女性のアスペルガー症候群

 更新日:2022年5月18日

 アスペルガー症候群は、相手の気持ちを読み取れないという、コミュニケーションの障害です。最近では、自閉症スペクトラム障害・ASDの一つとして扱われるようになりました。男女共にありますが、女性は男性よりも協調性があるために、女性のアスペルガー症候群は気づかれにくいと言われています。

 子供の頃は、集団に溶け込めないことから「おとなしい子」、「天然」と言われることが多く、結婚して夫と同じ空間で生活するうちにコミュニケーションの問題が目立つようになります。また、子育てができないことから障害に気づかれることもあります。

今回は、女性のアスペルガー症候群の特徴を6つ紹介しましょう。

【動画での解説はこちらから】

女性のアスペルガー症候群6つの特徴

1 女性の輪に入っていけない

 最も悩むことが、女性同士のおしゃべりに入っていけないことです。相手の気持や場の空気を読むのが苦手なため、話題が変わり、会話の目的が明確でないおしゃべりの場は苦痛になります。

 

 会話に入れても、会話のテンポを乱してしまいます。そのために学校や職場の休み時間は一人で過ごすことが多くなり、特定の友人としか付き合うことができません。母親になってからはママ友の輪に入れずに苦労します。

2 感覚過敏

音、光、臭い、味、といった感覚に敏感で、ふつうの人なら気にならないような刺激も感じてしまい、物事に集中できなくなります。特に女性で問題になるのは、味覚への敏感さです。

苦手な食べものが多く、偏食で小食になり、貧血になりやすいと言われています。また、容姿や体重へのこだわりがつよく、無理なダイエットから摂食障害になることも多いようです。

3 体調を崩しやすい

生まれつき自律神経系が弱く、感覚過敏の影響もあるため、疲れやストレスで体調不良を起こしやすい傾向があります。微熱、胃腸障害、頭痛、だるさなどの、いわゆる不定愁訴に苦しむことが多いようです。

さらに女性ホルモンの変化の影響も受けやすいために、生理前後の体調不良もつよく出ます。いわゆる月経前症候群・PMSと言われるものです。また、マタニティブルーや産後うつ病になりやすいと言われています。

4 衣服や趣味にお金を使い過ぎる

 物事を計画的にすすめるのが苦手ため、衝動的に買い物をすることがあります。店員の言葉を鵜呑みにして高価なものを買ったり、テレビショッピングで不要なものまで買ってしまうことがあるでしょう。せっかく買ったものをそのまま放置してしまい、整理整頓できません。

 うまい言葉に騙されやすいことから、詐欺にあったり、男性に騙されて性的な被害を受けやすいとも言われています。

5 家事ができない

 結婚して最初に問題になるのは、家事がうまくできないことです。決められたことをやるのは得意ですが、家事のように自分で計画してやるものは苦手です。掃除では細かい場所にこだわり、1か所だけ徹底的にやってしまいます。バランスよく全体をきれいにすることが苦手なのです。

6 夫や子供を怒鳴ってしまう

完全主義やこだわりがつよいために、夫と生活のペースが合いません。また、夫の気持ちを読み取れないことから夫婦のすれ違いも起こりやすく、結局自分の意見を主張し過ぎて言い争いになりがちです。否定されたり、意見が通らないと気持ちが高ぶってパニック状態になり、泣き叫んだり、激怒します。また、夫の実家との付き合い方が分からずに悩み、それが夫婦のもめごとの原因にもなるようです。

 子供は思い通りにならない存在なので、愛しているのに子供の扱い方が分かりません。子供と2人でいられなかったり、子供の態度にパニックを起こして爆発することがあります。あとから子供を怒鳴ったことを反省して、自分を責めてしまいますが、やはりスイッチが入ると同じことを繰り返してしまいます。

最後に

アスペルガー症候群の女性は、うまく家庭生活ができないことから自分を責めて、うつ病になりやすい傾向があります。ふつうのうつ病の経過と異なり、抗うつ薬で躁状態になることや、長引くことも多く、医師からうつ病の背後にあるアスペルガー症候群を指摘されることがあります。

 

 精神科での治療はうつ病の治療を優先しますが、背後に障害があることを家族が意識してあげて、家庭での負担をとってあげることが必要になります。子供とうまくやれないこと、買い物をし過ぎること、片づけられないこと、すぐ怒ること、これらは、妻として母としての自覚や努力が足りないのでなく、生まれつきの障害なのです。できないことを一番悩んでいるのは本人ですので、家族全員で障害を理解して、家事や子育てを積極的に手伝ってあげましょう。

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