ストレスチェックの見方|受検を有意義にするために
更新日:2021年6月15日
50名以上の事業所でストレスチェックが義務化されているため、毎年ストレスチェックを受けている方も多いと思います。せっかく受検したにも関わらず、ストレスチェックのプロフィール表の見方がよく分からず、結果のコメントだけを読まれていることはありませんか?
ここでは標準型のストレスチェックのプロフィール表の見方のポイントを説明します。
【ストレスチェックの見方】
ストレスチェックは全部で57項目の質問でできています。これらの質問は大きく分けて
1. ストレスの要因に関する項目(17問)
2. 心身のストレス反応に関する項目(29問)
3. 周囲のサポートに関する項目(9問)
4. 満足度についての項目(2問)
の4つに分かれています。
〈1のストレス要因に関する項目〉
1のストレスの要因に関する項目は、仕事量が多すぎないか、仕事をコントロールして処理できているか、など職場のストレスの状況についてチェックしています。合計点が高いほど健康的な職場であり、合計点が低いほど職場のストレスが多いことになります。
レーダーチャートで見た場合は、全体に輪が外に大きくなっている方が健康的な職場になり、小さな輪になっているほどストレスが多い職場です。
〈2のストレス要因に関する項目〉
2の心身のストレス反応に関する項目は、ストレスによりすでに体調が崩れていないかをチェックしています。点数が多いほど健康的であり、点数が少ないほど、すでにストレスにより何らかの影響を受けていることを示しています。この項目が12点より低い場合は、うつ病などのストレスによる病気をすでに発症している可能性が非常に高くなります。
レーダーチャートで見た場合は、全体に輪が外に大きくなっている方が健康的で、小さな輪になっているほど健康が害しています。
〈3のストレス要因に関する項目〉
3の周囲のサポートの状況に関する項目は、上司や同僚で支え合って仕事ができているかをチェックします。上司や同僚の支えは仕事量によるストレスを緩和させてくれます。数値が高いほど支えがあり、数値が低いほど支えがないことになっています。
レーダーチャートで見た場合は、全体的に輪が外に大きくなっている方が支えが多く、小さな輪になっているほど支えが少なくなっています。
1のストレス要因に関する項目が低く出て、仕事量のストレスが多い状況でも、この数値が高ければ全体のストレスは相殺されていることになります。しかし、逆にハラスメントやいじめがあると、この数値は低くなり、仕事量によるストレスが解消されるどころか職場ストレスをさらに悪くさせます。
1のストレス要因に関する項目と3の周囲のサポートの状況に関する項目の合計が26点以下の場合は仕事量が多く、周囲の支えも少ないストレスがつよい職場であると言うことができます。
【結果で注意するべき人】
それでは、ストレスチェックの結果でどういう人が注意したら良いのかというと、次の2つのどちらかに当てはまる方です。
①ストレスの影響で心身に異常が出ている人
②職場のストレスが多いために、今後何らかの心身の異常が出る可能性のある人
です。これらを合わせて高ストレス者と呼びます。
すでに心身に異常が出ている人というのは、2のストレス反応に関する項目で12点以下の人です。この場合は、自律神経失調症、うつ病、適応障害などストレスによる心の病気にかかっている可能性があります。高ストレス者でも特に注意しなくてはならない人たちでレッドカードと言えるでしょう。
このまま仕事を続けていると、状態はさらに悪化し、病気が重症化や慢性化する可能性もありますので、仕事を減らす、もしくは休職するなどの対応を考えた方が良いでしょう。そのために産業医面談を受けられ、相談することが必要です。産業医面談を避けたがる方も多いようですが、健康状態にすでにレッドカードが出ているわけですから、必ず面談を受けるようにしてください。
職場のストレスが多いために、今後何らかの心身の異常が出る可能性がある人とは、2のストレス反応に関する項目が17点~12点の人で、1のストレス状況に関する項目と3の周囲のサポートに関する項目の合計が26点以下の場合です。
すなわち、ストレス反応は危険ラインにはギリギリ届いていないけれども、この職場の仕事量が多い上に、上司や同僚の支えが不足しているために、この状況で働き続けていると健康を害する可能性が非常につよい状況です。イエローカードと言えるでしょう。
この場合も高ストレス者と判断され、産業医面談をすすめられると思いますが、まだまだ大丈夫と甘く見ずに積極的に面談を受けましょう。どうしても産業医面談を躊躇してしまう場合は社外窓口などで相談するのも良いかもしれません。
ストレスチェックは個人の状況を知るだけでなく、受けた方たちのデータを総合して分析し職場全体のストレス状況を客観的に知ることができます。これをもとに職場の改善をすすめることができます。例えば、職場全体で仕事量は適切なのか、残業の原因は何か、部署ごとのストレスの片寄りはないか、どのような人間関係に問題があるのか、こうしたことを調べることができます。
まとめ
ストレスチェックの意味を少しでも理解していただけたでしょうか?
質問量が多く、毎年やっていることで新鮮味もないかも知れませんが、多くの情報を得ることができ、職場の状況に反映させることができる有力なツールです。ぜひ積極的に受検することをお勧めします。