その疲れは自律神経が原因?・頑固な疲れをとる4つの方法
更新日:2024年11月15日
スマホでも精密機械でも、使い過ぎて動作がおかしくなると、エラーの警告がでます。警告が出たら、充電したり、休ませなくてはいけません。人も同じように、心や体の状態がおかしくなると、疲れや痛みという形で警告が出ます。特に疲れは、「休んで欲しい」という警告のサインです。
ところが、いくら休んでも疲れがとれないことがあります。健診を受けても内臓に異常がない場合、原因は自律神経系の疲れです。心配事や過労で自律神経系が疲れてくると、睡眠も浅くなるために、いくら寝ても疲れが解消されません。疲れをとる最も有効な手段は睡眠ですが、それが十分に機能しません。これでは、寝ても疲れがとれず、それでよけいに疲れて、さらに眠れず…という悪循環に入ってしまいます。このような悪いループから抜け出すためには、自律神経系の疲れを解消しなくてはいけません。
自律神経系の疲れは生活習慣から来ています。生活習慣を変えることで、時間をかけながら少しずつ改善します。今回は、なかなかとれない疲労感を解消するために、自律神経系の疲れをとる4つの方法を紹介しましょう。
1.無駄な時間を楽しむ
戦争中のように、常に緊張状態が続いていたらどうなるでしょうか?いつ敵が攻めてくるか不安な状況では、いつも周りに注意を払い、夜もゆっくり眠ることができません。そのうち疲労感がとれなくなり、心も病んでいきます。戦争中でなくても、「眠る直前まで仕事がある」、「休みの日も、四六時中、仕事のことを考えている」、「遊びに出ても、心配事が頭から離れない」、「答えの出ないことに答えを出そうと悩み続ける」、こういった状況は、自律神経の悪い使い方です。1日の間に神経の緊張と弛緩(しかん)を切り替えて、心のオン・オフをうまく調節できるのが人の本来あるべき生活です。
日々の緊張をとるためには、瞑想が良いと言われており、「マインドフルネス」という瞑想をする人が増えています。ところが、目をつぶって何もしていないと、よけいに考えてしまうのが私たちの習性です。瞑想が苦手な人は、趣味などで体を動かすことで、考えない時間をもつ方が良いかも知れません。カラオケでも、土いじりでも、サウナ巡りでも、旅行でも、ささやかな自分の楽しみをみつけて、「生きていて楽しいな」という時間を多く持ちましょう。「人の役に立っていない」、「収入につながらない」という時間を無駄と考えず、心の健康のために大切な時間と考えてください。
2.体を動かす習慣
毎日の軽い運動は、緊張をほぐし、心のオン・オフに役立ちます。人によっても向いているものがありますので、無理なく楽しくできることを続けるのが良いと思います。ラジオ体操でもいいし、公園散歩でもいいし、ヨガでもいいし、運動の質や量よりも、「やっていて気持ちがスッキリする」という感覚を大切にしましょう。
3.人に助けを求めること
疲れをとるには何事も自分一人で抱え込まず、人に助けを求めることです。仕事でも、心配事でも、周りの人といっしょに分担すれば負担が軽くなります。日々のやることを減らせば、疲れも減っていくでしょう。「自分で何とかする」という責任感はとても大切なことですが、キャパを越えてまで責任を全うしようとするのは、むしろ自虐行為です。自分を大切にしていません。
当たり前のような内容ですが、責任感のつよい人ほど、助けを求めるという発想ができません。仕事の問題、親の介護の問題、家族の病気の問題、借金の問題など、一人で抱え込むから大変になるのです。専門の人にも助けを求めて、いっしょに抱えてもらいましょう。
4.睡眠を大切にする
疲れをとるための最も大切なことが睡眠です。そもそも睡眠には、レム睡眠とノンレム睡眠の2つの時間帯があります。レム睡眠の「レム」とは、「レイピッド・アイ・ムーブメント」の略で、眼球が急速に動いているという意味です。眼球が動いているだけでなく、脳も起きている時と同じように活動しています。これとは逆に、脳も体も休んでいる時間帯をノンレム睡眠と呼びます。いくら寝ても疲れがとれないのは、レム睡眠が長く、ノンレム睡眠をきちんととれていないことが原因です。
ここまでに紹介した3つの内容で、ノンレム睡眠をしっかりとることができます。それ以外に、床につく1時間前には、仕事や家事を完全に切り上げること、SNSや動画も見ないようにします。カフェインの入ったお茶などを遅い時間に飲むのも良くありません。ゆっくり入浴したり、軽いストレッチをしたり、静かな音楽を聴いたりと、のんびりした時間を過ごしましょう。眠る前の時間を貴重に考えることで、ノンレム睡眠をしっかりとることができます。
これでも深く眠れない人は、睡眠薬を利用するのが良いでしょう。ネットには、睡眠薬は良くないという情報があふれていますが、眠れないで過ごすことの方が心身に悪い影響を与えます。必要な時はかかりつけの医師に相談してみましょう。
自律神経系の疲れをとる方法を紹介しましたが、2週間実践しても改善されず、気持ちの落ち込みも伴うような場合は、うつ病の可能性があります。うつ病は、自律神経系よりももっと上の脳の部位で問題が起きているので、自律神経系の調整だけでは改善が見られません。内科で異常が見られず、何をやっても改善のみられない頑固な疲労感の場合は、精神科に相談してみましょう。