大人のADHD5つの特徴

 更新日:2023年2月15日

 最近、「自分はADHDではないか?」と、精神科を訪ねる人が増えています。仕事のミスが多いこと、家事が十分にできないことなどを通して、ネット記事を読んだり、周りから注意を受けたりして、精神科を受診するのです。ADHDとは、正式には注意欠如多動症と言います。

脳の発達の偏りが原因で、名前にあるように「不注意」・「多動」・「衝動」の3つの症状がみられる障害です。具体的には、落ち着きがなく、ジッと我慢することが苦手で思いつきで行動してしまう人を指します。性格の延長線とも言えますが、度が過ぎて日常生活に支障が出る場合に障害と考えます。

               

 小学生の時に診断されるのが普通ですが、子供の頃には気付かれず、大人になって診断される場合を、「大人のADHD」と呼んでいます。今回はその基本的な特徴を5つ紹介しましょう。これらに当てはまる場合は、大人のADHDの疑いがあります。

【大人のADHD5つの特徴】

1 小学生の頃から症状がある

 そもそも、子供は一つのことに集中しないで、いろいろなことに興味を示し、ジッとしていられないものです。成長するに従って、集中をコントロールしたり、欲求を我慢できるようになります。成長のスピードには個人差はありますが、だいたい小学校に上がる頃には、45分間、椅子にジッと座って、先生の話を聞くことができるようになります。ところが、授業中も落ち着きがなく、先生に注意をされても自分勝手に話したり、歩き回ったりするようならば、ADHDの可能性があります。

 それでは、どのような場合に、大人になってまで障害の存在に気付かれず、大人のADHDとなるのでしょうか?これには3種類のケースがあります。1つ目は、症状が軽い場合です。誰でも多動の症状は消えるため、症状の軽い人は中学生くらいになれば大きな問題なく学生時代を過ごすことができるようになります。ただし、学校でジッと椅子に座っていることが苦痛で仕方がなかった記憶を持っている人が多いようです。

 2つ目のケースは、不注意優性型と言って、もともと多動の症状がほとんどない人です。これは特に女性に多く見られます。授業中は大人しく座っていられますが、いつもボーっとしていて、勉強のミス、遅刻、忘れ物が多いのが特徴です。成績に大きな問題がない場合は、「うっかりさん」と性格の問題として考えられ、障害が気づかれないまま大人になります。

            

 3つ目のケースは、家庭に事情があったり、本人が非行やひきこもりで病院に行く機会を持てなかった場合です。

 以上のような3種類のケースで、成人してから社会で生きづらさを感じるようになった場合が、大人のADHDと言えるでしょう。

2 不注意の症状

 気が散りやすく、仕事や作業に集中するのが苦手です。集中しようとしても、頭の中に色々なことが浮かんできて、仕事に取り掛かれなかったり、先へ進めません。ちょっとしたミスも多く、注意されても同じ間違いを繰り返してしまいます。また、スケジュールや約束を忘れることがあり、スマホや財布などの忘れ物もよくします。車や自転車の運転では、注意を怠り、交通事故を起こしやすい人です。

 アスペルガー症候群(ASD)が合併する場合、関心のあることには時間を忘れて没頭してしまう症状もあります。これを過集中と呼び、作業中に名前を呼ばれても気づかないことがあり、声をかけた人は、無視されたと勘違いしてしまうでしょう。食べることや寝ることを忘れて没頭し、体を壊してしまうこともあります。

3 多動の症状

 中学生くらいになると、ジッと座っていられないという多動の症状は消えていきます。ただし、大人になっても待つことは苦手で、貧乏ゆすりや、座っていると体のどこかを動かしている症状が残ります。退屈な仕事も我慢できません。せっかちで、おしゃべりのこともあり、よけいなことを言って失敗することがあります。

             

4 衝動の症状

 地道にコツコツ努力することが苦手です。すぐに結果や報酬が出ないと我慢できないので、手っ取り早い儲け話にハマってしまったり、仕事では一攫千金を狙います。計画や準備ができず、マニュアル通りの作業も苦手です。じっくり考えずに大きな決断をしてしまい、リスクの多い人生になります。

 お金のトラブルに巻き込まれることも多く、衝動買い、無茶な投資、ゲーム課金のし過ぎ、キャバ嬢やホストにお金をつぎ込むなどもADHDの可能性があります。人を好きになると後先を考えずに行動するので、異性問題でトラブルに巻き込まれることもあるでしょう。

 家事のような毎日同じことをするのが苦手なので、家事や子育てができないで悩みます。ADHDのお母さんは、子供を叱ってばかりいます。

5 気分の症状

 感情のコントロールが苦手で、短期です。ストレスや欲求不満があると耐えられず、すぐにイライラします。興味の持てないこと、嫌なことを我慢してやることができません。気に入らないことがあると切れて、激しく怒る人もいます。

         

まとめ

 ADHDの原因は、まだ完全に解明されていません。決定的な検査方法はなく、ここに紹介した症状を医師が聞き取り、日常生活に支障が出ている場合に診断がつけられます。脳のCTやMRI、脳波、心理テストはあくまでも補助的なもので、これらの検査だけで診断がつくことはありません。

 いくつかの治療薬がありますが、どれも症状を和らげるためのもので、根本的な治療ではありません。資格を持った医師しか処方できない薬もあるので、受診する場合はあらかじめ確認しましょう。

 ADHDは、性格の延長線上にあります。正常と障害の境界線は引けません。それなりの症状があっても、社会で成功している人もたくさんいます。また、ストレスで症状が悪化するので、職場を変えたら問題がなくなることもあります。まわりの環境によって、症状のつよさが変わるのです。まずは、ADHDを一つの個性と考え、自分にあった仕事、生活を選ぶようにしましょう。人生において夢を追うことや、憧れの人の真似をすることは大切なことかも知れません。しかし、それ以上に、自分は何が得意で苦手なのかを知り、うまく社会と関わっていく方法を探すことが大切です。

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