仕事をして、家事をやって、表面的には問題のない生活を送っていますが、いつも暗い気持で過ごしている人がいます。時には、消えていなくなりたいと浮かんでくることもあります。体は動くし、食欲もあり、睡眠もとれているので、ネットのうつ病スクリーニングを試しても完全には当てはまりません。そもそも日常生活に大きな支障が出ているわけではないので、自分でも病気の自覚は持てないでいます。しかし、いつ社会から転げ落ちてしまってもおかしくないような、まるで綱渡りをしているような生き方です。これはどのように考えたら良いのでしょうか?
実はこれも「抑うつ症」とか、「気分変調症」と呼ばれるうつ病の一つです。典型的なうつ病よりは症状が軽いために、病気と気づかれにくいのが特徴です。憂うつ以上、うつ病未満という感じです。最近では、「微笑みうつ病」とか「半うつ」と呼ばれることもあります。
病気と気づけずに放置されていることが多いのですが、れっきとした精神疾患の一つです。そして、放置していくと深刻なうつ病に進行するケースもあります。
今回は、うつ病とまでは言えないけれども、憂うつを感じる病気である「抑うつ症」について説明しましょう。
目次
【抑うつ症の8つのサイン】
1 笑えるけれども心は泣いている
毎日職場や学校に行けて、課題をこなしていますが、心は動きません。そもそも朝起きた時点から何の希望も持てずに憂うつです。気持ちよく家を出ることができず、余計なことは考えないようにして、仕方なく職場や学校に向かいます。
職場や学校では人と交流できますが、早く家に帰りたいと考えています。話に合わせて笑うこともできますが、本音は楽しくありません。まさに、「顔で笑って、心で泣いて」という状態です。
2 状況に応じて落ち込みが酷くなる
趣味は楽しむことはでき、落ち込みを感じないで過ごせる日もあります。ところが、いつもと違う面倒な予定やトラブルがあると、「もうダメだ」と気分の落ち込みが酷くなります。「仕事でミスをした」、「気を遣う人と会う」など、状況に反応して落ち込みが変化します。
3 ネガティブな性格と区別がつかない
うつが長く続いていると、それが性格のように感じられるようになります。うつが心のデフォルト・初期状態になってしまうのです。ネガティブなことを考えたり、言ったりすることが当たり前になり、「どうせダメだろう」が口癖となります。
新しいことにチャレンジできず、生活を改善させようとか、良くしていこうという気持ちになれません。周りから「プラス思考になろう」とアドバイスを受けますが、そもそもそれができなくて困っているのです。「努力する」、「がんばる」という言葉にアレルギーを感じます。
4 慢性疲労
働けるし、学校にも行けますが、朝から体が重く感じます。いくら寝ても疲れがとれません。何かの病気かと思って内科で診てもらいますが異常は見つからず、「疲労の蓄積でしょう」と言われて終わることが多いようです。
5 大切なことほど先延ばし
楽しいことはやれますが、大切な仕事や勉強ほど困難を感じます。特に重要なことほど、やる前から「めんどくさい」と気が重く、後回しになってしまいます。机の上に大切な書類が積まれていて、それを見るたびに落ち込む人もいるでしょう。
6 人と会いたくない
基本的に人と会いたくありません。会ってしまえば何でもないのですが、会うまでに不安や緊張を感じてしまい疲れます。気を遣う人とあった後は、数日疲れが取れません。
7 イライラする
ちょっとしたことでイライラするのも特徴です。イライラが抑えられず、つい人に当たってしまうこともあります。「ラインの返信内容に腹をたてる」、「部下の失敗に激怒してしまう」、「店員の対応が悪いのでクレームを言う」などが起こるでしょう。
いまはコンプライアンスの時代ですから、感情的に文句を言うことはパワハラ、カスハラと言われてしまい、トラブルに発展することもあります。
8 休日は家でゴロゴロしている
仕事から解放される休日の前は元気になります。かといって、休日に特別なことをするわけではありません。基本的に家でゴロゴロして過ごします。最低限の家のことはやりますが、昔に比べて活動量が減った感じです。休日の夕方から夜にかけて、「明日から仕事が始まる」と考えるようになり、気分の落ち込みが酷くなります。
最後に
現代のうつ病は、症状が軽く、それでいてダラダラと長く続く傾向があります。うつ病とは完全に診断できないような、抑うつ症が増えているのです。
抑うつ症の人に、「いつから調子が悪いのか?」と尋ねても、思い出せないことがあります。あまりに昔のことなので、いつ始まったか覚えていないことが多いのです。中には子供の頃からそうだったと言う人もいます。病気であることに気づけないまま、アルコールやたばこなどの嗜好品に頼りながら生きて来た人もたくさんいます。
抑うつ症もうつ病と同じように薬の治療に効果があります。「このままでも大丈夫」と思わず、精神科で薬の治療を受けてみることをお勧めします。長く薬を飲む必要性はありますが、綱渡りのような生き方でなく、毎日を気持ちよく生活できるようになる可能性があります。
また、ストレスを言葉に出して専門家に伝えるだけでも症状が軽くなることがあります。薬の治療に抵抗がある場合は、心理カウンセリングを利用してみてはいかがでしょうか。