リワークプログラムと会社の復職プログラムの違いとは?種類・費用・産業医との連携をわかりやすく解説

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メンタルヘルス不調による休職者の職場復帰支援を検討する中で、「リワークプログラム」という言葉に行き当たった人事担当者の方は多いのではないでしょうか。似た言葉に「会社の復職プログラム」もあり、この2つを同じものだと捉えてしまうケースが少なくありません。

しかし、リワークプログラムと会社の復職プログラムは、運営主体も費用負担の仕組みもまったく異なります。この違いを正しく理解していないと、休職中の従業員から「リワークの費用は会社が負担してくれるのですか」と聞かれた際に、誤った案内をしてしまう可能性があります。また、リワークプログラムを利用させれば復職支援は十分だと誤解してしまい、社内の受け入れ体制の整備が後回しになってしまうケースも見受けられます。

本記事では、リワークプログラムの3つの種類と、会社の復職プログラムとの違い、それぞれを利用する際の流れ、そして産業医EAP機関との連携のあり方について、人事担当者の方に向けて解説します。

 

リワークプログラムとは

リワークプログラムとは、うつ病や適応障害などのメンタルヘルス不調により休職している人が、職場復帰に向けて心身の機能を回復させることを目的に受けるリハビリテーションプログラムの総称です。生活リズムの立て直しやストレス対処法の習得、グループワークなどのプログラムを通じて、就労に必要な体力・集中力・対人関係のスキルを段階的に取り戻していきます。

決まった時間に施設へ通い、他の利用者とともにプログラムへ参加することで、通勤や集団生活に近い環境に心身を慣らしていく点が特徴です。実施主体によって、リワークプログラムは大きく次の3種類に分けられます。

  1. 医療リワーク:精神科クリニックや病院が提供するプログラム
  2. 職リハリワーク:地域障害者職業センターが提供するプログラム
  3. 職場リワーク:企業が自社内で行うプログラム

このうち、外部の専門機関が提供する「医療リワーク」と「職リハリワーク」について、次の章から詳しく見ていきます。

 

医療リワークの特徴と費用負担

医療リワークは、精神科クリニックや病院の精神科デイケアなどが提供するプログラムです。医師や看護師、作業療法士、精神保健福祉士といった医療専門職が関わりながら運営され、期間はプログラムによって幅がありますが、数ヶ月程度にわたり週数回のペースで通所するケースが一般的です。プログラムの内容は施設によって異なりますが、認知行動療法をベースにしたグループワークや、軽作業を通じた集中力の回復訓練、再発予防のための心理教育などが組み合わされることが多く見られます。

人事担当者の方に特に押さえておいていただきたいのは、医療リワークが医療サービスとして提供されており、原則として本人の自己負担で利用するものだという点です。健康保険が適用されるため自己負担割合は原則3割となりますが、通所の頻度や期間によっては、本人にとって一定の経済的な負担となる場合があります。

なお、自立支援医療制度(精神通院医療)を利用することで、自己負担割合が1割程度まで軽減されるケースもあります。ただし、いずれの場合も費用負担の主体は本人であり、会社が費用そのものを負担する仕組みではありません。従業員が医療リワークの利用を希望した場合、会社としてできることは、通院・通所のための休職期間の調整や、復職後の勤務シフトへの配慮といった側面的なサポートが中心になります。

医療リワークのメリットは、医療専門職による手厚いサポートを受けながら、病状の回復状況を医学的にモニタリングできる点です。一方で、費用が自己負担であること、施設によっては予約待ちが発生することがデメリットとして挙げられます。

 

 

 

 

 

 

職リハリワークの特徴と費用負担

もうひとつのリワークプログラムが、地域障害者職業センターが実施する「職リハリワーク」です。地域障害者職業センターは、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が運営する公的機関で、各都道府県に1か所以上設置されています。

医療リワークとの最も大きな違いは、職リハリワークが治療を目的としていないという点です。職リハリワークは、休職している従業員本人・雇用主である会社・主治医の3者が話し合い、合意のうえで進められます。センターの職業カウンセラーが間に入り、職場復帰と職場適応に向けて本人と会社の双方を支援するという位置づけであり、あくまで「病状の回復」ではなく「職場への適応」に重点を置いたプログラムです。

費用については、職リハリワークは公的な制度のもとで運営されているため無料で利用できます。ただし、公務員の方は対象外となっている点には注意が必要です。期間はセンターによって幅がありますが、数ヶ月程度にわたって実施されるのが一般的です。プログラムの内容としては、生活リズムの記録やオフィスワークを模した作業課題、コミュニケーション訓練などが用意されており、実際の職場を意識した実践的なメニューが組まれています。

また、職リハリワークは雇用主である会社側もプログラムに関与する形になるため、自社の状況や求める業務内容を踏まえたうえで、復職に向けた具体的な調整を進められるという特徴もあります。費用面での負担を抑えたい従業員には、医療リワークとあわせて職リハリワークという選択肢も案内できるとよいでしょう。職リハリワークのメリットは、無料で利用できることと、会社が直接プログラムに関与できることです。一方で、対象が限られる(公務員は利用不可)ことや、センターの数が限られているため通所の負担が生じる場合があることがデメリットとして挙げられます。

 

医療リワークと職リハリワークの比較

ここまでの内容を整理すると、次のようになります。

項目

医療リワーク

職リハリワーク

実施主体

精神科クリニック・病院

地域障害者職業センター

目的

病状の回復(医療)

職場適応(就労支援)

費用

原則自己負担(健康保険3割、自立支援医療で1割程度に軽減可)

無料(公務員は対象外)

会社の関与

基本的に本人と医療機関の間で完結

本人・会社・主治医の3者で合意のうえ実施

期間の目安

数ヶ月程度

数ヶ月程度

 

どちらも「外部機関が提供するリワークプログラム」である点は共通していますが、目的・費用・会社の関与度合いが異なります。従業員の状態や希望に応じて、どちらか一方、あるいは両方を組み合わせて利用するケースもあります。

 

職場リワークの特徴

3つ目のリワークプログラムが、企業が自社内で実施する「職場リワーク」です。職場リワークは、休職中の従業員が実際の職場やそれに近い環境で、軽易な業務から段階的に業務量・業務負荷を増やしながら復職の準備を進めるプログラムです。医療リワークや職リハリワークのように外部の専門機関に通所するのではなく、自社の事業場を利用して行う点が大きな違いです。

職場リワークは、会社が主体となって内容を設計するため、実際の業務内容や職場の人間関係に近い形で慣らしていける点がメリットです。一方で、産業医や保健師などの専門的な知見なしに実施すると、負荷の設定を誤り、かえって症状の再燃を招いてしまうリスクもあります。そのため、職場リワークを導入する場合は、産業医やEAP機関の助言を受けながら、業務量の段階的な引き上げ方や、体調不良時の対応フローをあらかじめ定めておくことが重要です。

なお、職場リワークは「休職中に会社の業務を行わせる」という性質上、労働時間や賃金の取り扱いについて労務上の整理が必要になります。試し出勤制度と組み合わせて実施する企業も多く、実施にあたっては就業規則や休職者向けの規程に、対象者・実施期間・処遇(賃金の有無など)を明確に定めておくことをおすすめします。

 

リワークプログラムを利用する際の一般的な流れ

リワークプログラムの利用は、おおむね次のような流れで進みます。

  1. 主治医への相談:休職中の従業員が主治医に相談し、リワークプログラムの利用が適しているか判断してもらいます。
  2. 施設の見学・面談:医療リワークであれば医療機関、職リハリワークであれば地域障害者職業センターに問い合わせ、見学や利用前の面談を行います。
  3. 通所開始:週数回のペースで通所を開始し、プログラムに沿って心身の回復・職場適応を進めます。
  4. 経過共有:会社は、本人の同意のもとで主治医や産業医から通所状況の報告を受け、復職に向けた準備状況を把握します。
  5. 復職判定・会社独自の試し出勤へ:リワークプログラムでの回復・適応状況を踏まえ、産業医面談や会社独自の試し出勤制度を経て、最終的な復職可否を判断します。

このように、リワークプログラムは復職までの一連のプロセスの一部であり、リワークプログラムの修了がそのままゴールになるわけではない点を、従業員にも会社としても理解しておく必要があります。

 

会社の復職プログラムとの違い

これに対して「会社の復職プログラム」は、従業員を雇用する企業が、自社の実情に応じて独自に設計・運用する社内制度です。復職の可否判断の基準、通勤訓練や試し出勤制度の実施方法、復職後のフォローアップ体制など、休職から復職後の定着までを一貫して支える仕組みであり、その内容や運用は各企業が自ら決めるものです。

つまり、リワークプログラムは外部機関が提供するリハビリテーションであるのに対し、会社の復職プログラムは企業が主体となって設計・運用する社内制度である、という違いがあります。両者は運営主体も費用負担の仕組みも異なるため、混同しないよう注意が必要です。

実際の運用では、この2つを組み合わせるケースが多く見られます。たとえば、医療リワークで病状を回復させ、職リハリワークで職場適応力を整えたうえで、会社独自の通勤訓練や試し出勤制度に進む、という流れです。リワークプログラムで培った心身の準備状態を土台としながら、会社の復職プログラムで実際の職場環境に合わせた調整を行っていくイメージを持つと理解しやすいでしょう。

なお、従業員に費用負担の誤解を与えないためにも、休職に入る初期の段階で「リワークプログラムは自己負担が原則であること」「職リハリワークという無料の選択肢もあること」「会社独自の復職プログラムは別に用意していること」の3点を、就業規則や休職者向けの案内資料に明記しておくことをおすすめします。

 

 

会社の復職プログラムは企業ごとに内容が異なる

会社の復職プログラムは、どの企業も同じ内容というわけではなく、企業ごとに内容が大きく異なるという特徴があります。業種や事業場の規模、産業医の関与度合いによって、復職判定の基準や試し出勤の運用方法はさまざまです。

多くの企業では、産業医やEAP(従業員支援プログラム)機関と連携しながら、自社に合った復職プログラムを構築しています。産業医は医学的な見地から復職可否や業務調整について助言を行い、EAP機関はカウンセリングやメンタルヘルス教育、休職者へのフォロー面談などの実務面を担うことが多く、両者の専門性を組み合わせることで、より実効性の高い復職プログラムを整備できます。

自社に産業医が常駐していない中小企業では、外部のEAP機関や産業保健サービスに制度設計そのものを相談しながら整備を進めるケースも増えています。医療リワーク・職リハリワークという外部のリワークプログラムと、会社独自の復職プログラムという社内制度をうまく組み合わせることで、従業員にとってもより安心できる復職支援の仕組みをつくることができます。

 

産業医・EAP機関を選ぶ際のポイント

復職支援体制を整えるうえで、産業医やEAP機関の選定は重要なポイントになります。選定の際は、以下の点を確認するとよいでしょう。

  • ・メンタルヘルス不調による休職者対応の実績が豊富か
  • ・復職判定の基準や試し出勤制度の設計を一緒に検討してもらえるか
  • ・リワークプログラム(医療リワーク・職リハリワーク)の情報提供や連携に慣れているか
  • ・定期的な面談やフォローアップ体制を継続して提供できるか

これらを踏まえて連携先を選ぶことで、リワークプログラムから会社の復職プログラムへの橋渡しがスムーズになり、休職者の職場復帰後の定着率向上にもつながります。

人事担当者が復職支援体制を整える際に準備しておきたいこと

リワークプログラムと会社の復職プログラムを組み合わせて円滑に運用するためには、あらかじめ社内で次のような準備をしておくと安心です。

  • 休職・復職に関する規程の整備:休職期間の上限、復職判定の基準、試し出勤制度の有無や実施方法を就業規則・休職者向け規程に明記しておきます。
  • 費用負担に関する説明資料の用意:医療リワークは自己負担が原則であること、職リハリワークは無料であることなど、費用負担の考え方を休職者向けの案内資料にまとめておきます。
  • 産業医・EAP機関との連携フローの確立:休職開始時、リワークプログラム利用中、復職判定時のそれぞれの段階で、誰がどのタイミングで産業医やEAP機関に相談するかを明確にしておきます。
  • 本人の同意取得のルール化:主治医やリワーク施設からの情報を会社が把握する際は、必ず本人の同意を得たうえで行う運用を徹底します。

これらをあらかじめ整備しておくことで、休職者ごとに対応が場当たり的になることを防ぎ、担当者が変わっても一貫した復職支援を提供できる体制を築くことができます。

 

よくある質問

Q. 従業員からリワークの費用を助成してほしいと言われたら、どう対応すればよいですか。

まず、医療リワークは医療サービスであり、費用負担の制度としては自立支援医療制度などの公的な軽減措置が存在することを説明したうえで、会社としては休職期間の調整や勤務シフトへの配慮という形でサポートする方針を伝えるのがよいでしょう。独自に費用補助を行うかどうかは、各社の福利厚生制度として別途検討する事項になります。なお、職リハリワークは無料で利用できるため、費用面での不安がある従業員には、こちらの選択肢もあわせて案内するとよいでしょう。

Q. リワークプログラムに通えば、必ず復職できますか。

リワークプログラムはあくまで心身の回復や職場適応を支援するものであり、修了そのものが復職を保証するものではありません。最終的な復職の可否は、産業医の面談や、会社独自の試し出勤の結果なども踏まえて総合的に判断されます。

Q. 職リハリワークは誰でも利用できますか。

地域障害者職業センターが実施する職リハリワークは、公務員の方は対象外となっています。また、本人・会社・主治医の3者による合意が前提となるため、利用を希望する場合は主治医や産業医に相談したうえで進めることになります。

Q. リワークプログラムの利用を従業員に強制することはできますか。

リワークプログラムの利用はあくまで従業員本人の意思に基づくものであり、会社が一方的に利用を強制することはできません。ただし、産業医面談などを通じて、復職に向けた選択肢のひとつとして丁寧に情報提供し、本人の納得のうえで利用を検討してもらうことは有効な対応です。

Q. リワークプログラムと会社の復職プログラムを両方利用する場合、期間はどのくらいかかりますか。

ケースによって幅がありますが、医療リワークや職リハリワークにそれぞれ数ヶ月程度、その後の会社独自の試し出勤に数週間から12ヶ月程度を要するのが一般的な目安です。休職期間全体でみると半年から1年程度に及ぶこともあるため、就業規則上の休職期間の上限とあわせて、余裕をもったスケジュールを本人と共有しておくことが望ましいでしょう。

Q. リワークプログラムに関する情報は、どこで確認できますか。

医療リワークについては、近隣の精神科クリニックや病院のウェブサイト、日本うつ病リワーク協会の情報などが参考になります。職リハリワークについては、お住まいの地域を管轄する地域障害者職業センターに直接問い合わせることで、実施内容や利用条件を確認できます。会社として案内資料を整備する際は、産業医やEAP機関に最新情報の確認を依頼するとよいでしょう。

 

まとめ

リワークプログラムには、精神科クリニックや病院が提供する「医療リワーク」、地域障害者職業センターが提供する「職リハリワーク」、そして企業内で行う「職場リワーク」の3種類があります。これらはいずれも外部機関や社内で提供される復職支援であり、企業が独自に設計・運用する「会社の復職プログラム」とは、運営主体も費用負担の仕組みも異なる別のものです。

人事担当者としては、この違いを正しく理解したうえで、産業医やEAP機関とも連携しながら、自社の実情に合った復職支援の仕組みを整えていくことが求められます。医療リワーク・職リハリワーク・職場リワークという3つの選択肢を従業員に適切に案内できる体制を整えること、そして休職の早い段階で費用負担の考え方を明確に伝えておくことも、円滑な職場復帰を後押しする重要なポイントです。

復職支援は、一度制度を整備すれば終わりというものではなく、実際の運用を通じて継続的に見直していく必要がある領域でもあります。産業医やEAP機関と定期的に情報交換を行いながら、自社の復職支援の仕組みをアップデートしていく姿勢が、休職者の安心につながり、ひいては職場全体のメンタルヘルス対策の底上げにもつながっていきます。

ミーデン株式会社では、産業医の選任から復職プログラムの設計、ストレスチェックの実施まで、メンタルヘルスに関わる幅広い支援を行っています。復職支援の仕組みづくりでお困りの際は、お気軽にご相談ください。