うつ病になる気を付けるべき人間関係

 更新日:2022年12月12日

 

人間関係のトラブルは、さまざまな心の病気の原因になります。うつ病パニック症不安症摂食障害など、たくさんの種類の心の病気が人間関係を引き金にして発症します。特にうつ病は、人間関係の影響を大変受けやすい病気です。

最近は、職場でうつ病を発症する人が多く、社会問題となっています。その原因としては、仕事量などの物理的な問題以上に、上司や同僚との人間関係の悩みが多いのです。また、子供のうつ病も増えていますが、これも親子関係、学校の友人関係が引き金になっています。うつ病とは、生きるエネルギーが枯れ果てた状態です。人間関係に悩み、心をすり減らしていると、生きるエネルギーを消耗してしまい、ついにはうつ病になってしまうのです。また、せっかく治療をうけていても、悪い人間関係が続いていれば、治るどころか慢性化してしまうことがあります。

それでは具体的にどのような人間関係がうつ病の引き金になるのでしょうか。今回は、うつ病の原因になる人間関係を5つ紹介しましょう。

 

【うつ病になる5つの人間関係】

1.自分が我慢しないと続けられない関係

例えば、職場の上司が、いつも一方的に要求をしてきて、それを受け入れないと評価をされないような上下関係など、相手が逆らえない立場を利用して、自分のわがままを通そうとする人がいます。時には、暴言などで暴力的に要求することもあります。こうした人との関係を続けることは、自分の気持ちを押し殺す生活となり、長く続けばうつ病になるリスクを高めてしまいます。最近では、ハラスメントとして理解されるようになってきましたが、まだまだ改善されない職場も多いようです。

                                          

また、わがままな夫が、浮気や浪費など好き勝手な生活をして、それを妻に受け入れさせようとする夫婦関係も同じです。妻が気持ちを押し殺して生活しないと、家庭が維持できないのです。不満を表に出さずに、心に押し込めてばかりいると、うつ病になるリスクが高くなります。

2.期待に応えようとして頑張り過ぎる

職場でも家庭でも、相手から期待され、自分でも認められたい気持ちがつよいと、無理をしてでも高い評価を得ようとすることがあります。しかし、つねに無理をしている生活は、心に大きな負担になります。例えば、上司からの評価を気にして、職場でいつも背伸びをしなくてはならない関係、親にほめられたくて、いつも良い子でいなくてはならない親子関係などがあるでしょう。自然体で過ごせない職場や家庭は、心に良くありません。つねに頑張らないとやっていけない生活は、うつ病のリスクを高めます。

3.気持ちを分かってもらえない

最も身近な存在である恋人や配偶者に気持ちを理解してもらえないことは大変辛いことです。実際に、パートナーに気持ちを理解してもらえない関係が長く続くと、うつ病の発症率が2倍になるという調査結果もあります。

                

特に、夫に発達障害がある場合、妻は気持ちを理解してもらえない生活が慢性的に続いてしまいます。発達障害は、相手の気持ちを読み取れない生まれつきの障害のため、努力しても大きく改善されません。妻は、その不満からうつ病を発症することがあり、これをカサンドラ症候群と呼んでいます。

4.介護や医療での人間関係

家族の介護や、職業としての介護や医療は、障害をもっている人に常に優しく接する必要があります。そのために情緒をつかい、心のエネルギーを消耗します。その上、使命感をもって働いている人も多く、自己犠牲的になり過ぎて、いつのまにか自分の心を病んでしまうことがあります。介護や医療に携わる人には、うつ病が大変多くみられるのです。このような情緒の使いすぎによるうつ病は、燃え尽き症候群とも呼ばれています。燃え尽き症候群は、介護や医療だけでなく、学校の先生やサービス業全般にも見られることがあります。

                         

5.暴力やハラスメントを受ける

親やパートナーから暴力を受けることは、体の傷だけでなく、心の傷も受けてしまいます。その上、暴力をふるう人がいる家庭の生活は、いつ被害を受けるか、不安におびえる日々です。これは、戦場でいつ爆弾が落ちてくるか分からない恐怖におびえる生活と似ています。本来、安らぐ場所である家庭で、いつも不安と緊張を感じているならば、心を病んでいくのは当然でしょう。このようなDV被害によるうつ病をDVうつ病と呼んでいます。

                                        

まとめ

人間関係で悩んでいると、多くの場合、親や友人から「逃げたらダメだ」と言われるでしょう。「逃げ回っていたら、心が成長しない」という理屈です。自分でもそう感じている場合もあります。確かに、成長するために、辛いことに向かっていくことが必要かも知れません。しかし、精神医学的に考えると、心が壊れて病気になってしまうような人間関係は、乗り越えるよりもむしろ逃げた方がよいのです。

「逃げるが勝ち」ということわざがあります。自分に不利だと感じたら、むだな抵抗をするのでなく、その場を逃げる方が賢い、という意味です。逃げることは決して悪いことでなく、自分を守るための賢明な作戦なのです。このままでは心が壊れてしまうような人間関係は、無理して続けることはやめて、逃げることを考えましょう。

                                                 

しかし、夫婦や親子など、簡単に別れることができない関係の場合は複雑です。相手にこちらの苦しみを理解してもらい、接し方を変えてもらうべきです。その場合、助けてくれる第三者に入ってもらうことが必要でしょう。すでにうつ病を発症している場合ならば、主治医、カウンセラーなどに仲介に入ってもらうことも可能です。

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