メンタルヘルス

2022.01.21

職場のアスペルガー障害

 アスペルガー障害は、知性に問題はなく、コミュニケーションがうまくとれない発達障害の一つです。生まれつきのもので、成長の過程で障害が現れてきます。相手の立場にたって物事を考えられないことが、障害の本質と考えられています。

          

 学校生活では障害に気付かれず、社会人になり職場で人間関係が密になることで、始めて障害が表面化することがあります。これを大人のアスペルガー障害と呼んでいます。

 なお、アスペルガー障害は、自閉症スペクトラム障害、略してASDの一つとして扱われるようになりました。病院ではASDと呼ばれることが多くなっています。

  

アスペルガー障害の人口が多い日本

 世界の統計調査によると、日本はアスペルガー障害の人口が多いことが知られています。これはアスペルガー障害の人がたくさん産まれるわけでなく、アスペルガー障害の人が目立ちやすい社会であるからと考えらています。

 日本の学校教育では個性を伸ばすことよりも集団に溶け込むことが求められます。「忖度(そんたく)」という言葉にもあるように、社会に出たら、言葉を介さずに場の空気を読むことが重視されます。

これらはアスペルガー障害の人が最も苦手とすることで、集団で浮いてしまうのです。「忖度」とは、相手の気持ちを推し量らって配慮することを言いますが、英語には同じような言葉はありません。欧米人は、日本人のように言葉を介さずに場の空気を読むことは基本的しません。ところが、日本は忖度ができる人が出世できる社会なので、アスペルガー障害の人が世界一生きにくい国なのです。

              

 アスペルガー障害であっても、職場で「天然な人」と呼ばれて、楽しく元気に仕事ができているならば、問題はありません。しかし、有名大学を卒業して大企業に就職しても、コミュニケーションの問題から職場と歯車がかみ合わず、せっかくの才能を伸ばせない場合もあります。

最悪の場合、「失礼な人」、「使えない人」と言われて、無視やいじめの対象になってしまうこともあります。アスペルガー障害のために職場で生きづらさを感じているならば、まず自分の障害を知り、それに適した職場選びや医療的なサポートを受けるのが良いでしょう。

ここでは、アスペルガー障害の人が職場でどうなってしまうのか、いくつかのサインを紹介します。

職場で気づかれるアスペルガー障害6つのサイン

1.周囲を怒らせてしまう

 職場で一番起きることは、言動が変わっているために人を怒らせてしまうことです。挨拶ができない、敬語ができない、失礼なことを平気で言ってしまう、時間を守れない、同じ失敗を繰り返す、といったことから上司や同僚を怒らせてしまいます。

 例えば、「時間があったらやっておいて」と上司から依頼されて、翌日に「時間がなかったのでやりませんでした。」と平気な顔で答えてしまいます。

 こうした言動は人を馬鹿にしようとか、けんかを売ろうとしているのではありません。自分の言葉を相手が傷つくことが理解できないため、感じたことをそのまま口にしてしまうのです。

           

2.礼儀作法を知らない

 常識的な礼儀作法ができません。例えば、挨拶ができない、礼や謝罪を言うタイミングがおかしい、場に合わない服装をしてくる、などがあります。例えば、上司が出張のおみやげを渡しても、黙って受け取るだけで礼を言いません。「親に何を教わってきたんだ」と怒る上司もいますが、基本的なことは知っていても相手の気持ちを理解できないので、新しい場面では応用ができないのです。

3.感覚が過敏

 ふつうの人以上に音・光・臭いに敏感です。これを感覚過敏と呼びいます。照明や窓からの光を異常に気にすることがあります。人の出入りの多いオフィスでは仕事に集中できません。誰かが物を落として大きな音を立てたら、パニックを起こすこともあります。隣のデスクの女性社員の香水が気になって仕事ができません。

 感覚過敏のために、普段から職場で耳栓、サングラス、マスクをして工夫している人もいます。

             

4.飲み会で浮いてしまう

 飲み会では、空気を読めずに話に加われなかったり、場が白けているのに一人でしゃべっていることもあります。自分でもグループが苦手と分かっているので、飲み会は断ることが多いようです。そのために付き合いの悪い人と思われます。

5.表情に乏しい

 場の雰囲気に応じて、適切な表情をつくれません。表情に乏しいため、いつも無表情に思われます。普通ならば笑顔になる場面でもぶすっとしているので、機嫌が悪いのかと勘違いされます。

6.体調不良を起こしやすい

 体調不良を起こしやすく、仕事を休みがちです。これは責任感がないためでなく、生まれつき自律神経系やホルモン系が崩れやすいのです。緊張や無理が続いた後や、女性は生理の影響を受けやすく、大事な仕事で穴をあけてしまうこともあります。天候の影響も受けやすく、急な寒暖の変化、雨、雪、台風などでも不調になります。

           

アスペルガー障害の人が得意な仕事

 アスペルガー障害の人は、データを扱ったり、緻密(ちみつ)さを求められる作業が得意です。決まったスケジュールにそって規則性があるものにはミスがありません。仕事の種類では、経理、法務、システムエンジニア、研究者、設計者には向いていると言われています。逆に人間関係が多く、内容に変化の多い仕事には向いていません。

最後に

 自分に合った職場がなかなか見つからない場合は、障害者雇用を利用するのも手です。精神科で診断を受けて、障害者手帳をつくると、障害者雇用を申請することができます。

日本はアスペルガー障害の人が生きにくい社会と言いましたが、公的な支援により、働ける場所は年々増えています。十数社を経てから、ようやく自分に合った職場に出会えている人もいます。あきらめなければ、自分の才能を伸ばせる場所が必ず見つけられるはずです。

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