適応障害の4つのサイン【適応障害とは?】うつ病との違いも

 更新日:2023年1月7日

体調不良で職場や学校に行けなくなる病気の1つに、「適応障害」があります。今ではよく耳にする病名ですが、日本で最初に話題になったのは、皇后雅子様が発病された時でした。雅子様は、ハーバード大学・東京大学を経て、外交官として活躍、その後皇室に入られました。

2003年頃から体調不良を崩され公務をお休みされるようになり、2004年に適応障害という病名が発表されました。そもそも適応障害という病名は、1994年に認められた歴史の浅いものでしたので、その頃は初めて聞いたという日本人も多かったのです。適応障害とは、環境の変化などのストレスをきっかけに、心と体の不調が現れる病気です。

雅子様は、キャリアウーマンから、皇室という全く異なった生活環境に入られた訳ですから、不適応が生じて心身を病むことになったのです。そこにご出産による体の負担が加わったのも引き金になったのかも知れません。ところが、プライベートでディズニーランドや高級レストランに外出される姿をメディアが報道したため、「好きなことはできるのに、公務はやらない」と批判が殺到しました。適応障害は、休養しながら、好きなことから始めることが治療なのですが、誤解が生じてしまったのです。

このように、適応障害は、「怠け」「嫌なことから逃げている」と誤解されやすい病気です。職場や学校に行けなくなるのですが、趣味などの好きなことはできたりします。

それでは、適応障害とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。今回は、適応障害のサインを4つ紹介しましょう。

 

【適応障害4つのサイン】

1 1か月以内に環境の変化やストレスになる出来事があった

適応障害のきっかけとなる出来事は様々です。職場、学校、家庭などの環境の変化、人間関係の変化など、日常的なストレスすべてが引き金になる可能性があります。ハラスメント、いじめ、親しい人との別れ、健康問題なども原因になります。原因がなくなると半年くらいで改善されていくのが自然な経過です。ただし、本人は体調の悪さばかりが気になるので、ストレスをそれほど自覚できていないこともあります。

適応障害で一番多くみられるのが、夢をもって入った職場だったのに、自分には向いていなかったというケースです。「ただただ忙しいだけ」、「ハラスメントを受ける」、こうしたことから生きるエネルギーを徐々に失って発症するのです。学生だったら、難しい試験に受かって入った念願の学校なのに、「勉強が忙しいだけ」、「先生もクラスメートも冷たい」、「いじめがある」といったケースです。

2 気持ちの落ち込みや不安感

気持ちの落ち込み、不安感、落ち着かない、イライラ感、気力がなくなる、といったものが心の症状で見られます。情緒が不安定になり、普段怒らない人が怒りっぽくなることもあるでしょう。これらは、軽いうつ病や不安症にも同じように見られます。実は、適応障害とうつ病には明確な境界線はありません。適応障害でも長引く場合や重症の場合は、うつ病と診断されます。

3 体調不良

全身のだるさが辛く、肩こりや腰痛なども起こります。仕事や勉強に頑張りたくても集中できません。夜眠れない、朝早くから目覚めてしまうといった不眠症や、逆に寝ても寝ても眠気がとれない過眠症が見られる人もいます。

また、動悸、めまい、発汗、頻尿などの自律神経失調症の症状も見られます。このように体の症状も多彩です。

4 職場や学校に行けなくなる

朝が起きられなくなり、職場や学校に遅刻します。無断で休んでしまうこともあり、職場や学校での活動に支障が出ます。それ以外にも、暴飲暴食をする、お酒が増える、タバコが増える、買い物のし過ぎなど、行動に変化が現れるのも症状です。

最後に

適応障害になるのは、心の弱さが原因ではありません。その人と環境との歯車が合わないことが原因なのです。環境に馴染めずに、心と体に異常が出るのは、すでに自分のキャパを越えている証拠です。「自分の責任だ」、「自分が変わらなくては」と、無理をしてもこじれるだけで、最悪の場合、うつ病になることもあります。適応障害になったら、その環境から避難することを考えましょう。自分を環境に合わせようとするのではなく、自分に合った環境を選ぶことが大切です。

まずは病院で診断書をもらって休みましょう。そして、職場だったら上司や人事に、学校だったら先生に今後の事を相談して、環境を変えてもらえるように対処してもらいましょう。それが難しいならば、会社を辞めたり、学校を変えることも必要になります。雅子様の場合は、原因である皇室に残りながらの治療でしたので、回復には困難がありました。「マラソンをしながら足のケガを治している状態」と例えられたくらいです。

また、環境が変わったからといえ、すぐに体調が良くなる訳ではありません。本来の自分を取り戻すまでに半年程度かかる人もいます。ですから、もし会社を辞めた場合も、あわてて転職するのはよくありません。次に進むのは、少し休んで、十分回復してからにしましょう。

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