働きながらうつ病を治す時、気を付けるべき8つのこと

 更新日:2023年9月25日

うつ病は、仕事を休んで半年から1年くらいで良くなる病気です。しかし、仕事に穴をあけられないために、休職しない人もいます。また、休職できても、長くは休めないので、「とりあえず働けるかな?」という状況で仕方なく復職することもあります。高血圧、糖尿病などの慢性疾患と同じように、働きながら通院するという人が多いのがうつ病の特徴です。

うつ病の治療をしながら働くことは悪いことではありません。負担の少ない仕事ならば、生活のリズムをつくったり、働くことで生きがいや経済的な安心感ができるので、回復を後押ししてくれます。リハビリの役割を果たしてくれるのです。

ところが、仕事量が多かったり、人間関係でストレスが多い職場の場合、うつ病は悪くなります。病気を悪くするために働くのでは、意味がありません。元の職場に復職をして、ほぼ半数の人が1年以内に再発するというデータもあります。

同じ病気でも、高血圧の人は塩分を、糖尿病の人は糖分を控える生活をします。それでは、うつ病ではどのような生活を心がけるのが良いのでしょうか?

 

今回は、働きながらうつ病を治す時、気をつけることを8つ紹介しましょう。

 


 

【働きながらうつ病を治す時、気を付けるべき8つのこと】

1 我慢をしない

治療をしながら辛いことがある場合は、積極的に上司や産業医に相談しましょう。仕事の負担や責任を軽くしてもらったり、苦手な人とはできるだけ接触がないようしてもらうべきです。

会社は基本的に利益のために動いているので、こちらから何度も繰り返し言わないと、理解してもらえません。主治医に仕事内容を改善するための診断書を書いてもらうのも手です。普通の職場ならば、診断書が出ると、仕事内容や配置を変えてくれます。

いくら主張しても改善されず、我慢が続くようならば、健康を優先して職場を変えることを考えましょう。

 

2 手を抜いて楽をする

我慢をしないだけでなく、手を抜けるところは抜くようにして、楽をしましょう。「余計なことはやらない」、「疲れたらすぐに休む」、「面倒なことからは逃げる」、こうした言葉を座右の銘にするのです。

実は、仕事以上に大変なのが家事です。掃除、洗濯、自炊と、思っている以上に頭も体も使います。これも手を抜くしかありません。お金に余裕があれば、食器洗い機やロボット掃除機を利用しましょう。部屋が多少散らかっていても気にしないことです。生活がだらしない自分を責めてしまうのならば、「病気だから、きちんとできなくて当たり前」と、開き直りましょう。

 

3 刺激よりも安心感

刺激は少なくても、規則正しい生活がうつ病の回復につながります。平凡ですが、安心感のある生活を送りましょう。習い事をしたり、旅行へ行って楽しんでみたり、新しいことにチャレンジすることは、マイナスになることもあります。それよりも、お酒の飲みすぎ、夜更かし、運動不足、悪友(あくゆう)との付き合いなど、悪い生活習慣をやめることを優先しましょう。足し算で治すのでなく、引き算で治すのです。

 

4 先のことは考えない

治療中は、「早く治さないと出世に響く」「仕事を増やさないと周りに迷惑をかける」と、ついつい焦ってしまうものです。そんな時に限って、仲間の出世や結婚などのニュースが耳に入り、さらに焦りが増してしまいます。しかし、病気は予定通りに治ってくれません。その上、焦る気持ちは、神経を不安定にするために回復を遅らせてしまいます。先のことは考えないことです。

 

5 周りの言うことや評価は気にしない     

うつ病をカミングアウトしたら、おせっかいな人から、「まだ薬飲んでるの?」「うつ病は気持ちの問題だよ」と、気になることを言われることがあります。ネットを見ていると、薬の副作用で不安をあおる記事や、早く治すための特殊な治療方法を勧める記事も出てきます。しかし、根拠ない意見や間違った記事も多いので、周りに振り回されないようにしましょう。病気が治るペースは人それぞれです。疑問があったら主治医に相談しましょう。

 

6 薬を勝手にやめない

薬を長く飲んでいると、「本当に効いているのかな?」と、疑問を感じることがあります。試しに数日やめてみて、むしろ頭がスッキリするので、そのまま通院をやめてしまう人もいます。ところが、抗うつ薬は、飲むのをやめても1~2か月は効果が続くため、時間が経ってから急に調子が悪くなり、あわてて薬を再開することもよくある話です。

抗うつ薬は、症状がなくなってから1年間は予防のために飲み続けます。ただし、再発の場合は、それよりも長く予防した方が良いでしょう。10年、20年と長く飲み続けても大きな問題はありません。

 

7 悪くなるサインは、睡眠と食欲に出る

治療中は、睡眠と食欲の変化に注意しましょう。特に眠りが浅くなることは、うつ病が悪化したり、再発するサインです。最近、睡眠状態を自分でチェックするような睡眠アプリが流行っています。無理して利用しなくても良いですが、寝つきが悪くなる、夢をたくさん見る、朝早くに目が覚める、といった場合は要注意です。

 

8 最後に・うつ病を克服しようとしない

「病気を克服する」という言葉を使う人がいますが、うつ病は闘って乗り越えるものではありません。孤独や不安と闘うという意味で使う人もいますが、むしろ癒されていくことが必要です。「1か月後には病気を追い出してやる」という感じで病気に逆らうことはせず、思った通りに行かないことは「仕方ない」とあきらめて、病気と仲良くしている方が回復は早いものです。

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