ADHD6つの特徴

 更新日:2021年12月23日

ADHDとは、注意欠如・多動症の略です。その言葉のごとく、「忘れ物が多い」「うっかりミスが多い」といった不注意の症状と、「落ち着かない」「待てない」といった多動・衝動の症状がみられる病気です。大人になってからなる病気ではなく、子供の頃から成長の過程で現れる生まれつきの病気です。決して育て方の問題ではありません。

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【ADHDであるライン】

どこからが病気かと言うと明確なラインはありません。診断のための特別な検査はなく、平均的な子供よりも症状が目立つ場合に診断がつけられます。

成績が平均以上ですと、学校生活ではそれほど問題になることはありませんが、社会人になって職場で人と同じことができないことから病院を受診する人が多く、これが大人のADHDと呼ばれるものです。

【有名なADHDの3人】

実は、私たちの身近にとても有名なADHDの人が3人います。磯野家のカツオ君、そしてドラえもんに出てくるのび太君とジャイアンです。

カツオ君は頭の回転は早いけれど、おっちょこちょいで勉強が苦手です。おしゃべりで、思いついたら後先考えずに行動してしまいます。お父さんやサザエさんに怒られても変わりません。でも愛嬌があるのでクラスの人気者です。

のび太君は、ぼーっと集中力がなく、勉強もスポーツも苦手です。忘れ物が多く先生にもお母さんにも注意されますが直りません。のび太君は不注意優勢タイプのADHDです。

ジャイアンは、怒りっぽく乱暴で、欲しいものは我慢できず横取りします。ジャイアンは、多動・衝動優勢タイプのADHDです。

このようなADHDの子供が大きくなり社会に出ると、次のような特徴が見られます。

【ADHD6つの特徴】

1.仕事でよくミスをします。財布、スマホ、鍵などの忘れもの、なくしものが多いです。

2.机の上を片付けられず書類が山のようになっています。物だけでなく、スケジュールも管理できません。遅刻常習でアポイントもすっ飛ばすこともあります。

3.会議の席では内容が頭に入ってこないで上の空です。寝てしまうこともあります。よく考えずに発言して失敗します。

4.仕事を計画的にできません。コツコツと地道にやることが苦手で、思いついてやることが多いです。

5.じっとしているのが苦手です。座っていると貧乏ゆすりをしたり、手で顔をいじっています。静かにしているのも苦手で、おしゃべりだと言われます。買い物の行列や車の渋滞など、待つのも苦手です。

6.ゲームやパチンコに異常なほど集中してしまいます。金額を考えずにたくさん買い物してしまうことがあります。

それでは、先ほどの3人は大人になってどうしているでしょう?

【未来の3人】

ご存知の方もいるかも知れませんが、未来の世界でジャイアンはスーパーの社長になります。実は、マイクロソフト社のビル・ゲイツ、アップル社の創業者スティーブ・ジョブズ、楽天の三木谷社長もADHDであると知られています。

多動・衝動は大人になると比較的目立たなくなります。不注意ではあるけれども大事な時にものすごい集中力を発揮でき、多動が行動力に、衝動が発想力に転換されて大成功している人もいるわけです。

カツオ君の将来は原作にはありません。おっちょこちょいは変わらなそうですが、愛想の良さと行動力、そして広い人脈を利用して営業マンとして成功しているかも知れません。

ジャイアンとカツオ君は、むしろADHDが個性として役立っているケースです。実際に政治家、経営者、営業マン、芸能人、芸術家、スポーツ選手などで成功している人もたくさんいます。むしろ世の中を変えられる人にADHDが多いのかも知れません。このような人はADHDを病気と考えずに個性と考えたら良いでしょう。

一人でも生きていけるジャイアンとカツオ君は良いのですが、問題はのび太君です。原作によると、ドラえもんがいない世界では受験も就職も失敗。起業しますが火事を起こして倒産。最後は無職になってしまいます。気の強いジャイ子と結婚して子供を授かり、孫の代まで残る借金をつくってしまいます。

このようなのび太君の姿を心配した子孫が、ドラえもんを送ってくれます。ドラえもんがいる世界では、のび太君はしずかちゃんと結婚。自然調査の仕事に就いて幸せな生活を送ります。ドラえもんが、いるかいないかで未来が大きく変わるのです。のび太君の2つの人生は、生き方を助けてくれる存在があるかないかでADHDの人の未来が変わってしまう良い例です。

【ADHDの人をサポートしてくれる社会の仕組み】

現実にドラえもんはいませんが、ADHDの人をサポートしてくれる社会の仕組みがあります。まずは精神科の医療機関です。ADHDの診断をして、それを元に役所で障害者手帳をつくることができます。

障害者手帳があると就労支援施設や障碍者雇用を利用することができます。就労支援施設では、仕事のスキルやマナーを向上させるトレーニングをして、障害者雇用先を探してくれます。最近は多くの企業が障害者雇用を広めていますので、働く場所の選択肢がたくさんあります。給与は少し下がりますが、無理なく、得意な分野を生かして働くことができます。

【ADHDに効く薬】

また、ADHDの不注意や多動・衝動に効く薬があります。脳のドーパミンやノルアドレナリンの分泌が低下しているので、それを調整するものです。「コンサータ」「ストラテラ」「インチュニブ」の3種類がありますが、「コンサータ」は麻薬に近いものなので資格のある医師しか処方できません。

どの薬も根本から治す薬ではなく、症状を改善させる薬なので長期に服用する必要性があります。効果は個人によって差があり、処方する基準も医師によって異なります。また、医師によってはこれらの薬でなく、抑うつ状態を治すことを優先してSSRIなどの抗うつ薬を処方することもあります。

最後に

大人のADHDは比較的新しい考え方のために、対応できる医療機関がまだ少ないのが現状です。しかし全国的に少しずる広がっている傾向にあります。不注意や多動・衝動によってなかなか社会の歯車と合わない場合は、我慢せずに医療機関などのサポートを積極的に受けることをお勧めします。

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