2028年度までに、ストレスチェック制度の義務対象が「全事業場」に拡大されます。いま現在、法律で義務付けられているのは、従業員50人以上の事業場だけですが、厚生労働省は、これをすべての企業に拡大する方針を、決定しました。実施は「努力義務」から始まり、2028年度をめどに、段階的に義務化。対象となるのは、たとえば従業員が5人、10人の個人商店や中小企業もすべて含まれます。
【歴史・背景】
ストレスチェック制度は、2015年に労働安全衛生法の改正によって導入されました。義務化されたのは、従業員が常時50人以上いる事業場でした。
背景にあったのは、過労死や精神疾患による労災請求の急増で、「メンタルヘルス不調を未然に防ぐ仕組みを、企業に持たせる必要がある」——という国の判断によって制度化され、現在まで運用が続いています。

【今回の制度改正の本質】
今回の拡大方針は、単なる「制度の適用拡大」ではありません。問題は、小規模事業場のほとんどが、メンタルヘルス対策を一切行っていないという事実です。実際、ストレスチェックを自発的に導入している50人未満の企業は、全体の2〜3割程度にとどまるとも言われています。労災認定件数の中でも、うつ病など精神障害に関する請求は増加傾向で、国はこのままでは「対策が進まない」と判断し、義務化に踏み切ったわけです。
【制度の流れと時期】
義務化のプロセスは、2025年度から一部のモデル事業場で試行スタート。2026〜2027年度には制度のガイドライン改訂と支援策の整備を行い、最終的に2028年度から、すべての事業場に義務化という流れが想定されています。すでに厚労省の検討会でも方向性は固まっており、**「実質的に決まった未来」**と見て間違いありません。
【企業がやるべきこと】
そろそろストレスチェックの委託先を探すようにしておきましょう。義務化が始まってからでは、間に合わないことがあります。中小企業の経営者が考えるべきは、**「人事労務リスクとしての備え」**です。ストレスチェック未実施のまま、メンタル不調で労災認定が下りた場合、使用者責任が問われるリスクは避けられません。加えて、制度化された後は、報告義務や記録保管義務などが課される可能性もあります。メンタルヘルス対策は「人に優しい企業かどうか」ではなく、経営リスクに直結する法令遵守の話です。
【最後に】
2028年まで、あと3年。「うちは小さい会社だから関係ない」——そう思っていると、間違いなく対応が遅れます。制度の全体像、社内体制、実施の準備、今から少しずつ整えていく必要があります。ストレスチェックでお困りの場合は、ミーデンまでお問合せください。制度ややり方が全く分からない企業様でもゼロから丁寧にサポートし、実施代行をさせて頂きます。
