うつ病はどれくらいで治るの?

 更新日:2021年10月12日

「病院でうつ病と診断されて、医師からは3ヶ月くらいで治ると言われたのに、気付いたら薬を10年以上飲み続けている。仕事はできているが、薬をやめると具合が悪くなる。」こんな話をよく聞きます。実際にうつ病はどれくらいで治るのでしょうか?薬はやめられないのでしょうか?

【再発の多いうつ病】

通常、うつ病は休養をとることで3ヶ月から1年くらいで自然に改善されると言われています。しかし、仕事のストレスで発症した場合、十分に回復できないまま元の職場に戻ることや、復職後の仕事内容に十分な配慮をなされていないこともあります。せっかく回復してきたのに、発病した時と同じストレスを受けることになります。そのために半数の人が再発するというデータがあります。

再発と言うのは、何かのきっかけで治ったはずのうつ病をぶり返すことです。骨が折れたら、くっついても他の部分よりも弱く折れやすくなっています。以前と同じように使っていたらまた折れてしまいます。うつ病も同じで、発病した時と同じような無理をするとまたぶり返してしまいます。

骨折の後は、折れた部分をできるだけ使わないようにする、サポーターをするなどをして保護してあげます。うつ病の場合も、職場のストレスが原因で発病した場合は、元の職場に戻れば何らかの予防をしない限り、再発する可能性は高いのです。

          

【薬の治療が効果的】

薬の治療をすると回復は早まり、再発の予防効果もあります。病院でうつ病と診断されて、軽症で休養がとれる場合は薬が処方されませんが、通常は早く回復してもらうために薬の治療が行われます。改善してから1年くらいが最も再発しやすいので、良くなっても最低1年は予防のために服薬をつづけます。

しかし、実際に仕事を再開してから、1年以上服用を続けることの方が多いようです。なぜなら、職場にもどっても発病した時と同じようなストレスが変わらないことが多く、また、ストレスの多い職場を辞めて、転職したからといっても、そこでうまく行くとも限りません。年齢とともに子供の教育費や家のローンなどの経済的な負担が増えます。

仕事上の責任も増えると、ストレスは増える一方です。それ以外にも体の病気や事故など、人生は何が起きるか分かりません。生活が落ち着き、そろそろ薬をやめられそうになっても、何かストレスになることが増えて、結局薬を継続することになる人が多いようです。10年どころか、現役時代の30年は抗うつ薬をずっと飲んでいた人も少なくありません。

【抗うつ薬は長期に服用しても問題ない】

基本的に抗うつ薬は長期に服用しても大きな問題はありません。ただし、体の代謝が落ちやすく、食欲を上げる作用があるので、体重が増えることがあります。食事と運動には気をつけて、メタボリックシンドロームにならないように注意しましょう。定期的に健康診断を受けてチェックすることも大切です。

【うつ病とともに生きていく】

ストレスに溢れた社会ですから、予防のために薬を飲みながらでも日常生活が普通ならうつ病は治ったと考えるのも手かも知れません。年齢を重ねても病気一つないと完全無欠である必要はありません。薬を飲みながらでも元気に生活できているなら良いと考えればクヨクヨしないで済みます。苦痛の伴う手術やリハビリでなく、薬を何粒か飲むだけで解決するならばそれで良いと考えてはどうでしょうか。

【普通のうつ病でない可能性】

ここまでは薬でうつ病が良くなる人の話でしたが、実はうつ病で薬を飲んでも仕事に戻れない人が3割もいます。それは、うつ病と診断されていても普通のうつ病でない可能性があります。一つは基礎に発達障害があり二次的にうつ病が起きているケースです。もう一つはうつ病でなく本当は双極性障害Ⅱ型であるケースがあります。また、孤独や経済困難などの悪循環に陥ってしまい回復のきっかけをつかめないでいるケースもあります。

こうした人たちのために、障害者雇用や障害者年金といった公的な支援制度があります。大きな企業での障害者雇用枠は年々増えており、同じ職種でも仕事量や時間の束縛が少なかったり、病気を抱えながら働ける工夫がされています。以前と同じレベルの仕事ができないことは大変辛いことですが、できるところから始めることも必要です。公的な支援を受けることがきっかけとなり、病状がよくなっていく引き金になる人もいます。

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