職場で気づかれるADHD 7つのサイン
更新日:2022年7月5日
子どもは本来落ち着きがなく、ジッとしていられないものです。成長に伴い、集中を続ける力や感情を抑える力が発達することで、落ち着きが出てくるようになります。だいたい小学生になる頃には、集団行動や学習に問題がなくなります。
ところが、授業中でもおしゃべりをしたり、座ってられずに歩き回ったりする子どももいます。これは、神経の発達が遅れているために、学校生活に支障が出ているのです。これを注意欠如多動症、略してADHDと呼びます。成長に従い、多動の症状はだいたい良くなっていき、「落ち着きがない」、「待てない」程度になります。「不注意」の症状は大人になっても残ることがあります。
軽症の場合は、学校生活で問題なくても、社会に出てから気づかれることがあります。これを大人のADHDと呼んでいます。「不注意」、「落ち着きがない」、「待てない」という症状により、さまざまなトラブルになるケースもあります。特にチームプレイの必要な職場では、仕事に支障が出てしまうことがあるでしょう。
今回は、職場で気づかれるADHDのサインを7つ紹介しましょう。
【動画での解説はこちらから】
【職場で気づかれるADHDの7つのサイン】
1 実行力はあるが、飽きやすい
ADHDの人は、いろいろな考えが次から次へと湧いてきます。アップル社の創業者であるスティーブ・ジョブスのように、アイデアマンとして成功している人もいます。しかし、待つことができないために、思いついたことを十分検討せずに実行します。そのために問題にぶつかったり、周囲と歩調が合わなくなることがあります。
それでも粘り強く続ければ結果が出てくるのでしょうが、コツコツと努力することが苦手なため、往々にして途中で放り投げてしまいます。周りからみていると実行力はあっても、すぐ挫折するように誤解されるでしょう。
2 計画が苦手
何事も好きなこと、関心のあることから始めてしまい、嫌なことは後回しにします。仕事でも、重要なことから優先順位をつけて実行することが苦手です。飽きっぽさも手伝って、計画的に物事を進めることができません。全体としては効率が悪くなり、納期のある仕事では問題が起きることがあります。特に長期的なプロジェクトには向いていません。
3 単純な事務作業が苦手
不注意から、誤字脱字などの入力ミス、計算ミス、提出する書類ミスなどがあります。事務的な細かい作業は全般に苦手です。また、飽きっぽいこともあり、目新しいことには意欲的ですが、ルーティーンの仕事には、すぐにやる気をなくしてしまいます。
ADHDの人は、事務、経理、プログラミング、設計などの仕事には向いていません。
4 転職を繰り返す
飽きっぽいことから一つの仕事を続けることが苦手です。1~2年おきに必ず転職する人もいます。しかし、子どもの頃から飽きずにやっていることもあるはずなので、これを仕事に選ぶと長続きする可能性があります。例えば、筋トレが好きならばスポーツ関係、ファッションが好きならばアパレル関係の仕事などを選ぶと良いでしょう。
5 会議が苦手
ADHDの人に最も向いていない場所が会議です。刺激が少ないと集中力が落ちてしまい、飽きてしまいます。人の話を長時間、黙って聞いていられないのです。
会議中は貧乏ゆすりや手で顔をいじって落ち着きません。長い説明を聞くのが苦痛で、すぐ結論を知りたがります。不注意のため、会議の後は内容を勘違い、聞き違いしていることもあります。
6 整理整頓ができない
デスクの上が文房具や書類の山になってしまい、散らかっています。飲みかけのペットボトルやお菓子の袋が置きっぱなしのこともあります。何事もやりっぱなしで、元にあった場所に戻さず、いらないものを捨てないことが大きな理由です。そのために使いたい時に必要なものが見つからず、いつも探し物をしている印象を持たれてしまいます。
また、不注意から、部屋の電気の消し忘れ、鍵のかけ忘れ、会社の備品の紛失なども見られます。
7 お金の管理が苦手
待てないことから、欲しいものにすぐお金を使ってしまいます。他に使う目的のお金でも、後先(あとさき)を考えずに欲しいものに当ててしまうことがあります。お金を貯めることも苦手です。経営者がADHDの場合は、会社の存続に関わる重要な問題なので周囲のサポートが大切です。
まとめ
職場で目立つADHDの特徴を紹介しましたが、これらを長所にして成功している人はたくさんいます。「不注意」という症状は、「直観的で創造力がある」、「切り替えが早い」、「適応力がある」と言い換えることも可能です。また、「落ち着きがない」「待てない」という症状は、「仕事が早い」、「チャレンジ精神がある」、「コミュニケーション能力にたけている」と言い換えられるでしょう。
ただし、症状によりトラブルが多い場合は、治療薬があります。悩んでいる場合は精神科を受診してみましょう。薬によっては専門医しか処方できないものがありますので、受診の前に確認してください。