いのが、思春期~30代の女性にみられる過呼吸発作です。正式には過換気症候群と呼ばれており、不安恐怖などの後に呼吸が荒くなり、息が吸えなくなる状態です。さらに、動悸、胸痛、手足がしびれたり、けいれんが起きたり、失神に至ることもあります。不安恐怖により呼吸中枢が過剰に刺激され、呼吸が早くなり、血中の二酸化炭素濃度が低くなることが原因です。ただし、死に至ることはありません。

 過呼吸発作の対応として、ペーパーバッグ法が有名です。血中の二酸化炭素を増やすために紙袋を口に当てて呼吸をさせるという方法です。ところが最近の研究結果では、ほとんど効果がないことが分かりました。その上、窒息で死亡事故にいたることもあったため、最近ではペーパーバッグ法は使われません。

【薬以外の対処法】

 不安発作全般に言えますが、薬以外での対処方法は呼吸法です。基本は、吐く時間を長くしてゆっくり呼吸することです。数を7つ数えて吐く、3つ数えて吸う、くらいのペースが必要です。ゆっくりした呼吸をするためには腹式呼吸がよいでしょう。男性に比べて女性は胸式呼吸の場合が多く、不安発作を経験したことがある人は、日頃から腹式呼吸を練習しておくことをお勧めします。

【パニック発作と予期不安】

 不安発作は、一度経験すると何度も繰り返すことがあります。発作が出やすい神経の興奮状態が続いてしまうことで、似たような状況がきっかけとなり再び発作が起きてしますのです。特につよい不安恐怖が伴うパニック発作は習慣化しやすいものです。

 さらに困ったことに、不安発作が習慣化してくるとまた発作が来るのではないか、と不安になってきます。不安を予期して不安になる、ということで予期不安と呼びます。

 予期不安がきっかけになり、発作が出ることもあります。予期不安が出てくると、それを頭の中で打ち消そうとしてよけい考えるようになり、神経が興奮状態となり発作のスイッチが入ってしまうのです。一日の仕事を終えてゆっくり風呂に入っている時にも、発作のことを考えて不安になり、発作が出てしまうこともあります。

 このような繰り返すパニック発作と予期不安が出てくる場合は、パニック障害とかパニック症と呼ばれる状態です。

                 

【発作が起きるきっかけ】

 パニック障害の最初のパニック発作は、飛行機や満員電車などで発症することが多く、その後も通勤などで利用するものであることから、改善されず習慣化してしまいます。悪化することにより、乗り物だけでなく、狭い場所で苦痛を感じるようになり、劇場、混んでいるスーパーなども利用できなくなります。また、予期不安で一人でいられなくなり、留守番すらもできなくなることがあります。

 さらにこのような状態が続くことにより、ひきこもりやうつ病に至ることもあります。お酒で不安が治まることから、お酒に頼るようになりアルコール依存症になってしまうケースもあります。

 パニック障害とは、本来脳が持っている危険を察知する能力が過剰に反応している状態です。例えば、火災警報器の設定を敏感にすると、少し料理をしただけでも警報が鳴ってしまいます。似たように、危険に対する脳の警報器が敏感に設定されてしまったのがパニック障害です。しかし、自分の意思で脳の設定を戻すことはできません。通常の設定に戻すためには、安全であることを脳が自然に認識していくことが必要です。

【パニック障害の治療】

 パニック障害の治療として、まず心配事、過労、寝不足などを解消させましょう。ごく軽症の場合は呼吸法で改善されることもありますが、精神科での薬の治療が有効です。放置すると慢性化しますので、「何とかなる」と我慢しないで、早めに受診することをお勧めします。

 発作時に抗不安薬を服用することで発作を抑えることができ、予期不安にも効果があります。このように薬で発作に対処できる自身をつけていくことが自然治癒につながります。安心感を維持することによって脳の警報器が自然に正常に戻っていくのです。抗不安薬としては、コンスタンとかソラナックスという名前のものがよく使用されています。

慢性化したり、軽症でない場合は、脳の警戒状態を持続して抑えるために、SSRIという薬を使います。薬で脳の状態を正常化させることにより、自然治癒を導くのです。日本では、レクサプロ、ジェイゾロフト、パキシル、ルボックスという名前のものが利用されています。ただし、これらは毎日長い期間にわたり服用する必要性があります。

 過呼吸発作などの不安発作が何度も起きる場合はパニック障害を疑いましょう。心臓の病気かと思っていたらパニック障害であったこともよく聞く話です。早めに治療すれば短期間の治療で済みますが、パニック障害は治療に長い時間がかかります。10年以上服用する人も多くいます。焦らずに治療していきましょう。

2021.07.07

新入社員がメンタル不調に陥ったときの対処法

 4月に入社した新人さんは順調に育っていますか?

職場で少しづつ仕事を始めて、馴染んでいるでしょうか。

残念なことに、入社早々、メンタル不調におちいる新人さんも少なくないです。

メンタル不調が疑われるのは、朝起きられない、熱が出る、吐き気がする、めまいがする、

等々の不調を訴えて休むことが目立ち始めた場合です。

めまいを起こしている人のイラスト(女性)      

そんな時、会社としてどのような対応が出来るでしょうか?

まずは、受診しているのかの確認が必要です。

内科を受診して何も問題がなければ、次は心療内科を受診するを勧めることになります。

学生から会社員と立場や環境が大きく変化したことで、ストレスが大きく、その重み

に耐えられずに、身体症状が出ている可能性が考えられます。

お金を出してサービスを受けている側から、お金をもらってサービルを提供する側に

回るのですから、その変化は180度、大変大きいですよね。

上司の役目は、産業保健スタッフ(カウンセラー、産業医)にその新人を繋げることです。

そして、職場での対応の仕方については産業保健スタッフを相談しながら、考えていくことに

なります。

新人はカウンセラーと話をすることで、自身の現状を理解することが出来ますし、

今後どのように会社生活をしていくのかを相談することが出来て、安心感を得る

ことが出来ます。

新人の採用面接はリモートで実施して、もともとメンタル不調を持っていることが

分からなかった、と言う採用担当の方がほとんですが、それは無理もないことです。

実際に対面で面接をしても、学生時代からメンタル不調気味だったことを見抜ける

確率は大変少ないです。

もともとメンタル不調気味だった人、入社して不調になった人、どちらも前述の通り、心療内科受診、

産業保健スタッフ(産業医、カウンセラー)のケアが必要です。

加えて職場での対応も不可欠になります。

      

もともとメンタル不調の不安がある人たちは、どんな傾向があるでしょうか。

例えば、こんなことがあるかもしれません。

・新人研修で他の新人についていけないと必要以上に気に病む。

   

・職場に配置されたが、OJTで教える先輩とうまくコミュニケーションできず、気まずい。

                

・背後からパソコンの画面を見られているようで、落ち着かない。

・周囲の人の話し声が気になる。

      

どうですか?

何だそんな些細なことか、と感じる方が多いのではないでしょうか?

しかし、意外にも心の健康を崩すきっかけになるのです。

私たちの「些細なこと」が当人にとっては「大ごと」になっています。

それが気になって気分が落ち込んでしまい、発熱やめまい、睡眠の質の低下、

意欲の減少に繋がっていきます。

新人を迎えたら「些細なこと」も新人にとっては「大ごと」なんだと理解して、教育や育成

をすると不調を防げるかもしれません。

また、もともとストレス耐性が弱い人や、コミュニケーションが苦手な人も多く存在します。

ぜひ産業保健スタッフ(産業医、カウンセラー)と連携して新人さんを育成してください。

     

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