企業の人事労務担当者や従業員にとって重要な「産業医面談」。
「産業医面談って何を話すの?」「義務なの?」「人事はどう対応すべき?」といった疑問を持つ方も多いはずです。
本記事では、産業医面談の目的・対象者・実施内容・メリット・注意点 をわかりやすく解説します。
健康経営や従業員のウェルビーイング推進にも直結するテーマですので、ぜひ参考にしてください。
目次
産業医面談とは?【目的と役割】
産業医面談とは、企業に選任された産業医と従業員が1対1で行う面談です。
目的は次の2つです。
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従業員の健康状態を把握し、指導・助言を行う
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企業に対して、労働環境や働き方の改善について医学的見地から提言する
👉 診察や治療を行うのではなく、「職場で健康に働けるように支援する仕組み」 である点がポイントです。
産業医面談の義務はあるの?
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従業員 → 受ける義務はなし(任意)
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企業 → 実施義務あり(対象者に案内し、希望があれば必ず実施)
つまり「従業員は任意だが、企業には義務がある」という形です。
ただし、従業員が拒否すると健康リスクの早期発見ができなくなるため、「面談は従業員の不利益防止につながる」と説明することが大切です。
産業医面談の対象者と内容
産業医面談は以下の従業員が対象となります。検索されやすい「産業医面談 内容」を意識し、表に整理しました。
対象者 | 主な内容 | 根拠法令 |
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健康診断で異常あり | 健康状態の確認、生活習慣改善、就業可否の判断 | 労安衛則51条の2 |
長時間労働者 | 心身の疲労、業務負担の把握、健康障害予防 | 安衛法66条の8 |
高ストレス者 | ストレス症状の確認、勤務状況、人間関係、セルフケア指導 | 安衛法66条の10 |
メンタル不調者 | 状態確認、原因特定、受診勧奨 | 法的義務なし(任意) |
休職・復職者 | 主治医診断書確認、復職可否の判断、勤務配慮 | 安衛法に基づく措置 |
産業医面談で話すこと【具体例】
検索ボリュームの多い「産業医面談 何を話す」対策で、具体的な内容を整理しました。
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体調や既往歴(睡眠・食事・運動習慣など)
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仕事の状況(勤務時間、残業、負荷の程度)
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職場環境の悩み(人間関係・ハラスメントなど)
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生活習慣改善やストレス対処法
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勤務上の配慮が必要かどうか
産業医面談のメリット
従業員にとって
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不調を早期に相談できる安心感
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メンタル不調や過労の悪化を防止
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主治医や人事との橋渡し役になる
企業にとって
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労災や休職・離職リスクの低減
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健康経営や働き方改革の推進
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職場環境改善につながる提言が得られる
人事担当者が対応で気をつけること
従業員への周知
面談の目的や守秘義務を説明し
「安心して話せる場」と伝える
プライバシー配慮
面談通知は個別・封書で
面談は必ず個室やオンラインで実施
産業医との連携
定期的に情報交換
職場改善につながるよう意見を反映
必要な措置の実行
勤務時間短縮や業務配慮など、産業医の意見を踏まえて対応
よくある質問(FAQ)
Q1. 産業医面談はどれくらいの時間?
→ 通常30分前後。内容によっては1時間程度。
Q2. 上司や人事は同席する?
→ 原則は本人と産業医のみ。本人が同意すれば同席可能。
Q3. 面談結果は人事評価に影響する?
→ 影響しません。就業上必要な範囲でのみ情報共有されます。
まとめ:産業医面談は従業員の健康と企業成長を両立させる仕組み
産業医面談は、従業員の心身の健康を守るだけでなく、企業にとっても 労災予防・離職防止・健康経営推進 につながる重要な制度です。
義務だからやる、ではなく 従業員が安心して相談できる制度設計 を意識することが、結果的に組織全体のウェルビーイングを高めます。