ストレスチェックによる職場解析
更新日:2021年6月26日
最近、職場でストレスチェックを受けている方も多いと思います。ストレスチェックは、受けた方のメンタルヘルスの状況が数値で出てくるという画期的なものです。
実はそれだけでなく、個人のデータをまとめて解析することにより、職場全体のストレス状況も数値で出すことができます。そこから職場をより働きやすい健康的な場所にするための改善点を見つけ出すことができるのです。
ストレスチェック職場解析の基本的な見方
職場解析でまず見るべきことは、職場の高ストレス者の数です。
ストレスチェックでは、全国的でストレスが高い上位10%の人の数値を基準にして、高ストレス者を決めています。ですから、どの職場でもストレスチェックによって10%前後の高ストレス者が出てくるようになります。
しかし、その職場で10%を超える数の高ストレス者が出た場合は、平均よりも高ストレス者が出やすく、それだけストレスがつよい職場と考えられるでしょう。この場合は、このようなストレスがつよい状況が何からきているのかを分析して、改善させるべきでしょう。
職場のストレスに影響を与えるもの
まずあげられるのが、仕事の多さでしょう。仕事の量が多すぎて残業が絶えない、休暇を取る暇もない、これは大きなストレスとなります。仕事の量というものが職場のストレスと大きな関係を持っているのです。
しかし、どんなに仕事の量が多くても、その仕事が簡単な仕事であったらストレスは少ないでしょう。また、いかに仕事が少なくても、それが大変難しい仕事であったらストレスは多いでしょう。このように仕事には量だけでなく、質の問題もあるのです。
ストレスチェックでは、仕事の量と質の問題からくるストレスの影響を職場ごとに数値化することができます。これを健康リスクAと呼びます。仕事の量が多いほど、そして仕事の質が難しいほど、その職場のストレスはつよくなり、健康リスクAが上がります。
※図:「ストレスチェック制度を利用した職場環境改善スタートのための手引き」:厚生労働省「こころの耳」HPから引用
職場の人間関係
仕事上の努力や成果を上司が認めてくれて、上司との信頼関係があれば、大きなやりがいになります。逆に上司からパワハラを受けたりしていると職場は居心地の悪い場所となり、ストレスがつよい職場になります。
また、同僚との良好なコミュニケーションがとれて、チームプレーができていれば働きやすい職場でしょう。逆に同僚と歯車が合わなければ、ストレスがつよい職場になります。
ストレスチェックでは、職場の人間関係からくるストレスの影響を職場ごとに数値化することができます。これを健康リスクBと呼びます。上司との関係、同僚との関係が悪い職場ほど、ストレスが多くなり、健康リスクBが上がります。
図:「ストレスチェック制度を利用した職場環境改善スタートのための手引き」:厚生労働省「こころの耳」HPから引用
総合的な職場ストレス
以上のように職場のストレスに影響を与えるものに仕事の量・質の問題と人間関係の問題があり、それぞれをストレスチェックで健康リスクAとBで数値化しています。そして、健康リスクAとBを掛け合わせることにより、総合的な職場ストレスが数値として出てきます。これを総合健康リスクと呼びます。
総合健康リスク、健康リスクA、Bは、全国の職場の分布と平均が出ています。それと比較することによって他社と比べた職場のストレスが判断できます。これが平均よりも大きい場合は、よりストレスが多く、うつ病の発症など健康を害する人が多く出てしまうことになります。
解析結果にはどれくらい健康リスクが高いかがポイント単位で数値表記されます。例えば、「総合健康リスクが15ポイント高い」などのように報告書に書かれています。これは「うつ病などで健康を害してしまう人が、平均的な職場よりも15%多く出やすい」ということを示しています。
万が一悪い結果が出た場合は、職場の状況をきちんと見直す必要があります。まずAとBどちらの健康リスクが高いかと確認しましょう。
健康リスクが高い職場は仕事の量や質を見直すべきであり、健康リスクBが高い職場は人間関係を見直すべきであることが分かります。
まとめ
高ストレス者がそれほど多くない職場であっても安心してはいけません。現在のところ高ストレス者が少ない職場でも、健康リスクが高い場合もあるのです。どの職場も必ず健康リスクを確認しましょう。高い健康リスクを放置していると、これから将来的に高ストレス者が出てくる可能性があるのです。
以上、ストレスチェックの職場解析の基本的なところを説明しました。ストレスチェックはただ実施するだけではいけません。集計結果をうまく職場改善にいかし、ストレスチェックをより有意義なものにしましょう。