ストレスマネジメントについて

更新日:2024年12月3日

 健康的な生活を送りたいと考えたとき、多くの人は栄養バランスの良い食事や定期的な運動を思い浮かべることでしょう。健康という言葉は身体的なことを指すことが一般的でしたが、近年では心の健康も重要であることが認識されるようになりました。 

 その中でも、職場におけるストレスが多い場合、労働者のメンタルヘルスや仕事のパフォーマンスに悪影響を与えることが明らかになっており、国をあげての対策が求められています。ストレスを完全になくすことは難しいものです。そのため、その原因や影響を理解し、ストレスレベルを一定以下に抑える「ストレス・マネジメント」が重要だと言えるでしょう。 

 そこで今回は、ストレスマネジメントについてご説明します。 

1.ストレスマネジメントとは

 ストレスマネジメントとは、ストレスを適切に管理し、心身ともに健やかな状態を維持することを意味します。ストレスマネジメントと似た言葉に「ストレスコーピング」がありますが、ストレスコーピングはストレス対処法のことで、ストレスマネジメントはストレス管理を意味します。 

 ストレスは日常生活の中で誰もが受けるものですが、ストレスによる負担が大きくなると心身に悪影響を及ぼす可能性があります。ストレスマネジメントでは、ストレスと上手に付き合う方法を考え、適切な対処法を実行することで、ストレスによる負担を軽減します。 

 政府は、自殺対策基本法や過労死等防止対策推進法の整備、ストレスチェックの義務化など、ストレスマネジメントに関する政策を行っています。しかし、実際にメンタルヘルス対策が実施されている事業所は全体の約半数であるだけでなく、ストレスチェックが義務化された事業所のうち、実行して結果を利用している事業所は4割を満たしていません。 

 一方で、精神障害の労災請求件数は増加傾向にあります。そこで、政府は労働基準監督の体制を整備し、過労死を防止するために取り組んでいます。 

2.ストレスマネジメントが大切だと言われる理由

 ストレスが原因の病気には、うつ病脳梗塞心筋梗塞などがあります。ストレス・マネジメントが求められる背景には、医療費の問題や過労自殺の問題、精神疾患の増加、労働環境の悪化があるのです。厚生労働省の調査では、約6割の労働者が現在強いストレスを抱えていると回答しているのです。 

 労働環境を整備し、ストレスマネジメントを導入するためには、ストレスに関する基本的な知識が欠かせません。そもそもストレスとは、どういうものなのでしょうか。 

3.ストレスとは

 ストレスは、心にかけられる圧力や負担のことを指します。そして、ストレスの引き金となる要因である「ストレッサー」によって生じる反応を「ストレス反応」といいます。 

 ストレスの原因には、慢性的なものと急性的なものがあります。騒音などといった物理的要因、病気や睡眠不足などといった身体的要因、職場環境や人間関係などといった社会的要因などが挙げられるでしょう。 

 そもそも、私たちが日常生活を送る中でストレスという言葉を使う多くの場合、悪い意味で使われます。しかし、ストレスは良い方向に働く刺激としても捉えられるため、注意が必要です。大きなプロジェクトに抜擢されたことで、大きな努力の結果成功を収める、といった例は珍しくありません。 

 ただし、能力を超えて急激に大きな負担がかかった場合、過度のストレスとなってしまいます。その際、肩こり、頭痛、胃腸の不調などによって身体に現れることもあります。 

4.職場におけるストレスの原因

 職場で悪いストレッサーとなる原因は何でしょうか。業務内容や管理方法が不明瞭であったり、見通しがつかなかったりするような場合、労働者はストレスを感じます。例えば、自由が全くない状況や、上司や同僚の支援のない中で、自身の知識や能力に見合わない業務を担当しなければならない場合などが挙げられるでしょう。また、ハラスメントも労働者に強いストレスを与える原因となります。 

 これらのことから、職場では「仕事の要求度」「仕事の自由度」「周囲からの支援」のバランスを意識することが重要です。

 また、ストレスマネジメントにおいては、ストレスがかかったときの対処法を複数持つことの重要性が指摘されています。適度なタイミングで好きなものを食べたり飲んだりして気分転換をするように心がける、深呼吸をして気分を落ち着かせるなどといったものから、運動をして体を動かしたり、睡眠を十分に取るといったものが挙げられます。 

 規則正しい生活はストレスマネジメントにおいても大切です。自身でできる対策を取り入れながら、無理なく働いていきましょう。 

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