事業場労働者数が50名以上になると、必要になるのが嘱託産業医の選任です。この嘱託産業医は1,2ヶ月に1回会社を訪問し、産業医業務(職場巡視、衛生委員会等)を行うことになります。
労働者の数が50名に達した日から14日以内に「〇〇という医師を嘱託産業医として選任した」といった書類を労働基準監督署に届け出る必要があります。そのため、50名が見えてきた段階で探し始めないと間に合いません。
この50名というのは正社員だけではなく、アルバイト、契約社員、などの非正規職員も含んだ数になります。「正社員の数」と思っていると指導を受ける可能性があるので、気を付けましょう。

また、コロナウイルスの影響により、テレワークを導入する会社が増えました。通常の勤務形態がテレワークになり、オフィス内に常時50名も労働者がいないことが多くなってしまった会社もあります。
しかし、事業場登録をしている労働者が50名を超えている場合、実際にオフィスに出社している労働者が50名もいないような形になっていたとしても、嘱託産業医の選任は必要となりますので、間違えないようにしてください。
実際に産業医を探そうとすると、
会社によっては医師との接点がなく、「どう探していいのかわからない」「周囲に知り合いの医師がいない」、という声を聞きます。
そこで今回は、産業医の探し方について解説していきます。
目次
【産業医の探し方6選】
地元の医師会から探す
産業医を管轄しているのは日本医師会です。そのため、とりあえずは医師会から探すのを検討してみると良いかも知れません。産業医の紹介は無料であり、産業医を交代したい場合でも、無料で紹介してくれます。
ただし、デメリットとしては、
産業医との契約は直接契約となり、契約手続きが煩雑であったりすることがあります。契約が産業医との直接契約であると、やり取りに時間がかかってしまったり、うまく連携が取れないことが多くあります。
また、企業対応に慣れていない医師も多いため、仲介会社を挟んで産業医活動を行う医師も多くなってきています。
産業医紹介会社
希望の産業医を紹介してくれ、紹介時に金額を紹介会社に支払うシステムです。何科が良いか、どのような経歴が良いかなど要望にも応えてくれます。紹介後の産業医との契約は直接契約になります。嘱託産業医の紹介の目安は10~30万円ほどです。また、幅広い医師が登録していることもあるので、1000人以上の労働者を抱える会社で専属産業医を探している場合はおススメです。専属産業医の紹介の場合は、医師の年収の20~30%分の金額を紹介会社に払うことになります。
こちらもデメリットとしては、産業医と直接契約となるため、会社対応が慣れていない医師の場合、うまく連携が取りづらくなることがあります。また、産業医を交代したいときには、都度紹介料を支払う必要があります
産業医仲介会社
産業医との契約は直接契約ではなく、仲介会社が間に入り、その仲介会社と契約します。仲介会社の担当者が仲介として入るため、産業医とのやり取りがスムーズであり、対応もしっかりしています。産業医を交代したいときでも、仲介会社側から産業医の方にその旨を伝えてくれることや、その後に代わりの産業医をすぐに探してくれるので安心です。(ミーデン株式会社もこの形態です)
ただし、随時仲介手数料が取られるため、産業医との直接契約よりも料金が高くなる傾向があります。
健診機関を通して紹介してもらう
健康診断と産業医の選任を合わせてできるのがメリットです。契約は医師との直接契約ですが、医療機関と契約しているような感覚のためサポート体制もしっかりしています。また、産業医との繋がりが強くなるため、金額面などで多少サービスしてくれるところもあります。
デメリットとしては、健診とセットで依頼をしないと対応してくれない所が多い印象です。嘱託産業医契約のみだけは対応していないところもあるので、確認してみてください。
ウェブサイトで地元の開業医から探す
産業医によっては割安な場合もあります。会社から近い場所の産業医を探せば、すぐに対応してくれるなどメリットもあります。ホームページを見れば、どのような医師かということもわかるため、自分の会社に合う産業医を見つけやすい傾向にあります。
デメリットとしては、クリニックのHPには、お問合せホームにメールでの受付を行っていないところが多く、電話でのお問合せになってしまうケースが多くなります。また、基本的に通常業務が忙しいので、HPには産業医の選任を受け付けていると記載があっても、時期によっては対応ができないクリニックもあります。
また、産業医を交代したいときに再度ウェブサイトから探し、電話をしていかなくてはならないので、手間がかかるのもデメリットと言えるでしょう。
労働衛生コンサルタント事務所
労働安全衛生法に基づく労働衛生コンサルタント試験に合格し、厚生労働省の名簿に登録を受けた労働衛生の専門家たちが運営する事務所です。労働衛生に関するスペシャリスト達の集団のため、職場改善指導や労働衛生に関する幅広い指導をしてくれます。
デメリットとしては、事務所にもよりますが、今回ご紹介した中で、一番金額が高い印象です。
最後に
いかがでしたでしょうか。
産業医は労働者との面談だけでなく、労働環境改善のために具体的かつ総合的なアプローチができる必要があります。そのため、会社側とのコミュニケーションがしっかりと取れることが求められます。
人との出会いと同じで、産業医との相性もあります。もしかしたら最初から自社に合う産業医と出会えない可能性もあるでしょう。
そんなときは、様々なアプローチで自社に合う産業医を見つけてみてください。
