仮面うつ病6つのサイン

 更新日:2022年10月25日

 「土日にゆっくり休んでも、いくら寝ても疲れがとれない。何かの病気かと心配して病院に行き検査をしても異常がないと言われた・・・。」もしかするとこれは仮面うつ病かも知れません。

                  

  

【仮面うつ病とは】

そもそもうつ病にはさまざまな体の症状があるのですが、体の症状だけが目立って、気分の落ち込みなどの心の症状が隠されていることを仮面うつ病と呼んでいます。

          

 うつ病とは、生きるエネルギーが枯れてしまった状態です。気分は落ち込み、何かをしようとする気力がなくなります。脳の活動に異常が出るために、自律神経を通じてさまざまな体の症状もでます。倦怠感、頭痛、腰痛、胃腸障害、動悸など、数え上げたらきりがありません。

こうした体の症状が仮面のように心の症状覆い隠してしまうのが仮面うつ病です。うつ病には体の症状がたくさんあるため、仮面うつ病の症状も多彩です。どのような体の不調でも、検査で異常を見つけられず、同時に気持ちの落ち込みを感じているような場合は、仮面うつ病の可能性があります。

⇒ブログ:【うつ病と体の痛み

 仮面うつ病は正式な病名ではありません。あくまでもうつ病であるのですが、体の症状をつよく感じてしまい、心症状を感じにくいということなのです。体の症状を治そうとしても薬はあまり効かず、うつ病の治療を行うことで改善します。

今回は仮面うつ病のサインを6つ紹介しましょう。

【仮面うつ病6つのサイン】

1 休んでも倦怠感がとれない

 「ダル重(おも)」とつぶやきながら、ベッドにズブズブと沈み込んでしまうアリナミンのコマーシャルを見たことがあると思います。まさにこのような状態が2週間以上続き、検査をしても異常が見られない場合は、仮面うつ病の可能性があります。37度前後の微熱が伴うこともあります。疲れ、慢性的な肩こり、1日中眠気がつよいために、気分の落ち込みなどの心の症状は目立ちしません。しかし、「疲れているから、気分の落ち込み、面倒なことを避けてしまう」と、疲れが原因で心の症状があると訴えます。

 似たような状態に、「慢性疲労症候群(まんせいひろうしょうこうぐん)」という病気があります。ウイルスの感染などの後に起こるもので、倦怠感だけでなく、リンパ節の腫れ、炎症反応、ホルモン異常なども見られます。仮面うつ病と慢性疲労症候群は区別がつけにくいのですが、治療方法はほぼ同じで、共に抗うつ薬を使います。

2 腰痛、頭痛などの慢性の痛みが治らない

 「頭痛で頭痛薬が手放せない」、「腰痛で何もしたくない」など、内科や整形外科で大きな異常がないのに、体の痛みが長く続く場合は仮面うつ病の疑いがあります。子供の不登校で、「頭が痛いから学校へ行けない」「お腹が痛いから今日は休みたい」と訴えることがありますが、これは背後にうつ病が隠されていることがあります。仮面うつ病で痛みがある場合、「痛みのせいで、気分が落ち込み、何もやる気がしない」といった感じで、痛みが原因で心の症状が出ていると訴えるのが特徴です。

           

 似たような状態に、「繊維筋痛症(せんいきんつうしょう)」があります。全身に激しい痛みが出る、原因不明の病気です。全身のいたるところに起こる激痛がうつ病と区別する点です。線維筋痛症も抗うつ薬による治療を行います。

3 内科で異常がないのに胃腸障害が続いている

 食欲がなく、体重が減り続けているのですが、病院で検査をしても異常がない場合、仮面うつ病の疑いがあります。また、下痢や便秘を繰り返すので、内科を受診すると、過敏性腸症候群と診断されることがあります。これも背後にうつ病が隠されている可能性があります。うつ病の治療を行うことで改善されて行きます。

4 動悸、息苦しさ、めまい

 心臓や肺などの胸の症状も、仮面うつ病でよく見られます。動悸、胸の圧迫感、息苦しさがあると心臓病かと慌てますが、内科で心臓を診てもらっても異常がない場合は、うつ病の治療で良くなることがあります。

 めまいがして、耳鼻科や脳外科で異常がない場合も、仮面うつ病の可能性があります。

             

5 ドクターショッピングをする

 体の不調で病院を受診しますが、いつになっても良くなりません。医師は「問題ない」と言い、何度も通っていると相手にされなくなります。それで別の病院にかかりますが、そこでも同じように納得がいく治療をしてもらえません。こうして病院や診療所を何軒も転々とする人がいますが、これをドクターショッピングと呼んでいます。

治らないからやっているのであって、好きでやっているわけではありません。それなのに、病院をいくつも変わっていることに怪訝(けげん)な顔をする医師もいます。担当した医師が、体の不調の背後に隠されているうつ病に気付き、精神科を受診するように勤めてくれたら良いのです。しかし、医師に仮面うつ病の可能性を説明されても、「心の病気ではない」と反発する人もいて、ドクターショッピングが止まらないこともあります。

6 失感情症

 仮面うつ病になる人の特徴として、失感情症があります。本来は、ストレス性の胃潰瘍や喘息など、心身症を起こす人の特徴として見つけられたものです。失感情と言っても感情を失っているという意味ではありません。ストレスによって不快感を感じているのですが、それが何かを言葉で自覚できないという生まれつきの特徴です。

間脳と前頭葉をつなぐ神経系に問題があるとも考えられています。心の状態を言葉に表現する能力に乏しいため、自分の心を客観的に見られません。失感情症の人は、心の無理を自覚できないためにうつ病になりやすく、その上、症状が体に出やすいという傾向をもっています。

                  

まとめ

 仮面うつ病は、体の症状が目立つうつ病のことです。体の不調が長く続くために元気が出ず、しかし検査では大きな異常がない場合は、仮面うつ病を疑うことも大切です。うつ病は心が弱いからなる病気ではありません。心の病気と言われますが、脳の活動が全般に低下する脳の病気でもあります。体の症状がたくさん出るのもうつ病の特徴なのです。

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