産業医の探し方 6選

 更新日:2023年12月18日

一つの事業所の労働者数が49名⇒50名になると、必要になるのが嘱託産業医の選任です。この嘱託産業医は1,2ヶ月に1回会社を訪問し、産業医業務(職場巡視、衛生委員会等)を行うことになります。

事業所によっては医師との接点がなく、「どう探していいのかわからない」「周囲に医師はいない」、という声をよく耳にします。今回は産業医の探し方について解説していきます。

【50人の定義について】

もし労働者の数が50名に達した場合は、14日以内に「〇〇という医師を嘱託産業医とした」といった書類を提出する必要があります。そのため、50名が見えてきた段階で探し始めないと間に合いません。この50名というのは正社員だけではなく、アルバイト、契約社員、などの非正規職員も含んだ数になります。「正社員の数」と思っていると指導を受ける可能性があるので、気を付けましょう。

また、「一つの事業所」というのも、会社単位ではなく、会社の事業所単位で人数を数えます。たとえば45名の事業所を10ヶ所抱えている会社は、嘱託産業医は必要ありません。しかし、60名の事業所を2ヶ所抱えている会社は各々の事業所で1名ずつ嘱託産業医が必要になります。

【テレワークの場合は】

コロナウイルスの影響により、テレワークを導入する会社が増えました。通常勤務がテレワークになり、オフィス内に50名も労働者がいないことが多くなってしまった会社もあります。しかし、事業所登録をしている労働者が50名を超えている場合、実際にオフィス出社をしている労働者が50名未満の場合でも、嘱託産業医の選任は必要になります。間違えないようにしましょう。

それでは、産業医の探し方についてご説明します。

【産業医の探し方】

①地元の医師会から探す

(メリット)

要望に合った医師を紹介してくれます。何科が良いか、経歴がどのくらいあるかなど、幅広い要望に対応できます。産業医紹介の正式な機関のため、とりあえずは、医師会から探すのを検討してみると良いかもしれません。基本的には紹介料は無料であり、産業医を交代したい場合でも、無料で紹介してくれます。

(デメリット)

産業医との契約は直接契約となり、契約手続きが煩雑であったりすることがあります。契約が産業医との直接契約であると、やり取りに時間がかかってしまったり、うまく連携が取れないことが多くあります。また、企業対応に慣れていない医師も多いため、仲介会社を挟んで産業医活動を行う医師も多くなってきています。

②産業医紹介会社

(メリット)

希望の産業医を紹介してくれ、紹介時に金額を紹介会社に支払うシステムです。産業医とは直接契約ですが、金額面やどのような産業医がよいかなどの希望にも応えてくれます。嘱託産業医の紹介の目安は10~30万円ほどです。また、幅広い医師が登録していることもあるので、1000人以上の労働者を抱える会社で専属産業医を探している場合はおススメです。専属産業医の場合は、年収の20~30%分の金額を紹介会社に払うことになります。

(デメリット)

その後のフォローがなく、産業医とうまく連携が取れない場合があります。また、産業医を交代したいときに、都度紹介料がとられます。また、こちらも医師と直接契約になるため、企業対応に慣れていない医師の場合、やり取りがスムーズにいかない場合もあるでしょう。

③産業医仲介会社

(メリット)

産業医との契約は直接契約ではなく、仲介会社が間に入り、その仲介会社と契約します。仲介会社の担当者が仲介として入るため、産業医とのやり取りがスムーズであり、対応もしっかりしています。産業医を交代したいときでも、仲介会社がすぐに探してくれるため、安心です。また、ストレスチェックや相談窓口、メンタルヘルス対策などまとめて産業保健活動を行ってくれる点もメリットです。

(デメリット)

仲介手数料が取られるため、産業医との直接契約よりも料金が高くなる傾向があります。

④健診機関を通して紹介してもらう

(メリット)

健康診断と産業医の選任を合わせてできるのがメリットです。契約は医師との直接契約ですが、医療機関と契約しているような感覚のためサポート体制もしっかりしています。また、産業医との繋がりが強くなるため、金額面などで多少サービスしてくれるところもあります。

(デメリット)

健診とセットで産業医の依頼をしないと対応してくれない所が多い印象です。嘱託産業医契約のみだけは対応していないところもあるので、確認してみてください。

⑤ウェブサイトで地元の開業医から探す

(メリット)

産業医によっては割安な場合もあります。会社から近い場所の産業医を探せば、すぐに対応してくれるなどメリットもあります。ホームページを見れば、どのような医師かということもわかるため、自分の会社に合う産業医を見つけやすい傾向にあります。

(デメリット)

クリニックのHPには、お問合せホームにメールでの受付を行っていないところが多く、電話でのお問合せになってしまうケースが多くなります。また、基本的に通常業務が忙しいので、HPには産業医の選任を受け付けていると記載があっても、時期によっては対応ができないクリニックもあります。

産業医を交代したいときに再度ウェブサイトから探し、電話をしていかなくてはならないので、手間がかかるのもデメリットと言えるでしょう。

⑥労働衛生コンサルタント事務所

(メリット)

労働安全衛生法に基づく労働衛生コンサルタント試験に合格し、厚生労働省の名簿に登録を受けた労働衛生の専門家たちが運営する事務所です。労働衛生に関するスペシャリスト達の集団のため、職場改善指導や労働衛生に関する幅広い指導をしてくれます。

(デメリット)

事務所にもよりますが、今回ご紹介した中で、一番金額が高いです。費用を抑えたい企業にはおすすめできません。

まとめ

労働者数が50名を超えてから14日間に届出が必要となります。50名を超えてから、「さぁどうしよう」と考え始めても、産業医が見つからないことがあります。50名が見えてきた段階で先に探しておくのが賢明でしょう。

自分の会社は産業医にどういった業務を期待するのか、事業所として用意できる予算はどのくらいであるか、嘱託産業医への報酬相場はいくらであるのか、そういったことを考えながら産業医を探していくと、事業所に合った良い産業医とマッチングすることが可能となるでしょう。

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