アスペルガー症候群・ASDとADHDの違いって?
更新日:2022年9月12日
発達障害とは、産まれた直後から神経の発達が平均より遅れるようになり、小学生の頃までに問題があることに気づかれます。ただし、軽症の場合は、社会に出てから障害に気づかれる場合があります。これが大人の発達障害です。
そもそも発達障害はどこからどこまでが正常で障害なのか、その境界線がありません。病院で診断のつかないグレーゾーンの人もたくさんいます。グレーゾーンの場合は、障害と捉えるのでなく、肯定的に個性と捉える方が良いかも知れません。自分を無理して変えるのでなく、自分の個性に合った生き方を選ぶことで、生きづらさが改善されてくるでしょう。
大人の発達障害には、大きく分けてアスペルガー症候群とADHDがあります。2つは異なるものなので、自分がどちらの傾向なのかを知ることは必要なことです。
【アスペルガー症候群・ASDとは】
アスペルガー症候群は、相手の気持ちを読み取ることが苦手なため、対人関係に問題が起きやすくなります。営業のようなコミュニケーション能力が必要な職種を選ぶとうまく行きません。仕事を選ぶときは、対人関係の少ないものを選ぶのが良いでしょう。
【ADHDとは】
ADHDは、集中、行動、感情のコントロールが苦手なため、待つことができず、計画的な行動ができません。長く椅子に座っているような事務職につくと、辛い思いをすることになります。仕事を選ぶときは、行動力が求められ、変化のある仕事が良いでしょう。
お互いは異なる障害であるのですが、共通して見られる症状もたくさんあります。例えば、どちらも片付けることが苦手です。アスペルガー症候群の人が片付けられないのは、片付けの段取りが悪いことや、気になった一つのことばかりに集中してしまうことが原因です。手順を決めたリストを作ってもらうと、それに従ってうまくできるようになります。
ADHDの人が片付けられないのは、いろいろなことに意識が行ってしまい気が散ることが原因です。片づける場所を決めたら、タイマーを15分程度にセットし、「タイマーが鳴るまでは片付けだけに集中する」と決めるとうまく行きます。
他にも、時間を守れない、落ち着きがない、感情的になる、なども、両方に見られることがあります。それでは2つはどのようにして区別されるのでしょうか。
今回はアスペルガー症候群とADHDの違いについて説明しましょう。なおアスペルガー症候群は自閉症スペクトラム障害、略してASDと呼ばれることもあります。
【アスペルガー症候群・ASDとADHDの違い】
1 対人関係
アスペルガー症候群の人は、相手の気持ちを読み取ったり、自分の気持ちを伝えるのが苦手で、良好な対人関係をつくれません。相手の事情にお構いなしの無神経な付き合い方や、人と積極的に関わろうとしない人もいます。人が困っているのに、それを理解できないために、平気でその場を去ってしまうこともあります。
会話は一方的で、言葉のキャッチボールができず、話に無駄が多いために要点を伝えられません。言葉を文字通りに理解してしまうため、冗談や遠回しの言い方が通じないこともあります。話し方にも特徴があり、変に難しい言葉を使ったり、場の雰囲気に合わない大人びた話し方をすることもあります。相手の言葉を簡単に信じて騙されやすかったりもします。
ADHDの人も、自分の話をずっとしていたり、早口でおしゃべりのために会話が一方的になることがあります。しかし、相手の気持ちを読み取ることはできるので、対人関係での大きな問題は見られません。
2 変化への適応力
アスペルガー症候群の人は、コツコツを同じことをやり続けるのが得意です。しかし、状況が変わった時、臨機応変に対応することが苦手です。突然の出来事や予定変更にパニックを起こすこともあります。
逆にADHDの人は、飽きっぽいために同じことをやり続けるのは苦痛になります。状況の変化には臨機応変に対応でき、目新しいことに飛びつく傾向もあります。
3 こだわり
アスペルガー症候群の人は、こだわりという症状があり、自分の興味のあることにはのめり込んでしまいます。興味の対象は、ゲーム、アニメ、アイドル、乗り物、ファッション、スポーツ、人によっては仕事である場合もあります。内容はさまざまですが、狭い領域に深く入り込むのが特徴です。家族や生活のことを顧みないで、そこに莫大な時間やお金をつぎ込んでしまいます。
服装、食べるものなどの生活面や仕事のやり方にもこだわりが見られます。効率が悪く、人から指摘されても、自分のやり方を変えられません。
これに対してADHDの人には、こだわりの症状はありません。
4 感覚過敏
アスペルガー症候群の人は、知覚全般に極端な敏感さがあり、感覚過敏と呼ばれています。例えば、ふつうの人には問題にならないような音を騒音のように感じてしまうことがあります。他にも、香水の匂いで具合が悪くなる、明るい照明を苦痛に感じる、人に体を触られることを極端に嫌がる、などが見られます。これに対してADHDの人には感覚過敏は見られません。
まとめ
アスペルガー症候群とADHDの区別の方法を紹介しましたが、稀に両方の要素を持っている人もいます。このような場合は、2つが合併していると考えます。どちらにしても自分が持っている特徴を個性としてよく理解し、働く場所は自分に合った職場を選ぶことが大切です。無理をして自分を変える必要はありません。