過敏性腸症候群とは

 更新日:2021年11月26日

電車に乗ると腹痛と便意をもよおし、次の駅でトイレにかけこむという病気があります。ドアが閉まったとたんに腹痛が始まり、次の駅に止まるまでの間、痛みと便意をこらえて冷や汗が出ることもあります。内科に行って大腸カメラなどの精密検査をしても大きな問題がありません。

                 

悪化すると、トイレに行けることが保証されない限り乗り物に乗れなくなります。さらに、学校や会社へ行けなくなり、ひきこもりの原因になることもあります。

これは腸の病気ではなく、過敏性腸症候群という自律神経系の病気です。

今回は過敏性腸症候群について説明します。

【動画解説はこちら】

【過敏性腸症候群とは】

過敏性腸症候群は乗り物だけでなく、テスト、発表、仕事で大切な人と会う、などの緊張する場面でも起こります。大切なテストが腹痛で集中できなかったり、発表中に便意をもよおして辛い思いをします。このような腹痛と下痢がおきる「下痢型」だけでなく、腹痛と便秘という「便秘型」もあります。テストや発表の日が近づくと便秘になり、お腹が張って痛みもあるのですが、便が出ません。なんとか出たとしてもウサギのフンのようなコロコロした小さな硬い便です。

さらに「下痢型」と「便秘型」の両方が混じっている「混合型」というものもあります。

【脳と腸は密接につながっている】

脳と腸は、自律神経やホルモンで密接につながっています。これを「脳腸相関」と呼び、脳の状態は腸へ影響を与え、また腸の状態も脳へ影響を与えています。ストレスから脳の緊張状態が続くことで異常な命令が腸に伝わり、下痢や便秘を繰り返してしまいます。これが過敏性腸症候群の正体と言われています。

【過敏性腸症候群とうつ病】

過敏性腸症候群は、うつ病が原因で起こることがあります。心の状態が腸に敏感に現れるのです。下痢や便秘が続いて内科で調べても異常が見つからず、精神科を紹介され、過敏性腸症候群といっしょにうつ病も診断されるケースもあります。

【治療法】

治すためには、原因となるストレスをとることが必要ですが、テストや発表は避けられるものではありません。ましてやストレスの原因が職場の場合、すぐに退職することができません。まずは、生活習慣を見直すところから始めましょう。

規則正しい生活を心がけ、その人によって下痢を起こしやすい食べ物があるので、それを控えましょう。特に脂っこいもの、香辛料などの刺激物、コーヒーお酒などが多いようです。また、食物繊維が多く含まれたものやヨーグルトなどの発酵食品は多く取るようにしましょう。食事だけでなく、運動や睡眠も大切な要素です。

しかし、子供の頃から胃腸が弱い人がいるように体質的な原因もあるため、生活習慣の改善だけでは良くならないこともあります。下痢のためにテスト前は食べられない、乗り物に乗らなくなる、と生活が縛られるようでしたら積極的に薬を使いましょう。

下痢型の場合、ドラッグストアで「ストッパ」などの下痢止めが売っています。便秘型は「コーラック」などの下剤を使う人が多いようです。「ビオフェルミン」などの整腸剤はどちらのタイプにも効くことがあります。薬の量が増えない限りは、薬に頼るようにして、外出先でお守り代わりに持っているだけでも安心につながります。

市販の薬が効かなかったり、量が増えてしまう場合は病院を受診しましょう。内科では、「セレキノン」、「イリボー」、漢方薬などの胃腸薬が処方されます。下痢型で痛みがつよい場合は、「トランコロン」などの即効性のある薬も処方されます。

【重症の場合】

重症の場合は抗うつ薬、特にSSRIや三環系抗うつ薬が処方されます。不安で乗り物に乗れない、学校や会社へ行けない、と生活に支障が出ている場合は精神科や心療内科で治療を受けるのが良いでしょう。背景にうつ病がある場合もあります。

軽症でも重症でも過敏性腸症候群の治療は長くかかりますので、焦って薬をやめないことが大切です。

まとめ

過敏性腸症候群は大事なイベントが排便の事情で台無しになってしまう病気です。進学や就職にも影響が出ることもあります。また、過敏性腸症候群の背後にうつ病が隠れていることもあります。生活が縛られ、市販薬でも対処できない場合は、早めに治療を受けられることをお勧めします。

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