自殺に関するあまり知らていない9つの真実

 今回は、自殺に関するあまり知られていない9つの事実を紹介します。このような深刻なテーマを見てくださろうとしていることは、あなた自身が、今まさに苦しみの中にいるのかもしれません。もしくは、死にたいと訴えている身近な人のために、何とか力になりたいと考えているのかもしれません。

知識は、命を守る力にもなります。この動画が少しでも支えになることを願っています。

 

それでは、自殺に関する知られていない9つの事実について解説していきます。

 

【自殺に関する9つの事実】 

 

1.晴れた月曜日の朝には注意

自殺者数は、「曜日」や「天気」によって変化することが、いくつもの研究で分かっています。特に注意が必要なのは月曜日の朝です。週の始まりで、仕事や学校、人間関係のストレスが一気に押し寄せてくる時間です。「また始まってしまう」「今週もつらい」という思いから、精神的に追い詰められる人が多く、自殺率も上がると考えられています。

また、晴れた日ほど自殺率が上がるというデータもあります。これは、周りが明るく幸せそうに見えるために、自分だけが取り残されている孤立感が強くなることが原因と考えられています。ですから、晴れた月曜日の朝は要注意です。

2.人生がうまく行っているように見える人でも自殺をする

有名人の自殺のことがニュースで流れると、「成功していたのに、なぜ?」「ついこの間もテレビで見たのに、どうして?」といった声が聞こえてきます。成功して、お金にも困っていないから自殺をしない、という簡単なものではありません。成功している人ほど、「弱音を吐いてはいけない」「みんなに心配をかけてはいけない」と、本音を誰にも言えず、孤独を抱えていることが多いのです。誰の期待も裏切りたくないという思いが、自分自身を追い込んでしまうことがあります。

人は、「誰にも理解してもらえない」と絶望を感じた時に、自分で命を絶ってしまうのです。

 

 

3.自殺は、衝動的に起こる

自殺した人の70%に遺書がありません。つまり、自殺は計画的に行われるのでなく、死ぬか生きるかと長く悩んでいる時に、何かの拍子に衝動的に実行に移してしまうのです。引き金になるのは、人の言葉に傷ついた時やアルコールで理性を失っている時が多いと言われています。

ある研究では、自殺を試みた人のうち、「20分以内に決断し、行動した」という人が約半数だったという報告もあります。つまり、その「20分」をどう過ごすかで、生死が分かれてしまうのです。苦しみの波は、ピークが急に来て、20分程度で去っていきます。この20分間をどのように耐え抜けるかが大切なのです。

4.自殺未遂をした人の80%が、また試みる

自殺未遂をした人の約80%が、その後も再び試みているというデータがあります。未遂とは「まだ危機が続いている」というサインです。問題の根本が解決されないまま放置されれば、同じような状況がまた訪れてしまいます。だからこそ、未遂の段階での支援・ケア・声かけが、命を救う大きな分かれ道になるのです。

5. 有名人の自殺後に増えやすい

有名人が命を絶ったニュースが報道された後、実際にその影響を受けてしまう人がいます。これは「ウェルテル効果」と呼ばれる現象です。特に10代〜30代では、有名人の死を自分と重ねてしまうことで、衝動が強くなる傾向があります。

6.自殺者の約半数は、誰にも相談していなかった

「どうして話してくれなかったんだろう」と後悔する家族や友人は多いですが、実際に自殺者の約半数は誰にも相談していなかったという統計結果があります。誰も頼れなかったのかもしれないし、頼ったら迷惑をかけると思っていたのかもしれません。だからこそ、いつでも気軽に話を聞いてくれる人の存在が命を守ってくれるのです。

 

7.自殺による死者数は、交通事故の6倍以上

日本では、毎年2万人以上が自殺によって命を落としています。これは、交通事故による死亡者の6倍以上という数字です。にもかかわらず、自殺予防に使われている予算やリソースは、交通事故対策と比べると圧倒的に少ないと言われています。

ニュースにもならず、誰にも知られず、何もなかったことのように消えていく人の命がたくさんあるのです。「静かに命が失われている」とも言えるでしょう。この社会の危機を、私たちは見過ごしてはいけないのです。

 

 

8.自殺の背景に心の病気がある

 WHOの発表では、自殺した人の90%に精神疾患があったと言います。最も多いのはうつ病とアルコール依存症でした。うつ病は自分の生きている価値が分からなくなり、自ら命を絶とうと考えてしまう病気です。うつ病だけでなく、統合失調症や双極性障害も自殺と関連が大きい病気です。

あなたが死にたい気持ちを感じるのは、何か心の病気があるのかも知れません。早めに精神科を受診したり、心理カウンセリングを受けたりしてみましょう。治療で苦しみから解放される可能性があります。

9.うつ病の回復期が一番危ない時期

うつ病は生きるエネルギーが枯れてしまう病気ですが、治療を受けて回復に向かう段階で、行動するエネルギーだけが先に戻ってきて、自分を否定する気持ちはまだ回復していないというギャップが起こることがあります。つまり、「死にたい」という気持ちはそのままで、行動できるようになってしまった結果、実行してしまうこともあるのです。

ですから、治療を受けて回復して来たからと言ってもすぐに安心はできません。回復期は、家族や周囲の人も特に気を配ってほしい時期です。

 

最後に

 

ある調査によると、日本人の5人に1人が「死にたいと思ったことがある」と答えています。自分で命を絶とうと考えることは決して特別なことではないのです。不思議なことに、こうした人たちが現在も生きていられるのは、「たまたま誰かが声をかけてくれた」、「一晩寝たら気持ちが少し変わった」、「通りすがりの音楽で、涙が止まらなかった」など、ほんの小さなきっかけで、生きる方を選ぶことができたということです。

苦しい状況が続いていても、何かのきっかけで好転することもあります。もしかすると苦しいのは心の病気にかかっていることが原因かも知れません。いますぐに命を絶つことは先延ばしにして、とりあえず誰かに相談してみてはどうでしょうか?