メンタルヘルス

2021.10.04

産業医による従業員のうつ対策

  2015年12月から従業員50名以上の事業所には年1回以上のストレスチェックが義務化されました。メンタルヘルス対策として産業医の選任も義務化され、大企業では専属の雇用契約、中小企業では嘱託産業医との契約が多くなっています。産業医はメンタルヘルス対策や、うつ症状などのメンタルヘルス不調を訴える従業員にどう関わっているのでしょうか?

      

  

産業医とは

 産業医とは、「事業場において、労働者が健康で快適な作業環境のもとで仕事を行えるよう、専門的な立場から指導・助言を行う医師」と定義しています。※1

(ブログ:産業医とは?普通のお医者さんとの違い

産業医には職場環境を整備し、従業員に生じるメンタルヘルス不調や健康被害を軽減する役割があるのです。従業員のメンタルヘルス対策への意識が社会で高まる中で、産業医は企業ができる対策の柱の一つです。産業医と契約することは義務化されていますが、企業にとっても多くのメリットがあります。

具体的には次のようなものです。

・職場外の人間なので相談がしやすい

・専門職としての立場から指導やアドバイスがもらえる

・従業員からは言いにくいことでも、職場内外と情報共有してくれる

・心身の不調があれば受診の判断をしてもらえる

・休職中~復職のサポートが受けられる

・職場環境改善の検討に医師の視点から参加してもらえる

メンタルヘルス不調は従業員の意欲や生産性の低下へと結びつきやすく、企業にとっては悩ましい問題です。産業医は専門職としての中立的な立場から、従業員へのアドバイスも行えるため、メンタルヘルス対策としてメリットが多いです。

産業医は内科医が多いとされますが、最近ではメンタルヘルス対策の観点から精神科医を望む企業も多くなっています。

(ブログ:嘱託産業医は精神科医が良いのか

産業医と契約する上で、あらかじめ覚えておいて欲しい知識があります。それは、

・診断書の発行ができない

・治療は行えない

というものです。産業医が行うのはストレスチェックで問題のあった従業員や心身の不調を訴える希望者との面談なので、直接治療や診断は行えません。その代わりに職場との連携と、治療する病院への情報共有を行うといった形で従業員をサポートしてくれます。

休職するほどメンタルヘルス不調が現れている場合、復職までには産業医との面談も必須です。治療や診断は行えない分、復帰支援してくれるのが産業医という認識になります。

                    

産業医のメンタルヘルス対策の役割

 前述のとおり、産業医には役割やメリットがあることは紹介しました。そのうえで、産業医が企業で果たすメンタルヘルス対策には大きく分けて次のものを知っておきましょう。

●従業員との面談・相談

●休職者・復職者のサポート

●職場環境改善に向けた検討

従業員との面談・相談

 メンタルヘルス不調を抱えている従業員がいる場合、月1回程度は産業医との面談をしましょう。メンタルヘルス不調は早期に対処するほど回復が早く、面談で話をするだけでもストレス改善が見られます。産業医には個人情報の保護も求められているため、従業員が「職場に知られたくない」と言えば、緊急性の高いケースでない限り情報が知られる心配もありません。

(ブログ:産業医面談って意味ないの?

管理監督者や同僚の方も、メンタルヘルス不調が疑われる従業員を見かけたら産業医への面談・相談を勧めることが大事です。

休職者・復職者のサポート

 産業医の役割には休職中~復職までのサポートも含まれます。休職から復職するにあたっては、産業医が主治医と情報共有して職場復帰が妥当か判断するため、休職中から従業員をサポートすることになります。

メンタルヘルス不調で休職している場合、頻繁な面談は本人にとっても負担となるため、月1回程度の面談を行うことになるでしょう。産業医は復職前に従業員の就労意欲、体力、生活リズムなどの総合的な観点から、復帰して仕事に耐えられるか判断します。面談で得た情報を職場の上司や人事課とも相談することで、復職後の業務調整や部署異動もアドバイスされます。

(ブログ:社員が休職した場合の対応

(ブログ:復職後の手順を解説|再発を予防するために

職場環境改善に向けた検討

 メンタルヘルス不調の従業員の有無にかかわらず、産業医は職場環境改善のための検討会議等に参加します。また労働安全衛生法第13条5項の定めによると、「産業医は、労働者の健康を確保するため必要があると認めるときは、事業者に対し、労働者の健康管理等について必要な勧告をすることができる。この場合において、事業者は、当該勧告を尊重しなければならない。」とされています。※2

産業医には職場環境改善を指導し、企業にはその指導に従う必要があるのです。職場環境改善の観点からも、産業医の役割は非常に大きいと言えます。

           

うつ症状の早期発見をし面談する

 メンタルヘルス不調やうつ病は、身体的な症状として現れやすいものです。本人が自覚していないケースもあるため、管理監督者や同僚は次のような症状があれば産業医との面談を勧めましょう。

・食欲がない

・頭痛やめまいが長時間続く

・強い不安感やイライラが続く

・仕事や私生活での意欲の低下

・気分の落ち込み

・睡眠不足が続く

メンタルヘルス不調は早期発見するほど回復が早く、職場復帰も早くなります。上記の症状に当てはまる従業員がいる場合は、産業医への面談を勧めることと、業務量調整、職場環境改善が必要です。

(ブログ:うつ病を予防しよう

まとめ

 産業医の役割は従業員の面談、休職・復職、職場環境改善までメンタルヘルス対策全般を担っています。しかし産業医は診断・治療に関わることはありません。

そのため産業医の役割を重要視しない方もいますが、産業医は企業と従業員から中立的な立場で職場環境を判断してくれます。メンタルヘルス不調を防ぎ、ストレスの少ない職場を目指すうえでは必須の存在です。産業医の役割を理解し、メンタルヘルス対策に活用しましょう。

1:東京都医師会よりhttps://www.tokyo.med.or.jp/sangyoi/whats

2:労働安全衛生法よりhttps://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=347AC0000000057

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