EAP 導入率

 更新日:2021年10月9日

  企業におけるメンタルヘルス対策が注目される中、EAPを導入する企業も増えてきております。職場で過度なストレスや不安症状、うつ状態などのメンタル不調を抱えたまま仕事をすることで、業務パフォーマンスが落ちたり、ミスが多くなったりし、企業としての業績も落ちていきます。

また、休職者、退職者がでてしまうことで損失も計り知れません。

        

【EAP導入率】

 アメリカでは、8割近くの企業でEAPを導入していると言われており、従業員数が5人以上の企業ではほとんどの企業で導入されていると言われております。日本では、まだまだ少なく、今後グローバル化が進むにつれて、日本でも多くの企業でEAPの導入が進むと考えられます。

 EAPには内部EAPと外部EAPがあります。内部EAPは自社で産業医やカウンセラーを雇用し、メンタルヘルス対策を行うもので、外部EAPは外部の専門機関に委託するというものです。

アメリカは基本的に外部EAPです。内部EAPは、自社で専門家を雇用もしくは契約しなくてはいけないことから、費用面で多くの中小企業が実践するには難しいため、今後の日本でも外部EAPの必要性が高まっていくでしょう。

 日本はアメリカと異なり、産業医制度というものがあり、事業所が抱える労働者が50名以上の企業では、産業医の選任が求められます。

    

厚生労働省の指針では、メンタルヘルス対策の推奨において、次の4つのケアを必要としています。

1.セルフケア

2.ラインケア

3.事業場内産業保健スタッフによるケア(内部EAP)

4.事業場外資源によるケア(外部EAP)

つまり、内部EAPと外部EAPどちらも導入することを推奨しております。

内部EAPの特徴として、社内に専門家がいるため、すぐに相談・対応が行えることがメリットとしてあげられます。社内に専門家がいるため、職場の状況を考慮しての職場改善や従業員対応が行えます。

          

外部EAPは外部に対応機関があるため、従業員の相談のしやすさがメリットとしてあげられます。そのため、社内のカウンセラーには相談できなかったが、外部のカウンセラーには相談できるというケースも多くあります。また、外部EAPではメンタルヘルスに関する専門家が連携を行っており、専門性が高いのが特徴です。

 日本では産業医制度があるので、産業医制度を土台としながら、EAPを活用し、メンタルヘルス対策をより強固なものにしていくと良いでしょう。産業医の中には、メンタルヘルス分野を苦手とする方もいます。外部EAPを導入することで、メンタルヘルス分野で産業医をサポートしていけることが期待できます。

        

【EAP利用率】

 従業員のEAPの利用率は3~10%であると言われております。しかし、一般的に職場でストレスを感じているという報告は、働く人の6割にもおよぶ調査があることから、EAPの利用率を上げていくことが課題となっています。

一般的に従業員が少ない企業でのEAPの利用率が下がると言われています。これは、ストレスが低いというよりも、EAPを利用したことが社内で知られてしまうのを心配しているのが理由です。

外部EAPは外部機関に相談機関があることから、内部EAPよりも従業員が利用しやすいと言われています。それでもEAPを利用することに抵抗がある人が多いようで、今後もEAPの利用率をあげていくことが必要であると言えます。

しかし、EAP利用率が低いことが一概に悪いことかと言うとそうではありません。職場によってストレス度合いは異なります。健康的な職場であれば、利用率が下がるのは当然のことで、職場環境が良いというサインの可能性もあります。

実際にストレス度合いが高いのに、利用率が低いのか、ストレス度合いが低くて、利用率が低いのかを把握することが必要になります。職場のストレス度合いをチェックするにはストレスチェックが適しており、集団分析を行うことで職場の状況を把握することができます。

ストレスチェックをうまく活用し、自社が健康的な職場であるかどうかを確認しながら、EAPの利用率を見ていくことが大切です。

            

 EAPはすぐに効果が出るものではありません。導入してから数年の期間が必要です。その際に従業員がEAPをより利用しやすくできるよう、EAPの委託先と相談しながら、改善を図っていくことが大切です。

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