心の病気の11の初期症状

 更新日:2023年4月4日

少し前まで、心の病気になる人は、心が弱い人というイメージがありました。カウンセリングや精神科に通うことは、カッコ悪いとも思われていました。しかし、1980年代くらいから、心の病気は、脳の働きの問題が大きく、薬の治療がよく効くことが分かって来ています。

また、著名人が心の病気をカミングアウトすることにより、心を患うことは特別なことでないことも理解されるようになりました。2011年から、厚労省では、癌、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病の4大疾患に精神疾患を加えて、5大疾患と呼んでいます。この中でも、最も患者数が多いのが精神疾患です。心の病気は誰にでも起こりうることなのです。

そうは言っても、心の病気は気の持ち方と考える人もたくさんいます。怠けと勘違いされて、家庭や職場で追い詰められてしまう話もよく聞きます。早めに治療をしていれば良くなったものを、放置して慢性化することはとても多いことです。早く対処すれば早く回復しますし、対処が遅れれば回復にも時間がかかり、最悪の場合、生涯にわたり治療が必要になるケースもあります。

ですから、心の病気がどのようにして始まるか、初期の症状を知っておくことはとても大切なことです。今回は、心の病気初期症状を紹介しましょう。これらが出たら悩みや怠けではなく、病気を疑いましょう。早めに休むなり、治療を受けた方がよいサインです。

【心の病気11の初期症状】

1.睡眠・食欲の異常

心の病気のほとんどは、辛いことや心配事が重なる中、少しずつ心をすり減らしていき、ついに限界がきて発病します。同時に、脳の中でも異常が起きています。辛いことや心配事が続いていると、何かあるとすぐに反応できるように、脳は警戒モードとなってしまうのです。これを脳の覚醒状態と呼びます。休もうとしても「眠っている場合じゃない!」、食事をとろうとしても「食べている場合じゃない!」と、脳から常に命令が出るのです。ですから、ほとんどの心の病気の初期症状として、不眠症や食欲の低下が見られます。

また、脳の覚醒状態が続いていると、何かのきっかけでスイッチが切れたように、鈍感な状態になることがあります。脳の活動が抑えられているので、覚醒とは真逆の抑制状態です。そうなると、いくら寝ても1日中眠く、お腹がすいて、たくさん食べようとします。仮眠、過食の状態です。どちらにしても、睡眠と食欲の異常は心の病気の一番の目安となる症状です。

2.元気が出ない

誰でも辛いことがあれば、気分が落ち込み、仕事や勉強に集中できなくなるのは珍しいことではありません。しかし、それが2ヶ月以上も長く続く場合は心の病気を発症しているかも知れません。気分の落ち込みというとうつ病を考える方も多いと思いますが、元気がなくなるという症状は、統合失調症や不眠症など、あらゆる心の病気の初期症状でもあります。逆に、元気がありすぎるのも問題です。気分が高揚して落ち着きがなく、浪費をしたり、すぐに感情的になって怒ったり、といったことが1週間以上続くならば、躁状態です。これは双極性障害の症状です。

3.原因不明の体調の悪さ

心の病気は、自律神経が失調するために、さまざまな体の症状も現れます。疲れがとれない、微熱、胃腸障害、頭痛や腰痛などの痛みなど、内科で体調不良を調べても、大きな異常が見つからない場合は、背後に心の病気が隠れているかも知れません。

4.職場や学校へ行けない

連休明けなどから、職場や学校へ行けなくなる人がいます。直接的には、腹痛、頭痛、血圧の低下など、さまざまな体調不良が原因ですが、実際には、心が職場や学校に拒絶反応を起こしているのです。体調の悪さが辛いために、心の状態を言葉でうまく説明できませんが、背後に心の病気が隠れています。適応障害、うつ病、社交不安症、統合失調症など、さまざまな心の病気の可能性が考えられます。

5.イライラして怒りっぽい

例えば、家族の言葉、ドアを開け閉めする物音など、ちょっとした出来事にイライラして怒ってしまうことを易刺激性(いしげきせい)とか易怒性(いどせい)と呼びます。それまで穏やかだった人が、すぐに怒るようになったら心の病気の疑いがあります。うつ病、統合失調症、双極性障害などの可能性が考えられます。

6.不安や恐怖

不安と一言で言っても、人によって感じ方は違います。不安とは、「このままではいけない」という心の警報です。人によって感じ方、表現の仕方はさまざまです。「心配でたまらない」、「いてもたってもいられない」、「気が狂ってしまう」、「血の気が引く」、「胸がキューと締め付けられる」、「心臓がバクバクする」、「呼吸がしにくい」「いくら水を飲んでも喉が渇く」。どれにしても、日常生活に支障が出るならば病気と考えましょう。不安症、うつ病、統合失調症の可能性があります。

不安が発作のように出る場合は、パニック症の疑いがあります。また、人の視線に不安や恐怖を感じ、人前に出られなくなるのは、社交不安症という病気です。

7.嫌なことが頭から離れない・確認行為

楽しいことが、いつも頭に浮かんでいるならば幸せです。ところが、「泥棒に入られる」「事故にあう」「火事になる」「家族に不幸が起きる」など、嫌な考えやイメージが1日中浮かんでくるならば、うつ病や強迫症の疑いがあります。浮かんでくる考えやイメージを強迫観念(きょうはくかんねん)と呼んでいます。

強迫観念があると、それを打ち消すために確認行為を繰り返すことがあります。例えば、「バイ菌で病気になる」という強迫観念があると、菌を洗い流すために、何時間も手を洗い続けることがあります。他にも、鍵の開け閉忘れや電気の消し忘れの確認、財布やスマホを忘れていないかの確認などが増えてくるのも、心の病気のサインです。

8.人に見られている感じがする

教室、職場、電車の中で、なぜかみんなからジロジロ見られている感じを被注察感(ひちゅうさつかん)と呼びます。変に注目を浴びているようで、とても気持ちが悪い感じです。コソコソ悪口を言われているような気もします。緊張が重なり、脳が敏感になり過ぎていると起きる現象です。統合失調症や薬物依存に見られる症状です。

9.誰もいないのに声がする

誰もいないのに、人の声が聞こえることを幻聴と呼んでいます。実際に人が話しているように聞こえる不思議な現象です。ほとんどの内容は悪口で、自分しか知らないような秘密の内容を話してくることもあります。また、声とまでは言えなくても、自分のものでない思いが心に入ってくる場合もあります。強迫観念に似ていますが、明らかに自分の考えではありません。どちらにしても、こうした現象は、孤独で、周りから隔離されたような状態で起こると考えられています。統合失調症や解離症に見られる症状です。

                  

10.やりたくないのに、やってしまう

統合失調症、解離性障害では、幻聴や湧いてくる思いに操られて、やりたくないのにやってしまう、という症状があります。例えば、スーパーの前を通ると、突然「りんごを買え」という声が聞こえ、それに逆らえずにリンゴを買ってしまいます。自分や人を傷つけたり、犯罪行為になる場合もあるので、大変危険な症状です。

11.やめたいのに、やめられない

「肝臓の数値が悪いのにお酒がやめられない」「借金してまでもギャンブルをする。やめたいのに、もしくは、やめなくてはいけないのに、やめられないのは依存症です。依存症としては、アルコール、薬物、ギャンブル、ネットゲームが代表的ですが、それ以外にも買い物、食べ物などの依存症もあります。

まとめ

心の病気の初期症状を紹介しました。これらは、怠けや気のせいではなく、病気のサインです。放置していると慢性化するかも知れません。心の病気は誰でもなる可能性があります。人や病院に助けを求めることは恥ずかしいことではありません。心のSOSを無視しないで、早めに治療を受けるようにしましょう。

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