メンタルヘルス

2021.09.21

「死にたい」と打ち明けられた時の対応の仕方

 家族や友人から「死にたい」と打ち明けられたらどうしますか?

 「死にたい」という言葉は簡単に出てくる言葉ではありません。きっとその人はあなたなら相談に乗ってくれると思って打ち明けたのだと思います。こちらも真面目に受け止めてあげなくては、自殺という方法を選んでしまうかも知れません。

 ここでは、もし人から「死にたい」と打ち明けられた時にどうしたら良いのか、心理学や精神医学の研究から生まれた対応の仕方を紹介します。

聞き役に回ること

 「死にたい」と言っても、今すぐに自殺したいという意味とは限りません。漠然と現状から逃げたい、人生をリセットしたい、という意味で言っていることも多いのです。ともかく「死にたい」=「聞いてもらいたい」と言っていると考えて、焦らずに腰をすえて相談を受けてあげましょう。黙って聞いてあげるだけで解決するケースも多いのです。

 話題をそらしたり、話をさえぎったり、否定をしないで、まず聞いてあげましょう。「どうして?」と優しく声をかけて、言葉が出てくるのを促し、「そうなんだ」と理解したサインを出してあげることが大切です。

 しかし、聞いている方は不安です。何のアドバイスもできない、こんなので良いのだろうか?自分のせいで自殺してしまったらどうしよう、と考えるのが普通です。実は心理の専門家であっても同じです。自信をもって対応できる人は世の中に一人もいません。不安であることは当然なのです。

 どんな名言よりも一生懸命に聞いてあげることが相手には通じるのです。カタルシス効果と言って、人は言葉に出すだけで悩みが解消されることがあります。言葉と共に心の苦しみも外へ出ていくのです。自然に問題が整理されることもあります。聞いてもらった人は、寄り添ってもらった温かみを感じるでしょう。

心配していることを伝える

 直接言葉に出して、「心配している」とか「死んでもらいたくない」と伝えましょう。日本人は感情表現が苦手で、このような言葉を照れ臭く感じる人も多いようです。しかし、そんなことを言っている場合ではありません。照れずに遠回しに言うのでなく、伝わることが大切ですから、不器用な言い方でもストレートに言ってもかまいません。

やってはいけないこと

 「死にたい」と言っている人にやってはいけないことがいくつかあります。ついやりがちなのは、「命を粗末にするな」「死ぬなんて軽々しく言うな」「家族が悲しむだろう」と叱りつけてしまうことです。「死ぬ勇気があるならがんばって生きろ」、「私はもっと苦労してきたよ」と自分の価値観を押し付けたり、説教になるのもいけません。もちろん、いま流行りの論破もよくありません。これらはせっかく相談したのに拒絶されたと思われるでしょう。

 近しい関係であるほど、ちょっとした言葉で拒絶されたと感じやすく、お互いが感情的になってしまうことがあります。「死んでやる!」と言われ、つい「死ねるものなら、死んでみろ!」と返してしまったことをよく聞きます。これは最悪のパターンです。「死んでみろ」と言われて、実際に自殺してしまったケースもあるのです。

                

具体的にアドバイスしよう

 すぐに問題解決のためのアドバイスをしてしまうことは良くありません。共感されずに唐突に解決方法だけ言われても、拒絶されたと受け止められることがあります。まずは一通り聞いてあげて、相手の気持ちが落ち着いてから具体的な話をしても遅くはありません。

 アドバイスをする場合は、自分の経験や精神論を語るよりも、具体的な解決方法を教えてあげたり、調べてあげるのが良いでしょう。自分の能力を超えることならば、専門家を探してあげて、そこにつなげてあげることも手です。例えば、病気の悩みなら病院を、経済的な悩みであったら役所の窓口を、法律的な悩みならば法律の専門家を、などです。

自殺の危険なサイン

 次にあげるのは自殺につながりやすい危険なサインです。うつ病などの精神疾患の可能性もあるので、落ち着くまで必ず一人にしないで、早めに精神科の病院に連れて行ってあげましょう。緊急性のある場合は警察を呼び、警察を経由して病院へ連れて行ってもらうことも可能です。

1.冷静でない。例えば、焦っている、落ち着きがない、混乱している、興奮している、など。

2.自殺未遂の前例がある。

3.お酒が入って酔っている。

4.もともと精神疾患をもっている。

TALKの原則

 最後に、カナダの自殺防止団体が自殺の危険性が高い人への対応の仕方をまとめた「TALKの原則」をご紹介します。説明してきたこれまでの内容が覚えやすく簡単にまとめられています。

「T」は「Tell」、「伝える」です。相手のことを心配していること伝えましょう。

「A」は「Ask」、「尋ねる」です。いつもと雰囲気が違う場合、むしろ積極的に自殺を考えているかどうかを尋ねてみましょう。自殺を話題にすることは危険でなく、むしろ予防になることがあります。

「L」は「Listen」、「傾聴する」です。これが最も大切なことです。

「K」は「Keep safe」、「安全を確保する」です。危険と思われたら一人にしないようにしましょう。

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