メンタルヘルス

2021.09.11

磁気でうつ病が治るのは本当?|TMSについて

  うつ病の治療と言えば薬が中心です。しかし、2019年から磁気を使ったうつ病の治療が健康保険で受けられるようになりました。磁気とは磁石同士で引き合ったり、反発したりする見えない力です。磁気ネックレスなどですでに健康器具として利用されています。磁気によるうつ病治療は磁気刺激治療とか、TMSと呼ばれています。

 TMSとは、椅子に座って磁気を発生する装置を頭に当て、磁気の刺激を30分程度受けるという簡単なものです。麻酔は必要なく、痛みや大きな副作用はありません。ただし、週に5日間、6週間にわたり合計30回を受けなくては効果がありません。現在のところ大学病院などで入院して受けることができます。1回の治療費は4000円程度になりますので、入院費などを合計すると全部で20万円~50万円ほどかかります。

 高校の物理で電磁誘導というものを習いますが、TMSはこれを利用したものです。磁場を動かすとその中に電流が流れるという現象で、頭の周囲に磁場をつくり、脳のうつ病の原因部分に弱い電流を流します。これが刺激になってうつ病の原因部分が回復していくという治療です。

 メディアでは、簡単で副作用がない画期的な治療法と宣伝していますが本当でしょうか?

 現在TMSで健康保険が使えるのは、すべてのうつ病でなく、薬の治療に効果がなかった場合に限られています。これは、薬が効かない人へのTMSの効果は実証されましたが、うつ病の人すべてに最初から利用するには効果や安全性において完全に実証されていないからです。まずは効果が確実で安全性の高い薬の治療を行い、それで治らない場合の次のステップとしてTMSを利用するべきであるという考え方です。

 それでは、実際にTMSの効果はどのくらいでしょうか。ちなみにうつ病の薬の治療は6割~7割くらいの人に効果があります。TMSは、薬が効かなかった人の3割~4割程度の人に効果がありました。そのうちに数か月で元に戻ってしまう人もいて、最終的に治るというレベルまで到達する人は2割~3割程度であると言われています。

                      

 これを薬で治らない人の3分の1に効くのだから良いのではないか、という肯定的な医師もいれば、たったの3分の1にしか効き目がない、という悲観的に捉える医師もいます。どちらにしても治療効果を上げていくことが今後のTMSの課題となっています。

 TMSの機械は医療機器として場所をとらないため、最近では民間のクリニックでも取り入れているところが増えてきました。健康保険は使えず、自費での治療になりますが、通いで受けることができます。値段は施設によって異なりますが、合計で健康保険を使った入院とほぼ同じくらいに設定されているようです。

 民間のクリニックでは、薬を飲みたくないから、という理由だけでも治療を受けられるところもあるようです。先ほども言ったように、最初から行うことにはまだ十分な実証がされていません。大きな副作用はありませんが、治療が効かないことや、効果があっても数か月で元の状態にもどってしまい、結局薬の治療になったという人もいます。高い治療費が無駄になってしまうこともありますので、まず薬の治療を受けてから検討するのが良いでしょう。

トラックバック

トラックバックURL:

コメント

コメントフォーム

カレンダー

«9月»
   1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30   

ブログ内検索

最近のエントリー