うつ病の初期症状6つのサイン

 更新日:2021年12月18日

 

  私たちの体は毎日栄養を取らないと衰弱してしまいます。実は、心も体と同じように栄養が必要です。栄養をとらないと心も枯れてしまいます。心の栄養とは、心の満足感です。

おいしいものを食べた、欲しい物が手に入った、おもしろい映画を見た、と満足感にはいろいろな種類がありますが、一番大切なものは、家族や仲間から受ける愛情です。もし、このような心の栄養を取れないまま、心配事や仕事に追われていると、心の栄養不足になり、ついにはうつ病になってしまいます。

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【うつ病は突然なる病気ではない】

うつ病は突然やってくるのではなく、ジワジワと時間をかけて心が消耗していく病気です。最初は、「疲れがとれない」とか、大事なことを先延ばししてしまうので「怠け癖が出たのかな」と勘違いします。しかし、休んでも良くならないし、そのうち仕事が嫌になっていき、「もうダメだ」と思った時にはかなり進行した状態になっています。こうならないためにも、早めに心のSOSに気付くことが大切です。癌は「早期発見・早期治療」と言われていますが、うつ病も同じです。

ここではうつ病の最初のサインを6つ紹介します。これらを感じたらうつ病を疑いましょう。

【うつ病の初期の6つサイン】

1.仕事にミスが増える

ちょっとした入力ミスが増えます。誤字脱字だけでなく、書類に別の人の名前を書いたり、提出先を間違ってしまうこともあります。物忘れも多くなり、人の名前が出てこなかったり、財布を忘れて出かけることもあります。認知症ではないかと思い、物忘れ外来を受診する人もいます。これは認知症ではなく、脳が疲れて集中力が落ちているサインです。

                            

2.土日に休んでも疲れがとれない

土日にずっとゴロゴロしても疲れが取れません。日曜の夕方くらいから1週間が始まることを思うと暗い気持ちになります。人によっては「怠け癖がついた」と考えて、自分を責めてしまうことがあります。数日休んでも回復しない疲れは、うつ病の可能性があります。

3.コリや痛み

体や手足がだるかったり、肩こり、頭痛、腰痛などのコリや痛みを感じる人もいます。腰痛で整形外科を受診しても、骨に異常はないと言われます。痛み止めが処方されますがあまり効果がありません。このように、うつ病が体のコリや痛みから現れることがあります。

                                                                            

4.眠りが浅い

疲れているのになかなか眠れません。お酒を飲まないと眠れないこともあります。夜中に何度もトイレで目が覚めたり、早朝から目が覚めて仕事のことを考えてしまいます。夢をよく見て、深く眠った気がしません。このような睡眠障害は、脳の覚醒状態を調節できなくなっているサインです。

5.落ち着かない

理由もなく突然不安な気持ちにおそわれます。仕事中にじっと座っていられず、何度もトイレに立つことがあります。心配事がずっと頭から離れず、「なんとかなる」と思えません。このように、うつ病が不安の症状から現れる人もいます。

6.突然涙が出てくる

仕事中に突然涙が出てきます。理由は分かりませんが、悲しい涙です。周りの人に気づかれないようにあわててトイレに駆け込みます。これは情緒が不安定になっているサインです。

                                  

このようなサインに気づいた人は、受診する前にまず毎日の生活を見直しましょう。

【生活習慣を見直す】

仕事で無理をしていないでしょうか?残業をなくし、仕事量はできるだけ減らしましょう。公私の境界線をはっきり引いて、自宅ではできるだけ仕事のことは考えないことが大切です。職場でハラスメントがある場合は、責任者に相談することが必要です。

次に、眠る前の過ごし方。眠る直前まで興奮するようなゲームや動画を見ていませんか?コーヒーなどの刺激物を飲んだり食べたりしていませんか?ゆっくり入浴して、落ち着く音楽を聴くなど、気持ちを穏やかにしてから12時にはふとんに入るようにしましょう。

                            

食事は3食きちんと食べましょう。糖質やジャンクフードばかり食べていないでしょうか?特に肉や野菜の含まれたバランスの良い食事を心がけましょう。血液の中性脂肪が高かったり、亜鉛などのミネラル不足でもうつ状態が出ることもあります。

体は動かしていますか?在宅ワークでも1日1回は外に出て、日光を浴びながら20分くらいのウォーキングをしましょう。

このように生活の見直しを2週間試みて、それでも改善がない場合は、精神科や心療内科を受診するようにしましょう。特に睡眠と食欲が改善しない場合は薬を飲んだ方が良いでしょう。睡眠はうつ病を治すために最も重要な要素なので、睡眠薬や安定剤を使ってでも十分な睡眠がとれるようにします。

【休職も視野に】

また、どうしても薬を飲むことに抵抗がある場合や、ハラスメントが改善されない場合は休職するのも手です。そのためにも受診して医師に診断書を書いてもらいましょう。最低で1ヶ月、できれば2ヶ月以上の休職が必要です。

                         

最後に

うつ病の最初の症状が出てから、受診するまでに数年かかったという話もよくあることです。「何とかなる」と思ってずっと我慢してしまうことが多いのです。相当悪くなってから受診して、1年以上休職したり、仕事を辞める人もいます。治療を受けるまでに長くかかった分、良くなるまでも同じくらい長い時間がかかってしまいます。しかし、うつ病は癌のように命を失うような病気ではありません。治療を受ければ必ず良くなりますので、焦らずゆっくり治療を続けましょう。

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