インターネット・ゲーム依存症|治療法もご紹介

 更新日:2021年8月2日

  e-SPORTSとしても盛り上がっているインターネットゲームですが、ゲームをやめられなくなり、日常生活に支障をきたす人も増えています。こうしたゲーム依存の状態をゲーム障害と呼んでいます。2019年にWHOでは、依存症の一つとしてゲーム障害を正式な病名として認定しました。

  

ゲーム障害になる基準

 時間にして週30時間以上、1日にすると4~5時間以上をゲームに費やすことで、ゲームへの依存がつくられやすいと言われています。しかし、ゲーム時間の問題よりも、使用のコントロールができなくなり、生活がゲーム中心になり、学校や仕事に悪い影響が出ている場合に診断されます。また、一過性の場合もあるために、ゲーム依存の期間が1年以上続く場合にゲーム障害を診断します。

男性の方が多い

 日本では、中高大学中心に100万人以上が患っており、特に男性が多く、女性の3倍と言われています。ゲームの種類と依存症の関係では、複数プレーヤー参加型ロールプレイングゲーム(MORPG)とシューティングゲームは特に依存性が高いと言われています。

 ゲーム障害は、生活が不規則になり、ゲームに没頭する余りに食事をとらずに栄養失調になってしまうケースもあります。ずっと椅子に座っているためにエコノミー症候群になることもあります。韓国では2002年に24才の青年がオンラインゲームを80時間続けて突然死した事件がありました。

 親が無理やりゲームを取り上げると暴言を吐いたり、暴力をふるうことが多く、心配した親が精神科を受診することがあります。自らは依存であることを認めないことが多いために、本人から受診することは稀です。

 成人して働いている人の場合、課金の問題もあります。課金をしすぎて数百万円の借金をつくり破産するケースもあります。

  

ゲーム障害になる理由

 なぜゲーム障害になるのでしょうか?純粋にゲームに興じているうちに依存になるケースもあれば、ひきこもりでゲームに気持ちの逃げ場を見つけているうちに依存になるケースなど様々です。週に30時間以上をゲームに費やしていると依存になりやすいと言われますが、すべての人が依存症になるわけでなく、ゲーム依存になりやすい性格的・生物学的なタイプがあるようです。

 特にADHDの人にゲーム障害が多いと言われています。ADHDの人は快楽や達成感に関わるドーパミンという脳内物質の神経伝達が不十分であると言われています。ゲームの快楽でこのドーパミンを補給しているのではないかとも考えられています。

治療法

 治療の基本は、納得がいく形でゲーム時間の制限を少しずつ設けて、それができたら評価してあげて、少しずつゲーム時間を減らしていくことです。薬物依存の治療のように完全にやめるのが目標でなく、少しでもゲーム時間を減らし、生活内でゲームの優先度を下げることが目標です。

 ゲームを強引にやめさせるのは良くありません。無理やりゲームをとりあげたことで家族に暴力をふるい警察沙汰になったケースもありますし、自殺未遂をした高校生もいます。すでに依存が形成されている場合は、それを急にやめることで何らかの反動が起きるためです。 

 ゲーム障害の子供の治療を希望する家族には、子供が何のゲームに依存しているのかの名前すら言えない方がいます。まずゲームを話題にして会話をすることが重要でしょう。どんなゲームで、どこが面白いのか、なぜそんなにハマってしまうのか、そこから対話は始まります。

もし聞いても分からないならば一緒にゲームをやってみるのも手かも知れません。ゲームを減らしていく分だけ、家族の対話を密にすることが必要です。それができないようならば、カウンセリングなどで第三者に介入してもらうのも手でしょう。

 しかし、不規則な生活から不登校になったり、栄養失調や家庭内暴力などの問題が出ている場合は入院治療があります。あくまでも入院を通して変わりたいという本人の意志がないと効果は期待できません。

最後に

 「北風と太陽」というような話があります。北風と太陽がどちらが先に旅人のコートを脱がせることができるかを競う話です。北風はビュービューつよい風で旅人を襲いますが、旅人はよけいに寒くなってコートを脱ごうとしません。ところが太陽がポカポカ温めると旅人は暑さのためにすんなりコートを脱ぎました。子供の気持ちを変えたいならば、北風でなく太陽の作戦をとるのが賢いやり方です。

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