燃え尽き症候群になってしまう職場の5つの特徴

 更新日:2023年3月13日

人の体は、食べ物と空気からつくられるエネルギーで動きます。人の心も、情緒のエネルギーで動いているので、栄養が必要です。心の食べ物に当たるのが感動や喜びで、空気に当たるのが日々の安心感です。

感動、喜び、そして日々の安心感から、心のエネルギーが充電されています。しかし、こうした心の栄養をとらずに、仕事に追われる毎日を送っていると、エネルギー切れになり、心も動かなくなってしまいます。スマホの充電を忘れて使っていると、いつのまにか充電切れで動作がおかしくなるのと同じです。これを燃え尽き症候群と呼んでいます。

【燃え尽き症候群になると】

燃え尽き症候群になると、仕事への情熱が消え、いつも疲れを感じるようになります。仕事の効率も悪くなり、同僚やお客さんにも気を配れません。ついには、自分には能力がないと思い込むようになり、自信まで失ってしまいます。燃え尽き症候群は正式な病名ではありませんが、病気になる手前の状態です。放置していると、不安感、うつ気分、不眠症、食欲がなくなるといった症状が出てくるようになります。こうなると、適応障害うつ病と診断されます。

2019年、WHOは、職場のストレスによって引き起こされる悪い健康状態として、燃え尽き症候群を取り上げ、世界中に注意を呼びかけました。それまで個人の働き方の問題として考えられがちであった燃え尽き症候群を、職場のストレスの問題として捉えるようになったのです。個人がいくら努力しても、職場のリーダーがメンタルヘルスに意識を持たないと防ぎようがありません。社員が燃え尽きてしまうのは、あくまでも職場が原因なのです。

それでは、どのような職場が、人を燃え尽きさせてしまうのでしょうか?今回は、社員を燃え尽きさせてしまう職場の特徴を5つ紹介しましょう。

【燃え尽き症候群になる職場の5つの特徴】

1.仕事量が多すぎる

仕事の量が多すぎて、休む暇もない、酷い場合には仕事を家に持ち帰り、プライベートの時間まで奪われてしまう。休日も仕事のことから頭が離れない。これは本来人間のあるべき姿ではありません。

月の残業時間の合計が80時間以上で過労死を引き起こすと言われています。目安としては、1日平均12時間を週5日間働く状況です。実際にこれに近い時間を仕事に奪われている人がいます。このような職場で働いていたら、数ヵ月間で燃え尽きてしまいます。

心には、仕事と休みのよいバランスが必要です。生きがいを感じていた仕事であっても、休みなく、ほとんどの時間を仕事に奪われていては喜びを感じなくなってしまいます。

2.常に時間に追われている

納期やノルマが厳しい職場では、いついつまでに仕事を終わらせるという時間のプレッシャーがあります。時間に追い立てられ、睡眠時間や食事の時間を削る生活は、心を蝕(むしば)んでいきます。仕事の性質上、のんびりしていられない職場もあるかも知れませんが、時間のプレッシャーが長期に続くような場合は、燃え尽きる可能性が高くなります。

3.役割が明確でない

上からの具体的な指示がなく、かといって実績を上げなくてはならず、職場で何をしたらよいのかハッキリしないことがあります。「ともかくやって欲しい」とプレッシャーをかけられますが、仕事内容が明確でないので困ってしまうのです。

また、中間管理職で、上司と現場の意見が食い違い、その板挟みで苦しむことがあります。「やれ!」という命令と、「できない!」という現場の声の間に立たされ、自分の立ち回り方が分からなくなるのです。このような宙ぶらりんの状態が長く続くことは、心に悪い影響を与えます。

4.コミュニケーションの不足

上司や同僚とのコミュニケーションが十分にできないため、職場で孤立することがあります。相談する人がいないとなると、問題を自分一人で抱え込まなくてはなりません。これは燃え尽きの大きな原因となります。コロナ禍で在宅業務が増え、仲間と顔を合わせる機会が少なくなりました。コミュニケーション不足の問題は、どこの職場でも普通に見られるようになっています。

5.正当な評価を受けられない

仕事が好きだからと言っても、努力にふさわしい報酬がなければ心は復活しません。人事や上司から、努力を正しく評価されていない場合、仕事へのモチベーションは下がります。どんなに頑張っても、それが評価されて報われなくては、燃え尽きが起きやすくなるのです。

まとめ

職場から燃え尽きる人が出ているならば、リーダーはその原因を探らなくてはなりません。話し合いの場をもって、社員のやる気が吸い取られている理由を探りましょう。今回紹介した5つの内容のどれかが見つかるに違いありません。ストレスの少ない職場は、離職率、医療費、病欠日数も大幅に減ります。働きやすい職場は、仕事全体の効率も上げ、全体の利益にもつながるのです。

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