産業医面談って意味ないの?
更新日:2024年7月20日
今まで産業医面談を受けたことがある方で、その意義をあまり感じなかった方もいるようです。産業医面談には、どのような意味があるのでしょうか?
⇒ブログ:【ストレスチェック後の産業医面談を受けない人が多い?】
産業医面談を必要とするケース
・ストレスチェックの高ストレス者判定が出た際
・休職、復職を判定する際
・健康診断結果に何か問題があったとき
ストレスチェックで高ストレス判定が出て、産業医面談を受けた際に、「うつ病の可能性があるので、近くの精神科に行って、診察を受けてください。」と言われることがあります。
この時に、ここでは、「治療してくれないの?」と思われる方が多いようです。
実は産業医は主治医にはなれません。仮にそこでうつ病の可能性があったとしても、その労働者の治療を行うことはできないのです。こうしたことから、労働者が産業医面談に対して意義を感じられなかった方が出てしまうようです。
産業医がしてくれること
①精神科に通院するか判断してくれる。
高ストレス判定が出たからと言って、その労働者が病気で休職が必要なわけではありません。産業医はその労働者に治療が必要かどうかを判定してくれます。
②働き方の助言をくれる
ストレスがつよいので、働き方を見直した方が良い場合、その助言をくれます。この助言は、職場の状況を知っていないとできないことです。主治医ではできません。産業医は、職場巡視や衛生委員会などの参加、会社側の担当者と連携をとっているために、職場事情に詳しく、その職場にあった働き方を助言してくれます。
③休職する際、復職する際の判断
主治医からは働いても大丈夫と判断されたとしても、産業医が休職した方がよいと判断する可能性もあります。それは職場状況を考慮しての判断です。仮に職場が繁忙期であった場合、そのまま働き続けてしまうと、状態をさらに悪くする可能性もあります。「繁忙期が落ち着くまで」、「もう少し体調が戻るまで」など休職をすすめるケースもあります。
また復職の場合も同様に、主治医から復職しても大丈夫と言われた場合でも、職場状況を考慮して、OKを出さないケースもあります。
④会社側に指導してくれる
仕事状況は、自分の力だけでは、変えられないことが多くあります。その場合、職場に伝えてほしいと言えば、産業医が職場側に指導を入れてくれます。平成8年の安衛法の改正により、産業医の権限が強化され、産業医は統括安全衛生管理者に対して指導・助言ができます。また、会社に勧告した際に、会社の安全衛生配慮義務を支援することが求められているので、産業医から勧告を受けた場合、職場改善をすることが会社側に求められます。
まとめ
労働者側からした場合、実際に治療をしてくれるわけではないので、産業医の存在にあまり意義を感じない方も多いようです。しかし、実際の治療ができないからこそ、会社側と労働者との中立的な立場を維持し、職場の状況を考慮した上で、判断してくれるのです。産業医は労働者の社内での立場や健康を守ってくれます。ぜひ産業医面談を利用しましょう。
【その他参考ブログ】
・「産業医制度とメンタルヘルス対策~適切なメンタルヘルス対策を行うために」
・「産業医と精神科医」