誰でもわかる発達障害 【大人の発達障害を詳しく解説】

 最近、発達障害という言葉が認知されるようになりました。発達障害は小学生までに診断されますが、その傾向がありながらも何らかの理由で大人になってまで診断されなかった人を大人の発達障害と言います。昔は発達障害というと、子供関連の障害としてメディアで紹介されることが多かったのですが、昨今のYoutubeなどのメディアの発達により、大人の発達障害という概念が知れ渡るようになりました。

本日は、発達障害の基本的な説明と、その中でも、自閉スペクトラム症・ASD、注意欠如多動症・ADHDに焦点を当て、皆様と共に理解を深めていきたいと思います。

 

最近では、障害という言葉が差別につながるということから、正式には、「神経発達症」と呼ばれています。この記事では、混乱がないように、これまで通りの発達障害という言葉を使っています。

 

 

 記事を通して、発達障害に関する基本的な知識を得て、誤解や偏見を減らし、互いを理解し支え合える社会への一歩を踏み出すきっかけとなったらと思います。今回は、1.発達障害の基本、2.主な発達障害の種類、3.発達支援について、の3項目でお伝えしていきます。

 

【大人の発達障害について5つのこと】

 

1.発達障害の基本

 脳は、コンピューターと同じような構造をしています。脳を構成する神経の束が、コンピューターの回路のようにネットワークをつくっていて、そこに電気が流れることから、物事を認識し、考えることができます。ところが、この神経の回路ができあがる過程で、何らかの偏(かたよ)りができるのが発達障害です。そのために、物事を認識したり、考える能力に凸凹(デコボコ)がでます。能力のバランスが悪い状態になってしまうのです。

 子供は脳の発達に従い、目を合わせる、歩く、言葉を話す、集団行動がとれる、ジッと座っていられる、といったことができるようになります。これらが他の子供よりも遅れてしまうことから、発達障害があることが分かります。

 発達障害の原因は分かっていません。「育て方や関わり方でなるのではないか?」と聞いた方もいるかもしれませんが、これは明確に否定されています。母親の出産前のアルコール依存症は1つの原因です。また、遺伝があるとも考えられていますが、発達障害の人の子供が必ず発達障害になるわけではありません。

 

2. 発達障害の種類について

発達障害には現れる症状によって種類があります。先ほど紹介したASDADHDだけでなく、「知的能力障害」、「学習障害」、「チック」などがあります。

また、「自閉症」、「アスペルガー症候群」、「広汎性(こうはんせい)発達障害」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、これらは共通の障害ということで、ASDの名前で1つにまとめられました。

今回は、発達障害の中でも最も多く見られる、ASDとADHDについてお話ししましょう。

 

  • 3. ASD・自閉スペクトラム症

ASDには、2つの特徴的な症状があります。1つが「コミュニケーションの障害」、もう1つが「物事へのこだわりがつよい」です。

1つめの「コミュニケーションの障害」では、場の空気や相手の気持ちを読み取れず、友達をつくったり、集団行動をすることができません。目を合わせられないというのも特徴です。表情に乏しく、感情表現ができず、相手に気持ちを伝えることも苦手です。

2つめの「物事へのこだわりがつよい」とは、特定の趣味にのめり込んだり、興味が偏っていることです。食べ物へのこだわりもあり、例えば「ラーメンしか食べない」といったように偏食です。

この2つ以外にも、日常の決まりごとが変わることに対処できなかったり、聴覚、触覚、視覚などの感覚が過敏であるという症状もみられます。

先ほども説明しましたが、ASDとは、自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害の特性を持つ人たちの集合体です。自閉スペクトラム症のスペクトラムとは、白か黒か、障害があるのか無いのかという考えではなく、程度の差があるということです。スペクトラムの1番端(はじ)には健常者も含まれています。そのため、発達障害があるという言い方ではなく、発達障害の傾向が強い、弱いという言い方が正しいかもしれません。

ASDは、大人になってから見つかる人が多いのも特徴です。学校生活では、「天然さん」、「変わった人」と言われる程度でしたが、会社に勤めるようになって症状に気づかれることもあります。

 

  • 4. ADHD・注意欠如多動症

 次に、ADHDについてです。大きく3つの特徴があります。1つめは、「集中ができない」、2つめは、「衝動的である」、3つめは、「過剰に活動的」です。

1つめの「集中ができない」では、勉強や仕事でケアレスミスが多く、生活面で、片付けができなかったり、遅刻、忘れ物、無くし物が多いでしょう。興味のもてないものには、特に集中できないため、勉強や仕事にムラがあります。

2つめの「衝動的である」では、その場の思いつきで行動してしまい、計画的なことができません。物事を最後までやり遂げるのが苦手です。

3つめの「過剰に活動的」では、待てない、じっとしていられない、列に並べない、ということが起こります。いつもしゃべっていて、静かにしていられない人もいます。

しかし、ADHDは、エネルギッシュで創造的な思考を持つ人も多く、適切なサポートがあれば、その能力を生かすことができます。芸能界や起業家で大成功している人も多いのです。

 

 なお、発達障害は重なっていることも多いです。調査によれば、ASDADHDの症状がいっしょにある人が半数くらいいます。どちらかの症状がつよい方で診断名がつけられます。

 

  • 5. 発達支援について

残念ながら、発達障害は生まれつきのもので、治ることはありません。しかし、発達障害があることに気づいた時から、発達支援を受ければ、潜在能力を引きだし、自立した生活を送るための基礎をつくることができます。何よりも、社会の歯車と合わないことから起きる二次障害を防ぐことができます。二次障害とは、うつ病などの精神疾患、引きこもり、暴力などです。

発達支援は療育とも呼ばれ、発達の遅れを補えるような能力を身につけられるように、専門家が支援します。例えば、ASDの人が相手の気持ちを読み取れない大きな原因の1つに、相手の目を見られないことにあります。SSTという訓練では、いろいろな対人関係の場面ごとに、具体的に何に注意を向けることが大切なのかを教わります。また、耳から自然に言葉を覚えることが苦手なので、言語療法を通して話し方を学びます。このような発達支援で、脳の別の部分を最大限生かすことを学び、できないことを補うのです。視力が0.1の人でも、メガネをかければ困ること無く生活でき、聴力が低い人も補聴器を使えばある程度生活できる場合もあり、これと同じことと考えてください。

発達支援には、たくさんの種類があり、ここでは詳しくお話できませんが、年齢や発達段階に応じて適切なものが選ばれます。子供だけでなく、大人に対しても活用することが可能です。詳しくは、最寄りの保健所にお尋ねください。

また、ADHDには、落ち着きのなさや衝動を抑えるような薬の治療もあります。この場合は、精神科にお尋ねください。

 

最後に

 

私達一人ひとりが障害の理解を進め、様々な特性を持つ人が過ごしやすい環境を作っていくこと、障害への偏見の気持ちを持たないことが大切です。障害でも平等に対応すれば良いということではありません。それぞれ苦手な部分があるので、そういった部分に配慮できる、やさしい社会を作っていけると、誰もが過ごしやすい社会になるのではないでしょうか。